今月の扶桑社ミステリー新刊は、期待の新人ケント・レスターによる海洋冒険サスペンス巨編、『第七の太陽』(上・下)です!

ジェームズ・ロリンズが、「レスターはクライブ・カッスラーとマイケル・クライトンの最良の要素を組み合わせ、独自のジャンルを作り上げた」と絶賛した、入魂のデビュー作です。

 

 

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あらすじはこんな感じです。

 

 

ダン・クリフォードは、地震など想定外の自然災害「ブラック・スワン事象」の予知のため、ニューロシス社でプログラム開発に携わっている。

アメリカ政府との契約が決まって喜んだのもつかの間、無理難題を押しつける社長と意見が対立。その裏に何かがあると感じつつ、休暇を取ってホンジュラスを訪れたダンは、自社の工場で不審な点を発見し、ダイビング中に死体に遭遇する。

帰国したダンを待っていたのは、社長からの解雇通告と、自らが死体で発見した科学者カールの同僚、レイチェルだった。

レイチェルとともに再びホンジュラスに飛んだダンは、自社の工場が海中に不法投棄を行なっていたことと、海洋生物に異常が見られることを突き止める。事件の背後にホンジュラスの鉱山王オルクスが絡んでいると気づいたダンは、奇策を用いて対抗しようとするが、一方その頃ホンジュラスのラ・セイバでは、謎の奇病が蔓延し始めていて......。

 

ダンとレイチェルは人類を襲う未曾有の危機を食い止めることができるのか。
C.カッスラー、M.クライトンの衣鉢を継ぐ、傑作海洋科学サスペンス登場!

 

 

さすがにロリンズが絶賛しているだけのことはあります。新人しからぬ筆致で、ロリンズ、カッスラー、クライトンあたりの作品の流れを組む、痛快なアドベンチャー作品をものしている。

 

さすがに、巨匠たちの円熟した作品群と比べると、個々のシーンに地味さがつきまとうし、総じて展開にも若干バタバタしたところが見受けられますが、伸びしろはじゅうぶんにある作家だと思います。

 

とくに、上巻後半で、深海挺で発生した水漏れが、水圧のせいで水流カッターとなってスッパリ乗員に襲いかかるシーンや、下巻で発生するパンデミックの手に汗握る描写など、アクション&サスペンス要素の書きっぷりは、実に堂に入ったものではないでしょうか。

「第七の太陽」と呼ばれる、人間界を滅ぼしかねない災厄の正体についても、うまく読者の予想を裏切って驚かせる面白いネタを用意しています。

主人公とヒロインが、決してスーパーマンとしてではなく、人間臭いキャラクターとして書かれていること、悪役の描写に力が入っていることなども、プラスポイントでしょう。

 

ぜひ、ロリンズやカッスラー、クライトンなどの愛読者の方に、手にとっていただいてお読みいただければと思います。(編集Y)

2018年7月 9日 21:31 | | コメント(0)

大変長らくお待たせいたしました。ついにスティーヴン・ハンター『マスター・スナイパー』が6月2日に扶桑社より刊行されます!

 

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本書は、ハンターの小説家としてのデビュー作であり、20年ほど前に新潮社さんから出ておりました『魔弾』を、訳文を再検討し改訂を施したうえで、原題(『The Master Sniper』)に寄せたタイトルに改めて復刊したものです。

 

実は昨年末くらいから、弊社より本書を復刊するという情報が市場にけっこう出回っていたのですが(販売部経由であちこちに漏れていた)、実際は契約上の本国とのやりとりがなかなかうまく進まず(揉めたわけでは一切なく、ひたすら先方のレスポンスが遅かった)、ようやく今月の新刊として世に送り出せることとなりました。弊社までわざわざお問い合わせいただいた皆様、本当に申し訳ありませんでした。

正直、刊行までこぎつけることができて、心底ほっといたしております(笑)。


『マスター・スナイパー』は1980年に発表された、ハンターの輝けるデビュー作です。
デビュー作には作家のすべてが詰まっている、とよく言われますが、果たしてどんな小説なのでしょうか?

 

本書は第二次世界大戦末期、敗色濃厚のナチス支配下にある、森の奥の収容所を舞台に幕を開けます。他の収容所と比べて妙にのんびりした、ゆるんだ感じのするその場所で、しかしながら、ユダヤ人作家のシュムエルは不穏なひっかかりを感じていました。その恐るべき予兆は、ある月のない漆黒の夜に現実として牙をむくことになります。

 

 またひとり、倒れた。
 またひとり。
 みんな、がくっと力が抜けたみたいにくずおれた。やや身体をひねり、膝を折ってすわりこんだかと思うと、ゆっくりとまえにのめっていく。
 シュムエルは立ち上がった。
「俺たちは撃たれてるんだ」と、誰かが呆然とした口調でいった。「俺たちを――」その言葉は、弾丸によって途中で断ち切られた。
 祈りの声が、夜の静寂に響いた。ほかには物音ひとつしなかった。
 シュムエルのすぐ隣にいた男の喉に弾丸があたった。男がうしろにひっくり返る。別の男が急に前屈みになった。肺から血がどっと流れだし、ごろごろと喉を鳴らし、あえぐのが聞こえた。だが、ほとんどのものは頭か心臓を撃ち抜かれて、音もなく静かに死んでいった。
 ついにきた。夜がやってきたのだ。ナッハト、ナッハト、夜が襲いかかり、彼を連れ去ろうとしている。シュムエルはまえからずっと、夜がくるのを知っていた。いまが、そのときなのだ。目を閉じたほうがいいとわかっていたが、どうしてもできなかった。
(『マスター・スナイパー』p31より)

