メリー・クリスマス!!(ちょっと遅い)

 

さて皆様、ドゥエイン・スウィアジンスキーという、いささか長ったらしい名前の作家をご存じでしょうか?

覚えていらっしゃるなら、かなりの通かもしれません。

あの"怪作"の誉れ高い『メアリー-ケイト』『解雇手当』(いずれもハヤカワ・ミステリ文庫)の著者だと申し上げれば、「ああ、あの作家か!」と思い出される方も結構多いのではないでしょうか。

 

今月、弊社文庫にてお届けする『カナリアはさえずる』(上・下、公手成幸訳)は、この著者の10年ぶりの邦訳紹介ということになります。

なんか、思い切ったな、扶桑社(笑)。

われながら、うまく企画を通したぜ!(通らない企画もいっぱいあるんですよ)

 

カナリア上下.jpg

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ミステリーとしてはスウィアジンスキーの現時点での最新作であり、初めてエドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)長編賞にノミネートされた、とびっきりのすぐれもの。

まあ、騙されたと思って、まずは読んでみてください。

もう文句なしに、とにかくめっぽう面白い作品ですから!

 

上巻のあらすじはこんな感じです。

 

フィラデルフィアに住むサリーは、優等生プログラムでセント・ジュード大学に入ったばかりの17歳。

感謝祭前の学内パーティーで、先輩のDに頼まれて彼を車で街まで送ったせいで、彼女は麻薬取引に巻き込まれ、麻薬捜査課の刑事ウィルディに逮捕されてしまう。

刑事が送検しない条件として持ち出してきたのは、学内の秘密情報提供者(CI)として捜査に協力することだった。Dの正体を明かすことを頑なにこばんだサリーは、代わりとなる別の売人を見つけ出すために独自で捜査を開始することに・・・・・・。

 

ここで編集者がとくに声を大にして強調しておきたいこと、それは・・・・・・

本作はべつに(一部に期待されているような)「バカミス」ではない!ということです。

そこはくれぐれも誤解のありませんよう!

ぶっ飛んだミステリーを書いてた作家が、今も変わらずぶっ飛んだミステリーを書いているから紹介したいと思った、ということではなく、

当時の芸風を昇華して、物書きとしてさらなる高みに至っている事実に驚愕したから、ぜひ皆様にも「今の」スウィアジンスキーを読んでほしくて邦訳を出したんだ、そう考えてください。

 

『メアリー-ケイト』と『解雇手当』のあと、スウィアジンスキーがどうしていたかと申しますと、じつは、並行して行っているアメコミの執筆を精力的にこなしながらも、ミステリーのほうもきちんと書き続けていて、なんと2011年に『Expiration Date』でアンソニー賞の最優秀ペーパーバック賞、2012年には『Fun and Games』でシェイマス賞の最優秀ペーパーバック私立探偵小説賞を獲得しているんですね。さらに、本作ではエドガー賞長編賞にみごとノミネート。

そう、スウィアジンスキーは、確実に更生、もとい、成長し続けている作家なのです!

そして、『カナリアはさえずる』は、そんなニュー・スウィアジンスキーの、現時点での代表作なのであります。

 

(アメコミ作家らしい)B級トンデモミステリーの極北を爆走していたころの、設定のキャッチーさとひねりのきいたプロットは、いまもじゅうぶん健在であり、奇抜な敵キャラのキャラづけや、思いも寄らない展開の妙は、むしろ当時より磨きがかかっているともいえます。

大きく変わったのは、人物の描き方。それから、物語の語り口です。

 

本作で描かれるのは、突き詰めれば、サリーというヒロインの成長物語。

17歳の少女の、リアルな葛藤と苦悩、家族への想い、冒険の予感、そして危機のなかでたち現れる「本当の自分」との出会いが、本作ではきわめていきいきと描出されます。

スウィアジンスキーが「日記」を通じて描き出すサリーの姿は、聡明で、活気があって、けなげで、美しく、じつに尊い。

同時に、こだわりが強くて、どこか底知れない闇をかかえ、読者にもなかなかその奥底を見せてくれない、謎めいた女性でもあります。

逮捕、拘束、捜査活動、さらには生命の危機という、ふつうの17歳なら耐えきれないような非日常のクリフハンガーをつうじて、彼女は一足飛びにその能力を開花させ、本人も驚くような成長を示していきます。

 

一方で、もうひとりの主人公ともいえる巨漢の刑事ウィルディにも、抱えている想いがあり、葛藤があり、実現したい「街の正義」があります。

それから、サリーのことを心配する家族がいます。父親はドラッグ・カウンセラーであり、一年前に他界した母親にも、とある過去があります。

そして、悪徳と暴力がはびこる街には、憎めない小悪党たちと、正真正銘ろくでなしの悪漢たちが巣食っています。

冬の凍てつくフィラデルフィアを舞台に、物語はそんな人々の思惑と策謀を飲み込んで、ひたすら加速し続け、思いもかけない終結点に向けて疾駆するのです。

 

とにかく語り口がうまい。先が読めない。言い回しが洒落ている。キャラが立っている。

『少女探偵ナンシー・ドルー』や『三姉妹探偵団』のような、ジュヴナイル系の少女冒険譚に通じるワクワク感があり(女の子が、刑事や売人や殺し屋を大向こうに回して、大活躍するんですから)、

スー・グラフトンやサラ・パレツキーのような、「卑しき街をゆくタフな女騎士」を描く女性私立探偵小説の系譜にも属し(「正義と悪」「街の意志」は本作の大きなテーマのひとつといえます)、

『犬の力』や映画『プッシャー』のような、麻薬に汚染された街の生々しい描写を、日本にいながらにして体感できる、とびきりクールな犯罪小説でもあります。

 

感謝祭前日に始まり、クリスマスに終わりを迎える年の瀬の物語。

ちょうどその時期に、翻訳者さんと二人三脚で過酷な編集作業をなんとかやり遂げ、ドンピシャのタイミングで本書を世に問えたことを、心からうれしく思います。

願わくは、ひとりでも多くの方にこの快作を手にとっていただき、サリーの活躍ぶりを楽しんでいただけますように!(編集Y)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年12月25日 23:33 | | コメント(0)

先日ついに発売されました、『このミステリーがすごい!2019年版』

皆様、もうご覧になられたでしょうか?

 

そうです、なんと、うちの『インターンズ・ハンドブック』海外編9位に入ったんです!

嬉しい!! やりましたーっ!!!

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今年もベスト10に扶桑社ミステリーが名を連ねることができましたのは、ひとえにご投票いただいた皆様と、その背後にたくさんいらっしゃる、本作を面白いと思って応援してくださった読者の皆様のおかげでございます。本当にありがとうございました。

とくに、福井健太さんにおかれましては、古山さんに続き、今年の海外編ベスト1に推していただき、感謝の思いでいっぱいです。「軽妙なテンポと語り口がすばらしい」との寸評をいただきました!

 

せっかくなので、もう一度、あらすじと、作中作の序文をアップしておきます。

 

おれはジョン・ラーゴ。もちろん本名ではない。
ヒューマン・リソース社のエース工作員だ。
うちは表向き人材派遣の会社だが、裏では
派遣インターンによる要人の暗殺を請け負っている。
おれは子供のころから暗殺者として鍛えられ、
ずっとここで働いてきた。だがもうすぐ25歳で引退だ。
だからおれは新入り諸君のために、最後の任務を詳述して
暗殺の心得を伝授したいと思う...。
教則本の体裁で描かれる、血と硝煙と裏切りに彩られた
キッチュでオフビートなアサシン・スリラー。
鬼才衝撃のデビュー作!

 

「インターンは透明人間だ。たとえ百回名乗ったとしても、重役たちがその名前を憶えてくれるなんてことはぜったいにない。なぜなら彼らは、組織の最底辺でただ働きしているような人間のことなど、屁とも思っていないからだ。そのくせ重要な仕事を次から次にふってくる。つまりこちらがよろこんで引きうければ引きうけるほど、仕事は――おまけに信用とアクセスも――向こうからやってくる。最終的には、命まで預けてくるようになる。そのときこそ、ターゲットの命をもらうチャンスだ。」
――『インターンズ・ハンドブック』より

 

ふだんミステリーを読まれる方のみならず、気の利いた犯罪映画や、オフビートなクライム・ドラマのファン、それから、殺し屋&悪党たちが大活躍するようなコミックのお好きな方にも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

あと、必殺ファンの皆様も、ぜひぜひ!

 

こういう年間賞は、順位そのものよりも、今年出版された作品のなかで、見逃していた作品、ふだんはチェックしていない版元の作品、誰かが猛烈に推している作品を改めて確認するうえで、とても重要な機会だと考えております。(編集者自身も、ランキング本が出始めて、初めて買う本がたくさんあります。)

 

ぜひ、この機会に、騙されたと思って、『インターンズ・ハンドブック』を手にとっていただければ、これほど嬉しいことはございません。そして、面白ければ、「面白かった」という声を、口コミで広げていっていただけるとありがたいです!(編集Y)

 

 

 

2018年12月12日 15:44 | | コメント(0)

今月頭に発売されました、クライブ・カッスラーの最新刊(ロビン・バーセル共著)、『英国王の暗号円盤を解読せよ!』(上・下)は、もう読んでいただけましたでしょうか?