 

果たして収容所でおこなわれたこの虐殺こそは、ナチス親衛隊による、とある最新兵器の秘密実験だったのです。彼らは、この新兵器を用いた極秘作戦を計画中で、その実行者に選ばれたのが"狙撃の名手(マスター・スナイパー)"の異名をとるドイツ軍武装親衛隊のレップ中佐でした。

 

彼が標的としているのはいったい誰なのか?
作戦の存在に感づいたアメリカ陸軍戦略事務局のリーツ大尉は、当初聞く耳を持たなかった英国陸軍特殊作戦局のアウスウェイス少佐をも巻き込んで、作戦の全容を明らかにするべく奔走しますが......。


本書は、古き良き戦時冒険小説であり、虚実入り乱れる諜報小説であり、〈スワガー・サーガ〉の原点ともいえるスナイプ・アクションでもある、極上のエンターテインメントです。もちろん、壮絶なガン・アクションも登場します。

もはや帰趨が決した戦争末期という状況下でなお、与えられた使命に殉じ、マンハントに命を懸ける男たちの、追いつ追われつの極限の攻防が描かれる、大興奮必至の一冊です。

 

初めて読まれる方は、〈スワガー・サーガ〉であなたを鷲掴みにしたであろうこの作家の魅力が、本作の時点ですでに十二分に発揮されている点を、ぜひその目でお確かめください。
大昔に新潮版で読まれた方も、かなり訳文のほうに翻訳者の玉木さんが手を入れられましたので、この機会にご再読いただけるとたいへん嬉しく存じます。

 

現在、ハンターは最新作を準備中です(もうすぐ送るよって年明けにエージェントが言ってきてからそれきり音沙汰がないですが、まあそれはそれってことでw)。
皆様におかれましては、ハンターの「原点」をここでじっくり読み返したうえで、腰を据えて新作をお待ちいただけるとよろしいかと。

 

また本作には今回、販売部有志作成の「スティーヴン・ハンター扶桑社刊行全作紹介」の折込を封入しております。こちらの相関図&各作品紹介を見ながら、読み残していた作品にも手を伸ばしていただけると幸いです。ぜひよろしくお願いいたします!(編集Y)

 

追伸:合わせて、翻訳ミステリー大賞シンジケートさんのブログで、なんと♪akira さんが、スティーヴン・ハンターの裏ベスト(!)『四十七人目の男』を取り上げてくださっています! 

 


こちらもぜひご一読いただければ!

 

 

2018年5月29日 22:24 | | コメント(0)

まずは今月の新刊(6月2日発売)の一本目、クライブ・カッスラー&ボイド・モリソン『戦慄の魔薬〈タイフーン〉を掃滅せよ!』(上・下)をご紹介いたします。
海洋冒険小説の王者による〈オレゴン号〉シリーズの最新作です。

 

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 あらすじはこんな感じです。

 

フィリピンの海上で反政府勢力の指導者ロクシンを護送中の船が奇襲された。
そこで衝撃的な事件が起きた。
激しい銃撃戦によって絶命したかに見えた男が目の前で回復を遂げたのだ。
警察が茫然とするなか、男は逃走する。
満身創痍のはずがいったいなぜ? 
一方タイでは窃盗品の美術品売買をめぐって密売業者の抗争が発生。
カブリーヨは旧知の美術品鑑定家に依頼され、美術品の回収を請け負う。
追跡の末に彼らがたどりついたのはフィリピンの山中だった。
しかしそこには逃走中のロクシンの姿が!

盗まれた美術品を回収すべく、カブリーヨはロクシンの極秘施設を探る。
厳重に警備されたその施設で何が行われているのか? 
さらにオレゴン号の乗組員は施設に密かに侵入し、ロクシンに囚われていた化学者たちの救出に成功した。
そこで彼らから聞いたのは、人間を超人的な肉体に変える謎の物質〈タイフーン〉の存在だった......。
第二次世界大戦末期の戦場コレヒドール島を舞台に、悪魔の物質をめぐりオレゴン号の乗組員が苛烈な戦闘を展開する。海洋冒険小説の王者、クライブ・カッスラー最新刊!

 

今回のお題は、人体改造ドーピングと美術品密売。
フィリピンを舞台に、快男児ファン・カブリーヨとオレゴン号の仲間たちが、反政府組織の親玉と戦います。前作『ハイテク艤装船の陰謀を叩け!』では、同等の装備を配した武装船との対決がメインでしたが、今回は島内でのゲリラ勢力との陸上での攻防戦が中心。さらには、南アフリカの傭兵までもが登場し、三つ巴の戦いが展開します。

不死身の肉体を持つバーサーカー(狂戦士)を相手に、カブリーヨたちは勝利を収めることができるのか?

 

ぶっちゃけ、ここ数作のなかでも群を抜いてアクションに比重を割いた、スーパー面白エンターテインメントに仕上がっております。

お題がちょっとおバカだからこそ、まさにフルスロットルで、やれることはなんでもやってみました、という感じ。これを読んで、退屈だったとは決して言わせません!

あと、出だしで『ソロモン海底都市の呪いを解け!』に引き続き、またも731部隊が登場したりしますが、たいして大きな意味はないので日本の読者の皆様はお気になさらず。

 

なお、次のカッスラーは秋頃に、〈ファーゴ夫妻〉シリーズの最新作『Pirate』を、さらに年度内には、新潮さんでずっとやっておられた〈NUMA〉シリーズの続きのほうも、弊社よりご紹介できればと考えております。

今後共ご期待下さい! (編集Y)

2018年5月29日 21:57 | | コメント(0)

通常、弊社におきましては、ハンター、カッスラー、ロリンズといった大物のアクションやサスペンスを中心にラインナップを回しております。

ただ時折、『ジグソーマン』ゴード・ロロ)や『拾った女』チャールズ・ウィルフォード)といった、若干マニアックな癖の強い作品を世に問うてみたり、あるいは、編集者が偏愛する本格ミステリの古典作や異色作家短編集なんかをぽろり、ぽろりと出してみたりもしているわけです。あとケッチャムとか。

一部には、こういう変化球こそが扶桑社ミステリーの面白さだと感じてくれている、酔狂な読者の皆さまもいらっしゃるかもしれません。

 

ということで、お待たせいたしました。次の「タマ」を送り込むときが来たようです。

本年度、扶桑社が贈る「隠し玉」第一弾は......シェイン・クーン『インターンズ・ハンドブック』

原題も、ほぼそのまま『The Intern's Handbook』です。

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なんでタイトルが「インターンズ・ハンドブック」かといいますと、この作品、とある稼業のプロフェッショナルが、自分の所属する団体の新人たちに向けて書いたハウツー本(ハンドブック)の体裁をとっているんですね。

で、その職業というのが、いっぷう変わっています。

殺し屋。

それも若いインターンになりすましてターゲットの属する会社に潜入し、中で成り上がっていくことで会社のトップに近づき、関係を築いたうえで抹殺する、特殊な工作活動を専門とする殺し屋なんですね。

 

本書の(というか、作中作としての「インターンズ・ハンドブック」の)巻頭辞を引用してみましょう。

 

インターンは透明人間だ。たとえ百回名乗ったとしても、重役たちがその名前を憶えてくれるなんてことはぜったいにない。なぜなら彼らは、組織の最底辺でただ働きしているような人間のことなど、屁とも思っていないからだ。そのくせ重要な仕事を次から次にふってくる。つまりこちらがよろこんで引きうければ引きうけるほど、仕事は――おまけに信用とアクセスも――向こうからやってくる。最終的には、命まで預けてくるようになる。そのときこそ、ターゲットの命をもらうチャンスだ。

そして、本書の主人公ジョン・ラーゴは、このインターン殺し屋組織のトップ・エージェントなのです。

あらすじはこんな感じです。

 

おれはジョン・ラーゴ。もちろん本名ではない。

ヒューマン・リソース社のエース工作員だ。

うちは表向き人材派遣の会社だが、裏では

派遣インターンによる要人の暗殺を請け負っている。

おれは子供のころから暗殺者として鍛えられ、

ずっとここで働いてきた。

だがもうすぐ25歳で引退だ。

だからおれは新入り諸君のために、最後の任務を

詳述して暗殺の心得を伝授したいと思う......

 

教則本の体裁で描かれる、血と硝煙と裏切りに

彩られたキッチュでオフビートなアサシン・スリラー。

鬼才衝撃のデビュー作!

 

 

原書の宣伝では、けっこう『デクスター』と関連付けられてました(警察官が実はサイコキラーで悪を次々歯牙にかけていくというアメリカの大ヒットドラマ。ただしこちらは、あそこまでしんねりむっつりな内容ではない)。

かなりクセのある小説なので、未読の方に説明しづらいところもありますが、

エルモア・レナードドン・ウィンズロウよりは、間違いなくコミック・テイスト。

ただし、『バッド・モンキーズ』ほどにブッ飛んだカルト寄りの怪作ではなく、

誰でもごくふつうに楽しんでいただけるエンターテインメントに仕上がっております。

むしろ、著者本人が長く映画業界でやってきた人物なだけあって、

クエンティン・タランティーノとか、コーエン兄弟とか、ウォシャウスキー姉妹とか

ロバート・ロドリゲスとか、テリー・ギリアムとか、そのあたりの「曲者」系監督の

諸作品がお好きな人には、きっと楽しんでいただけるんじゃないかなと。

 

凝りに凝った一人称文体、奇想天外なストーリー展開、

次々と繰り出される雑駁なシネフィル的ネタの数々。

「狙いすましたB級テイスト」がべつに苦手というのじゃなければ、ぜひ手にとってみてください。

ま、あんまり構えずに、気楽に読んでいただければなあ、と思うわけです。

ていうか、あんまりヘンに期待されると、なんかすげえ怒られそうなんで・・・・・・(笑)。

 

でも、個人的には、最高に面白かった。

本当に・・・出して本当によかった。

マジで、そう思ってます。

 

4月29日くらい(連休が挟まるので、地方によっては遅れるかもしれませんが)に発売予定。

乞うご期待。 お楽しみに!!(編集Y)

2018年4月25日 22:06 | | コメント(1)

3月29日、ジェームズ・ロリンズの新刊『アンデスの黄金』(上・下)が発売となりました!