大富豪のトレジャー・ハンター、ファーゴ夫妻の大活躍を描くこのシリーズ、今回は英国王ジョンの残した財宝をめぐって、海賊の末裔と丁々発止の攻防を繰り広げます!

 

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上巻のあらすじは、こんな感じです。

 

サンフランシスコで休暇を楽しんでいたファーゴ夫妻は、ある古書店に寄った。

稀覯本好きのサムへの贈り物として、レミが密かに海賊の歴史書を探していたのだ。

古書店でレミはサムを外に待たせたまま、その複製版を買い求める。

だがサムは、店内の様子がおかしいことに気づいた。

じつは店に何者かが侵入していたのだ。

侵入者は店主を脅し、本を持ち去った。

彼らの目当ては、長年厳重に保管されていた海賊の歴史書の貴重な初版本だった。

やがて夫妻は、本の裏に秘められた歴史の謎の渦中へと!

 

内容的には、王様の財宝のありかが隠された地図と暗号、それを狙う謎の富豪(そのうち、この人物の祖先が海賊であることがわかる)、古書をめぐる争奪戦、後半で展開される洞窟内での迷宮探検など、「トレジャー・ハンティング&悪漢との対決」という、シリーズの原点に立ち返ったような「体幹の強さ」が際立ちます。

シンプルであるからこその、王道の魅力とでも申しましょうか。

 

敵とのつばぜり合いと並行して、内部情報漏えい者の正体探しがサスペンスを醸成。

ふたりは自家用ジェットをバンバン飛ばして、サンフランシスコから、サンディエゴ、ノースカロライナ、カナダのオーク島の〈マネー・ピット〉、ブラジルの「毒蛇島」・・・と宝探しの旅を続けます。

この世界名所めぐりと、美食、大富豪夫婦の艶めいた軽口こそが、宝探しの醍醐味と並ぶ、ファーゴ・シリーズのもういっぽうの魅力。

『ロマンシング・ストーン』や『インディ・ジョーンズ』みたいな冒険活劇の枠組みに、『探偵ハート&ハート』のロバート・ワグナーとステファニー・パワーズが出てるようなイメージ、とでもいえば良いでしょうか?(古すぎたらすみません)

 

ゴージャスで、ミステリアスで、痛快無比な、壮大なスケールの冒険アドヴェンチャー。

いつもながらのカッスラーのエンターテイナーぶりが発揮された一作です。お楽しみに!(編集Y)

2018年12月10日 18:01 | | コメント(0)

シェイン・クーン。

皆様、この名前を覚えておられますでしょうか?

そう、今年5月に弊社から出しました『インターンズ・ハンドブック』(高里ひろ訳)の著者さん。

 

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もともとの紹介記事は、こちら

 

実は、シェイン・クーンの新作『謀略空港』(原題 The Asset、見次 郁子訳)が、この11月30日に創元推理文庫から発売されます!

なのでまあ、それに便乗いたしまして(笑)、うちの可愛い『インターンズ・ハンドブック』にも、もう一度光を! ということで、評論家の皆さまからいただいたお褒めのお言葉などを、いろいろと並べてみようかな、と。

 

まず、今月すでに発売になりました『ハヤカワ・ミステリマガジン』2019年1月号「ミステリが読みたい!」。ランキングにこそ入りませんでしたが、そこで、書評家の古山裕樹さんが、

 

「軽妙にしてひねくれた語り口の『インターンズ・ハンドブック』が最も心に残った一年だった。狂った設定の犯罪小説としても十分読ませる。かっこよさといかがわしさにあふれる作品だ。」

 

として、なんとベスト1に推してくださいました!

 

嬉しい!! ありがとうございます!!

(そういや、何年か前に小財満さんが『このミス』で『ジグソーマン』を一位に推してくださったのを思い出すなあ。こういう、誰か一人でも、一位に推してくださるくらい偏愛していただける本を、一年に一作でもいいので出していければなと思う、今日このごろです!)