ロリンズ名義としては、デビュー作『地底世界 サブテラニアン(上・下)(原書刊行1999年)につづいて、2000年に書かれた第二作にあたります(原題 Excavation)。

いわば、若書きではあるわけですが、そのぶん、初期の熱気に満ちたサービス精神旺盛な一大エンターテインメント作品となっております。

 

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上巻出だしのあらすじはこんな感じです。

 

インカ文明を専門とする考古学者ヘンリーは、ペルーの発掘地で発見された古いミイラを大学のラボに持ち込んだ。

ミイラの首には黄金の十字架。宣教師のミイラなのか? 不審に思ったヘンリーはミイラをCTにかけるのだが――。

その頃、発掘現場で新たな発見があった。神殿の地下に隠された扉が見つかったのだ。ヘンリーの甥サムとチームのメンバーはその秘密部屋の調査を進めるが、神殿が崩落して閉じ込められてしまう。そして地下から脱出すべく奮闘するサムたちの前に、驚くべき事実が姿を見せる。

 

今回のお題は、アンデス山中、インカ帝国の遺跡の奥深くに眠る秘宝の探求。

まさにインディアナ・ジョーンズばりの、王道考古学アドヴェンチャーとなっています(ロリンズ本人いわく、本作の主人公像は、エジプト王ツタンカーメンの墓を発見したハワード・カーターとその一行にインスパイアされたそうです)。

とにかく出だしからフルスロットルで、あらゆる面白要素がぶち込まれ、息つく間もない冒険と奇想が繰り出されます。

 

訳者あとがきで引用されている、著者による紹介文によれば、ロリンズは本作を「H・ライダー・ハガードやエドガー・ライス・バローズの伝統に連なろうという明確な意図を持って構成した。彼らが描いた〈失われた世界〉ないしは〈失われた民族〉をめぐる冒険を扱った作品を描こうとした」そうです。

ロリンズの唱える「物語を支える三本の柱」――すなわち「歴史的な謎」、「物語の背景をなす科学」、「異国的な土地」の三者は、本作においては思いがけない出合いを果たし、衝撃的な展開を引き起こします。

たぶん、トラップだらけの地下神殿が出てくるRPG風の前半から、まさかあとあと、あんな話にまで風呂敷が広げられてゆくとは、誰しも思わないでしょう。

もちろんロリンズのことですから、怖気の立つような動物パニック要素もちゃあんと用意されていますのでご安心を(別にいらないかもしれませんが)。そして、人間対異形の壮絶な戦いの先には、さらなる衝撃が......いやあ、こういうアホなことを考えさせると、ほんとロリンズは天才ですね!!

あと、出てくる敵方の人間がまあ、ほんとクッソむかつく奴らばっかりで(笑)。

主人公たちは、ろくでもない人間どもと、闇から迫りくる未知の恐怖と、歴史に埋もれた驚天動地の真実に、三正面作戦で立ち向かうことになるのです。

 

正直いえば、いろいろと小説としてゆるいところがあるのも確かですが(終盤の締め方、モジュラー式の叙述の絡め方、細部で張った伏線の処理の仕方などに、まだ手慣れていないところがある気がします)、それを気にさせないくらいの熱気と前進力、そして小説をつむぐ歓びが、本作には間違いなくあります。

とにかく、ロリンズが読者を楽しませたくてしょうがない、根っからのエンターテイナーであることは、行間からもひしひしと伝わってきます。

これでもか、これでもか、とやれることをやれるだけ突っ込んでくるその姿勢は、がむしゃらで、稚気にあふれ、われわれ読者としては好感を抱かずにはいられません。

ぜひ、若き著者が、肩よ抜けよとばかりに投げ込んできたエンタメ剛速球を、読者の皆様もしっかと受け止めていただければ! 

 

なお本作で、ロリンズの単発作品は、いちおうすべてご紹介しきったことになります。ただ、久方ぶりに(『エデンの祭壇』(上・下)以来)、ノン・シリーズ作を現在執筆中との噂もありますので、その完成を楽しみにお待ちいただければと思います。

 

新年度からも、扶桑社ミステリーは、業界の片隅で、力の限り頑張ってまいる所存であります。4月末には、期待の新人の快作(怪作?)『インターンのハンドブック』(仮題)をお届けするつもりです。

こちらも、ぜひご期待ください! (編集Y)

 

 

 

 

 

 

 

2018年3月31日 19:21 | | コメント(2)

先日、逝去したジャック・ケッチャムさんを偲んで、ただいま、紀伊國屋書店新宿本店さんにて、ケッチャム追悼企画を大々的に展開してくださっております。
 
以下、ケッチャム愛なら誰にも負けない、弊社販売部Mによるご紹介です!
 
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ケッチャム死去のニュースを聞いて、誰よりも早く扶桑社に電話をかけてきて、「『隣の家の少女』を100冊ください!あと、残っている他の作品をあるだけください!」と言ってきた人物がいました。
その男性は日本一、いやおそらく世界一ケッチャムを愛する書店員で、ッチャムマニアの間ではリスペクトを込めて"ケッチャム王子"と呼ばれている森瑞人さん。
 
5年以上前から、ケッチャムの全作品が常時平積みから外されることがなく、森さん手作りの【ドキドキ☆ケッチャム占い】のパネルとともに、「紀伊國屋書店新宿本店の文庫売り場のケッチャム愛が異常」とネット上で話題になっていました。
 
 
現在、紀伊國屋書店新宿本店さんでは、ケッチャム追悼のすさまじい大展示を実施しています。
 
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★(一部)ネタバレ上等!ケッチャムと行くアメリカ横断ウルトラ双六
→森さんの手作り!作品ごとの犠牲者の人数まで記してある親切なガイド。ちゃんとサイコロも置いてあります。
 
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★森さんによる追悼文巨大パネル
レジ前の、行列に並ぶ人が必ず立ち止まる、売り場の一等地に設置(撮影時。現在はケッチャム双六の横に掲示してあります)。
小さい字でめちゃめちゃびっしりと、面白おかしく書かれたケッチャムへの愛。
そして最後に書かれたこの一文に、同じ思いを持つ私は思わず涙をこぼしてしまいました。
「この作品(隣の家の少女)には何者も真似出来ない凄さ、切なさ、青春の輝きが詰まってます。最高だという人も最低だという人もいます。どっちかしかないって、本当にすごい事だなって。もちろん僕にとってはケッチャム作品の全てが最高ですが。ケッチャム、好きですから。」
 
 
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 ★『Cover』(邦題『森の惨劇』)ケッチャム直筆サイン本(森さん私物)展示
 
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★ただいま紀伊國屋書店新宿本店でケッチャム作品をお買い上げの方に
もれなく特製ケッチャム缶バッジ(二代目)をプレゼントしています。
 
 
「万人に好かれる作品は良い。
でもそうじゃない作品の方が、
心に残る事もある。 それがケッチャム。」です。 (販売M)

2018年2月19日 21:43 | | コメント(0)

弊社海外文庫の中心的作家として長く読者の皆様に愛されてきたジャック・ケッチャムさんが、2018年1月24日ご逝去されました。享年71。長いがんとの闘病の末、亡くなられたとのことです。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

代表作としてはやはり、実際にあった少女監禁事件に題材をとった傑作『隣の家の少女』と、食人族をモチーフにして当初発禁に近い扱いを受けたデビュー作『オフシーズン』の二作を上げるべきでしょう(後者の文庫は残念ながら品切れです。電子版をどうぞ......)。
とくに『隣の家の少女』は、弊社書籍としては異例の頻度で版を重ねてきた、弊社文庫の「顔」ともいえる作品であり、現時点ですでに41刷を数えております。
くわえて編集者自身は、『老人と犬』と中編集『閉店時間』(とくにそれに収録されているウェスタン「川を渡って」)をみなさんにぜひ強力にお薦めしたいところです。(以下、敬称略)

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ケッチャムは、一般にはジャンル・ホラーの作家と認識されているかもしれません。
たしかに、ケッチャムの小説は、残虐で、無慈悲で、血みどろの描写にあふれています。
しかし、ケッチャム・ファンの多くは、単なる恐怖、単なる残虐性、単なるイヤミスの枠を超えたところで、彼の露悪的ではあっても繊細な、「暴力への感受性」それ自体に惹きつけられているのではないでしょうか。少なくとも編集者はそうです。

 

ケッチャムの提示する"つくりもの"ではない「悪」の実存と、天災のごとく降りかかる理不尽な加害のリアリズム(およびその逆説としての世界の平等性)、心の痛みすら伴う体感的な恐怖は、おそらく文学史上、唯一無二のものです。

 

同時に、その裏からほとばしる、立ち向かうことへの肯定的意思、被害者も加害者も報われない神なき世界でなお生きるひとびとの矜持は、意外にもみなさんの胸を打つかもしれません。

 

そして、そんな真摯で謹直ですらある作家性......ほんとうの痛みを知る繊細でたおやかな世界認識(そうじゃないと、9.11のあと小説が書けなくなったりはしない)を、なにかとジャンル・ホラー愛好とエキセントリックな過剰性でつつまずにはいられない、この人物の「含羞」と、出自を裏切らない誠実さを、編集者はこころから愛します。

 

改めて、この不世出の作家の早すぎる死に対し、衷心よりお悔やみ申し上げるとともに、ひとりでも多くの方にケッチャムの諸作を読んでいただけることを願ってやみません。(編集Y)

 

 

付録その1
★ケッチャム中・長編リスト

急遽、今作ってみたので若干誤植とかあるかもしれませんが、お許し下さい。
(発表順、邦題のあるものはすべて扶桑社ミステリー刊)

『オフシーズン』(Off Season, 1981年)
『Hide and Seek』(1984年)
『森の惨劇』(Cover, 1987年)
『She Wakes』(1989年)
『隣の家の少女』(The Girl Next Door, 1989年)
『襲撃者の夜』(Offspring, 1991年)
『ロード・キル』(Joyride,  英Road Kill,1994年)
『オンリー・チャイルド』(Stranglehold, 英Only Child,1995年)
『老人と犬』(Red, 1995年)
『Lady's Night』(1997年)
『地下室の箱』(Right to Life, 1998年)
『黒い夏』(The Lost, 2001年)
『ザ・ウーマン』(The Woman, 2010年)(ラッキー・マッキーと共作)
『わたしはサムじゃない』(I'm Not Sam, 2012年)(ラッキー・マッキーと共作)
『The Secret Lives of Souls』(2016年)(ラッキー・マッキーと共作)
---

『The Box』(1994年,中編)
『Station Two』(2001年,中編)
『狙われた女』(Triage, 1990年)―競作集 「シープメドウ・ストーリー」(Sheep Meadow Story,中編)収録
『閉店時間』―中編集 「閉店時間」(Closing Time,2007年)「ヒッチハイク」(The Passenger,2001年)「雑草」(Weed Species,2006年)「川を渡って」(The Crossings,2003年)収録
『Old Flames』(2008年,中編)
(その他、短編多数)

 


付録その2
★翻訳者によるケッチャム入門

ずっと、弊社でケッチャム作品を翻訳してくださっている金子浩さんによるケッチャム紹介です。
下記のリンクからどうぞ。

翻訳ミステリー大賞シンジケート 初心者のためのジャック・ケッチャム

 