 

その他、翻訳者の上條ひろみさんや三角和代さん、書評家の若林踏さんも年間ベスト10にあげてくださっていて、本当に、ありがたいかぎりでございます。

 

若林さんは、『週刊新潮』2018年6月7日号こちら)で、

 

「設定といい構成といい、どこを取っても奇妙で愉快な殺し屋小説である。ラーゴのペーソスと映画愛(やたらと映画の場面に例える癖がある)溢れる語りに乗せて描かれるのは、テンポの良いアクション、容赦のないバイオレンス、常に斜め上を行く展開の連続だ。」

 

と、本書を取り上げてくださってもいます。まさに、おっしゃるとおり! 『インターンズ・ハンドブック』は、とにかく、「奇妙で愉快」なんですよ。

 

発刊当時は、他にもいろいろな書評家の方が、本書をご紹介くださいました。

『WEB 本の雑誌』【今週はこれを読め! ミステリー編】の2018年5月の回(こちらでは、杉江松恋さんが本書を取り上げ、「奇抜な設定」の妙と、「構成」の仕掛けの巧みさ、「序盤の展開」の面白さなどに触れたあとで、

 

「冒頭でラーゴは、自分が『インターンズ・ハンドブック』を書き上げた理由をこう説明する。「おれ」ラーゴと「きみたち」見習い殺し屋は「おれたち」なのだと。

 この世に産み落とされてしまった「おれたち」。
 自分自身を社会から疎外しようとも、こう生きるしかない「おれたち」。

 そこには〈安物雑貨店のドストエフスキー〉と称された犯罪小説作家、ジム・トンプスン作品にも通じるものがある。「きみたち」に語りかけつつラーゴはずっと「おれ」の内奥を見ようとし続けている。そこに見えるものは光と闇のいずれか。あるいは光に瞳を灼かれるか、闇の中に心地よい居場所を見出すか。轟音と共に物語は結末へと向けて落ちていく。」

 

と締めくくっておられます。

 

霜月蒼さんも、『翻訳ミステリー・シンジケート』「書評七福神の五月度ベスト!」こちら)で、

 

「殺し屋の小説が好きなひとなら問答無用のマスト。プロの犯罪者の小説のファンも、皮肉なユーモアの愛好者も必読であるし、アクション小説好きは無論、青春小説の醍醐味まであるよ!という快作。」

 

と絶賛してくださいました!

 

さらには、酒井貞道さんも、『ミステリーズ!』2018年8月号こちら)で、

 

「語り口が飄々(ひょうひょう)としていて可笑(おか)しい。独白の活きがいい殺し屋が好きな人なら、まず間違いなく楽しめよう。」

 

と紹介してくださっております。

 

とまあ、こんな感じで、名だたる読み巧者のみなさんが、『インターンズ・ハンドブック』の面白さにお墨付きをくださっております。ね、皆さんも読みたくなってきたでしょう?

ぜひ年の瀬、賞レースで一年を振り返ることの多いこの時期に、改めてこのぶっとんだ異色作を思い出し、ぜひ手にとって読んでみてほしい、

そんな願いをこめて、この記事をアップいたします。

 

合わせて皆さん、東京創元社さんの新刊『謀略空港』のほうも、ぜひ読んでみてくださいね!

編集者もなるべく早く読みたいです!   

もちろん、店頭で買わせていただきますよ! (ちらっ)

読んだら、必ず感想をブログでアップしてちゃんと宣伝しますからねっ!(ちらっ)

 

とおねだりも終わったところで

その他の年末ベストなどでも、意外な好位置に食い込んでるなどという情報もあったり、なかったり。

また、なにか新たな情報などありましたら、逐一ブログでご紹介してまいります。

それから、弊社からも12/2日にクライブ・カッスラーの新刊『英国王の暗号円盤を解読せよ!』(上・下)が発売となります。こちらは、ファーゴ夫妻ものの最新刊!

ぜひお楽しみに!(別途、記事はエントリーいたします)(編集Y)

 

 

 

2018年11月29日 22:42 | | コメント(0)

前回、トム・クランシーのオプ・センター・シリーズ『謀略の砂塵』(上・下)の記事で予告いたしましたとおり、10日遅れで、今月二点目の新刊、『黒海に消えた金塊を奪取せよ)』(上・下)が発刊されました!

ファンの皆様、お待たせいたしました。

クライブ・カッスラーの看板シリーズ、ダーク・ピット・シリーズの新刊でございます!