付録その3
★ケッチャムの選んだオールタイム・ベスト

文春さんの依頼で弊社からケッチャムさんにお願いしたら、速攻でお返事がいただけたのでした。本当に良い方だったんですよ......(泣)。ケッチャムという作家の核心を成すものが、むしろホラーではなく「ノワール」であることを明示する興味深いリストではないかと思い、再掲します。

●『長いお別れ』(レイモンド・チャンドラー)

●『羊たちの沈黙』(トマス・ハリス)

●『ゲット・ショーティ』(エルモア・レナード)

●『ミレニアム2 火と戯れる女』(スティーグ・ラーソン)

●『TALK TALK』(T.コラゲッサン・ボイル)

●『夜の終り』(ジョン・D・マクドナルド)

●『THIEVES LIKE US 』(Edward Anderson)

●『血と暴力の国』(コーマック・マッカーシー)

●『ブラック・ダリア』(ジェイムズ・エルロイ)

●『おれの中の殺し屋』(ジム・トンプスン)

 


付録その4
★ケッチャム鬼畜営業日記

おそらく日本一ケッチャムを愛する弊社営業の女性販売員による、
ケッチャム『ザ・ウーマン』販促大作戦のブラッディー・ドキュメント!

翻訳ミステリー大賞シンジケート ケッチャム鬼畜営業日記

 

文中に登場する「書店時代のエピソード」は下記の座談会でお読みいただけます。

扶桑社ミステリー&ロマンス入門ガイド 第3回

 

 

2018年1月25日 15:45 | | コメント(0)

遅まきながらあけましておめでとうございます!

本年も扶桑社ミステリーを、よろしくお願いいたします。

 

さて、新年早々嬉しいニュースが飛び込んでまいりました。

翻訳ミステリー大賞シンジケートの情報によれば、せんだい読書会さんと福島読書会さんで連動して、レオ・ブルースの二作品をとりあげていただけるとのこと!!

本当にありがとうございます!!

 

なんでも、東北読書会ツアーが組めるように、わざわざ作家を揃えられたとのこと。すごい!

 

せんだい読書会

開催日:2018年2月17日(土曜)

課題書: 『ミンコット荘に死す』(レオ・ブルース:著 小林晋:訳)

詳細・応募は こちら

ミンコット荘に死すblog.jpg

 

当ブログによる紹介文は こちら

 

★福島読書会

開催日:2018年2月18日(日曜)

課題書:『三人の名探偵のための事件』(レオ・ブルース:著 小林晋:訳)

詳細・応募は こちら

三人の名探偵のための事件がJpegブログ画像.jpg

 

当ブログの紹介文は こちら

 

レオ・ブルースは、イギリスの本格ミステリー黄金期を支えた巨匠のひとりといっていいでしょう。

 

まず、レオ・ブルースの作品には、練り上げられたトリックと、プロット全体におよぶパズラーらしい凝った趣向、そしてロジカルなフーダニットという、「王道」の本格ミステリーとしての重要な要素がすべて備わっています。

この点で、彼はクイーンやクロフツ、カー、クリスティといった大作家にも、けっして引けを取っていない、と編集者は思っています。

 

一方で、レオ・ブルースからは、そんな本格ミステリーというジャンルや登場人物のありようを、徹底的に茶化し、分析し、メタ化していくような部分も、色濃く感じ取れます。

ただそれは、本格ジャンルを否定的にとらえて批判しているわけではなく、あくまで本格を愛するがゆえに、斜に構えて面白がっているのですね。

これは、彼がミステリーライターであると同時に、イギリスにおいて伝統的なユーモア小説/諷刺小説の系譜に属してもいるからであり、その点で彼は、正しくアントニー・バークリーの作風を継承する本格ミステリー作家であるといってよいかと思います。

『三人の名探偵のための事件』解説で、真田啓介さんはレオ・ブルースを「英国余裕派」のひとりとして分類しています。真田さんが唱える「英国余裕派」とは、E・C・ベントリー、A・A・ミルン、ロナルド・ノックス、アントニー・バークリー、シリル・ヘアー、エドマンド・クリスピンといった作家に代表される「遊び心が旺盛で、ゆとりと落ち着き、現実との適度の距離といったものをその作品に感じさせる作家の一群」とのこと。それぞれの作品を読んだ方には、当然ピンとくるところがあると思います。

編集者はこの解説原稿があがってきたとき、まさにそれだよね!と思わず膝を打ちました。

 

そして、ここからは個人的な意見であり、同時に大変重要なポイントと思うのですが、英国における本格ミステリーの発展史は、「名探偵が活躍する王道のトリッキーな本格と、本格をゆとりをもって諷刺するような余裕派の本格が、同時期に創作されることで、ジャンルの両輪として高めあって」形成されてきたのです。

皆さん、なんとなく思い込んでいないでしょうか? 「先に」王道の本格があって、「後から」それをパロディ風に扱うタイプの作品が書かれだしたかのように?

実際には、ベントリーの『トレント最後の事件』は1913年、ミルンの『赤い館の秘密』は1922年の発表ですし、ノックスやバークリーの活躍期はクリスティの創作活動の最初期とかぶり、クイーンやカーの登場には若干先行すらしているわけです。

要するに、英国本格史において、本格ミステリー独特のお約束や虚構性、「名探偵」の機能といったものに自覚的に言及し、あるいは茶化し、あるいは逆手に取ってネタにするような作風は、ジャンルのごく初期から存在し、本格ミステリーという異形の文学を、常に内から「再規定」し続けてきたのでした。

加えて、それ(英国本格)に「外から」憧れ、恋焦がれて、さらなるジャンルの「純化」を図った、アメリカのスクール(ヴァン・ダイン、クイーン、カーなど)の存在(日本の新本格を見ても分かるとおり、「外」からジャンルに横恋慕した愛好者は、本国のどぶろくを蒸留酒に変えてしまうのです)。三者がお互いに刺激し合うことで、20世紀前半の本格ミステリーは急速な発展を遂げた、ということができるのではないでしょうか。

 

レオ・ブルースは、そんな「余裕派」の作風を正しく継承し、本格ミステリーという枠組みそのものを、茶目っ気たっぷりに外から「揺るがす」ことで(同時に枠組みの「中」もちゃんと設えられているからこそ、それが生きるわけですが)、新たなミステリーの沃野を切り開いていった作家でした。

ビーフ巡査部長を探偵役とする初期の作品群(長編は8作)は、とりわけ実験性に富み、型を破ろうとするチャレンジ精神が一作ごとに強くうかがわれます。その第一作、ブルースのミステリー作家としてのデビュー作が、今回福島読書会で課題となる『三人の名探偵のための事件』です。

その後、レオ・ブルースは、1955年刊行の『死の扉』(創元推理文庫)で、よりオーソドックスな「素人探偵」キャロラス・ディーンを主人公として初めて登場させ、作風にも一定の変化をみせます。以降、23作にわたってレオ・ブルースはキャロラスを探偵役とする長編を書き続けることになりますが、今回せんだい読書会で取り上げてくださる『ミンコット荘に死す』は、その第三作となります。

 

まあ、精読すると、いろいろ細かいアラにも気づいてしまうかもしれませんが(笑)・・・そんなの愛さえあればきっとへっちゃらですよね?

未読の方はこの際ぜひ、既訳作に手を伸ばしていただき、レオ・ブルースの滾る本格愛をぜひ体感していただくとともに、その小説を書くことで彼が「なにを狙っていたのか」をじっくり考えてみていただければと思います。

両日、編集者は残念ながら東京で私用があって参加できませんが、楽しい会になることを心よりお祈り申し上げます! そしてみなさま、ふるってご参加を!(編集Y)

2018年1月11日 14:18 | | コメント(1)

お待たせいたしました! 二ヶ月ぶりのクライブ・カッスラーの新刊『ソロモン海底都市の呪いを解け!(上・下)』。今回は、愛すべきトレジャー・ハンター・コンビ、ファーゴ夫妻ものの最新刊です。

共著者は、前作にひきつづきラッセル・ブレイクが務めています。

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今回の二人は、ソロモン諸島のガダルカナル島にやってきています。

二人の友人である考古学者から、ソロモン諸島沖の海底で人工遺物を発見したとの連絡が入り、その調査の援軍として島を訪れたのです。

いざ調べてみると、遺物は840年ほど前に自然災害によって沈んだ建造物の可能性がでてきて、調査は本格化。やがて二人は、傲慢な王が都市を建設したが、神々の怒りで破壊され呪いがかけられたとの伝承を知ります。しかし島で言い伝えられているのはそれだけではありませんでした。密林の洞窟群に住み、人間を食らう「巨人族」の伝説。実際、島では子供の失踪事件が頻発していました。

(一応、勘違いされる向きも多いかと思うのでご注意いただきたいのですが、本書の「ソロモンの呪い」は、「ソロモン王の呪い」ではなくて、あくまで「ソロモン諸島の呪い」ということなんですね)

そんななか、ファーゴ夫妻は聞き取り調査の途中、何者かの襲撃に遭って、九死に一生を得ます。さらには反政府勢力が台頭し、 島にはいつしか不穏な気配がみなぎってきて・・・。

大規模な潜水調査の結果発見される、巨万の財宝の痕跡。

いよいよ高まってくる暴動のきざしと、暗躍する何者かの影。

やがて夫妻は、島に隠された驚くべき秘密を知ることになるのです。

 

さて、本書の見どころとしては、何と言ってもファーゴ夫妻の日本上陸があげられるでしょう。

海底遺跡と財宝のゆくえを解くカギが、第二次世界大戦中にガダルカナル島沖に沈没したと思しき日本軍駆逐艦に隠されていると知ったふたりは、乗船していた日本軍将校の子孫に話を聴くべく、成田へ飛ぶのです。

まあ、なぜか目的地は東京ではなく、千葉の佐原なんですが(笑)。東京より空港に近い、ってネタをやりたかったのかな? あと、来る経緯が日本人にとってはちょっと刺激の強いネタなので、多少読者を選ぶかもしれませんが。

 

もう一点、今回は、比較的地味にスタートして、漸進的に物語のスケールを拡大させていく組み立てが顕著なのも特徴かと思います。

序盤は、油断してたらワニに食われたさあ大変みたいな、牧歌的なドメスティック・アクションをやってたのが、下巻では内乱危機で戒厳令みたいになってるわ、恐るべき陰謀(本当に今回の悪玉は超ろくでもない)の真相が明らかになるわで、なかなかにどえらいことになっております。

また、前半の海洋調査から一転して、後半は壮大な鍾乳洞アドベンチャーとなりますので、地底ものがお好きな皆様には、必ずや喜んでいただけるかと。

ゲストキャラも魅力的。とくにオーソン・マンチェスターという島の国会議員が出て来るのですが、これが非常にインパクトのある人物で、作品のカラーを決定する役割を果たしています。

それと、個人的感想ですが、今回はサムとレミの掛け合いが、いつも以上に数が多いし、切れもいいような気が。なんといっても、編集者のなかではファーゴ夫妻シリーズは、『探偵ハート&ハート』のトレジャー・ハント・アドヴェンチャー版といった位置づけなので(笑)、こういう気の利いたラブラブなやりとりがあるとやっぱり胸躍りますね。

 

お正月休み。あんまり小難しい本は読みたくないですよね? そんな貴方にほろ酔い気分のお屠蘇気分で愉しく読んでほしい、圧倒的リーダビリティとサーヴィス精神に支えられた極上エンターテインメント。よろしくお願いいたします!

なお予定は未定ですが、次回のカッスラーは2018年の夏ごろにオレゴン・ファイル・シリーズの最新刊をお届けするつもりです。こちらも、ぜひご期待ください。

 

末筆ではございますが、今年も一年間、扶桑社ミステリーにご愛顧賜り、誠にありがとうございました。来年も、よりパワーアップしたラインナップで、皆様のご期待に何とかこたえていければと思っております。引き続きのご愛顧のほど、衷心よりお願い申し上げます。

(編集Y)

 

 

 

2017年12月27日 07:56 | | コメント(0)

またも、長らくブログの更新をサボってしまって、大変申し訳ありませんでした。

公私ともこの秋はあまりに忙しくて・・・・・・。海外出張あり、大量のゲラあり、よくわからんネット連載あり、『国宝展』あり、週5日ペースで演奏会もあり・・・・・。いや、言い訳にはならんです、はい。本当にごめんなさい。

ようやくここ一週間で、抱えていたゲラ5冊分、1800頁分をそれぞれチェックを終えて渡すべき人に渡し、なんとか過酷な徹夜生活にも一段落がつけられましたので(といって今日も朝までコースですが)、取り急ぎ先月発売のクライブ・カッスラー新作をご紹介したいと思います!

 

すでに先月頭より発売中の『ハイテク艤装船の陰謀を叩け!』(上・下)、もうお手にとっていただけたでしょうか?

「艤装」ってのは「ぎそう」と読みまして、船が完成したあと施される装備のことを指すんですね。

こちらは、秘密工作船オレゴン号の船長ファン・カブリーヨと仲間たちの活躍を描く〈オレゴン・ファイル〉シリーズの最新刊です。共著者は前作に引き続き、ボイド・モリソン

 

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開幕早々、モナコ・グランプリ・レースのお祭り騒ぎにまぎれて進められる恐るべき陰謀と、アルジェリアの砂漠でカブリーヨたちが繰り広げる核兵器争奪戦のようすが、手に汗握る平行モンタージュで描かれます。

これぞカッスラー節。もう出だしからフルスロットル、ノンストップ・アクション全開!

 

いつも思うんですよ。

カッスラーのことを単なるブロックバスターの流行作家みたいに「軽く考えてる」人がいたとしたら、その人たちの考える「エンターテインメント」って一体なんなんでしょうね??と(挑発的w)

こんなに誰が読んでもめっぽう楽しめて、無条件に心底スカッとできて、大満足でスッキリ読了できる小説が、果たして世の中にどれくらいあるものでしょうか。

圧倒的なサービス精神と、王道を行く痛快なストーリー展開。

重たくはないかもしれないし、ためにもならないかもしれない(笑)。

誰も書評なんか書いてくれないし、ミステリマガジンではいつも「その他」扱いされてる。

でも、間違いない。これは第一級の冒険活劇です。

やっぱりカッスラーは、べらぼうに面白い。

読んでみないと、それはわかりません。

 

アルジェリアの一件を巧みなチームワークで片付けたカブリーヨたちに、モナコで銀行のセキュリティが破られ(犯人と思しき頭取は事故死)、国際銀行の多額の資金が消失し、ファブリーヨの〈コーポレーション〉が預けてあった巨額の金も行方不明になったとの連絡が入ります。

本当に頭取が犯人だったのか? 裏で事件を操っている黒幕がいるのではないか?

犯人たちの本当の目的な一体なんなのか?

カブリーヨたちは、自ら銀行襲撃事件の捜査に乗り出し、事件を操る天才ハッカーの存在と、謎のハイテク艤装船が関与している事実を突き止めます。

さらにはなぜか、ナポレオンの遺産争奪戦が事件と絡んできて・・・巨悪の正体と隠し財宝の在り処を追って、カブリーヨたちオレゴン号のメンバーは、アルバニア、フランスのニース、ロシア、リトアニアと、世界をかけめぐります!

追いつ追われつのデッドヒート。ハイテク兵器どうしによる息詰まる海上戦。

今回の敵は強大。ついには、オレゴン号のメンバーに殉職者が出て・・・・。

世界の破滅が刻一刻と迫るなか、カブリーヨたちは巨大な陰謀を叩くことができるのか?

 

シリーズとはいえ、この巻からでもまったく問題なく読めるかと。

ぜひお手にとって、大流行作家の大流行作家たるゆえんを感じていただければ!

 

そして・・・・これから年末に向けてもう一作、カッスラーが待ち構えております!

タイトルは『ソロモン海底都市の呪いを解け!』(上・下)。

こちらは、大富豪&トレジャーハンター夫婦の大活躍を描く〈ファーゴ夫妻〉シリーズの最新刊。

今回は、南太平洋に浮かぶ島嶼国、ソロモン諸島を舞台に、海底都市探索と隠された黄金をめぐる大活劇が展開されます。あと、ついにファーゴ夫妻が(半分なりゆきですが)日本上陸を果たします(笑)。こちらも、ぜひお楽しみに!(編集Y)

 

 

 

 

 

 

2017年11月21日 02:28 | | コメント(0)

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