 

今回も、今までどおり、息子のダーク・カッスラーとの共作となります。

翻訳は、新潮さん時代と同じ中山善之さん。カバーイラストも、なるべくシリーズの空気を維持しようと、同じ岡本三紀夫さんにお願いいたしました。

これまで、ダーク・ピット・シリーズはずっと新潮社さんで出ておりましたが、前作『カリブ深海の陰謀を阻止せよ』(上・下)(2014、邦訳2017年)までで止められるようでしたので、続きを弊社にてお引き受けすることにいたしました。

版元が変わりましても、引き続きご愛顧賜れば幸いでございます。

 

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あらすじは、こんな感じです。

 

黒海のボスポラス海峡から20キロの地点で、貨物船クリミアンスター号が何者かの襲撃を受け、ひとりを残して乗組員全員が殺される。

近くを運行していた沈船の調査船マケドニア号は、遭難信号を受信し救助に向かうが、調査中にクリミアンスター号の船尾で爆発が起き、クリミアン号は沈没してしまう。

マケドニア号に乗っていたNUMA(国立海中海洋機関)長官のダーク・ピットは、ユーロポールの特別捜査官アナ・ベロヴァから船の積荷が高濃縮ウランだったとの情報を得て、彼女と協力して調査に乗り出すのだが......。

 

黒海海底の似たような場所に沈んでいた、18世紀の沈没船と、20世紀の爆撃機。

失われた積荷を探求していくなかで、ダーク・ピット&アル・ジョルディーノのコンビは危険なサルベージ屋一味と、ダーク・ジュニア&サマーの兄妹はロシア人エージェントたちと、それぞれ激闘を繰り広げることになります。終盤は、アメリカ本土をターゲットとする大規模テロ計画が明らかとなり、時間を人質にとられながら、ピットたちは敵の動きを封じるべく大立ち回りを演じるのですが・・・。

息もつかせぬカッスラー節は健在。

従来のファンの皆さんにも、他のシリーズから入られた方にも、十分楽しんでいただけると思います。シリーズとはいえ、前の作品とはまったく話につながりがないので、今回から読んでいただいても全く問題ありません。

 

本来なら、9月末に、クランシーの新刊と同時に発刊するつもりだったのですが、編集作業が大詰めを迎えた9月頭に北海道で大地震が発生。翻訳者の中山さんは帯広在住で、電話のやりとりもメールのやりとりもできなくなり、宅配便は送れない、届かないのフリーズ状態、作業は完全にストップしてしまいました。仕事はさておき、ご高齢の方なので、連絡がつけられないあいだ大変心配いたしました。

3日後になって、ようやく電話が通じて、ご無事でいらっしゃるのを確認できた際は、本当にほっといたしました。電話、ネットは停電のため不通、信号機も消えて外すらなかなか歩けないなか、部屋の暗闇でずっと過ごしておられたそうです。そんななか、最速で作業にあたってくださった中山さんには感謝しかございません。

 

ただ、事前に決めた発売日を維持するのは、とうてい無理な感じでした。一月ずらそうかという案もありましたが、新聞広告を予定していた関係などもあり、結局10月上旬に発売させていただいた次第です。多少イレギュラーな発売にはなりましたが、読者の皆様におかれましてはご理解を賜れば幸いに存じます。

 

カッスラーは、オレゴン号シリーズ、ファーゴ夫妻シリーズ、アイザック・ベル・シリーズとすでに弊社で出ておりまして、これで4シリーズ目となります。

なお、実はここだけの話ですが、長らく止まっていたNUMAファイル・シリーズの続きも、来年あたりにうちから出ることが決まっておりまして・・・ふと気づくと、カッスラーの冒険小説シリーズ(いずれも継続中)すべてが、扶桑社で読めることになります!

現時点で最後のカッスラー単独名義作である『大追跡』(上・下)を、前任の担当者が獲得して出版したのが2012年。その後、ソフトバンクさんや新潮社さんから引き継がせていただく形で、ラインナップを拡張してまいりました。

 

カッスラーが『冒険小説の帝王』だというキャッチフレーズは、けっして過大なものではありません。

今でも、アメリカでは出す本出す本、すべてベストセラーリストの発売週ナンバーワンを取り続けています。

これだけヒーローが格好良くて、題材に無条件でわくわくさせられて、展開に手に汗握るような極上のエンターテインメント小説が、ほかにどれだけあるというのでしょう。

冒頭で提示される歴史上の謎と、政治的陰謀、そして秘められた財宝(or遺跡)の存在。

最新鋭の武器・兵器が次々に登場し、ミッションの遂行の過程で引き起こされる、敵との知略に富んだ攻防と、圧巻の戦闘シーンがひたすら活写される。ヒーローは危機に陥っても、軽口を叩きながら、ダイ・ハードぶりを発揮して、不可能を可能に変えて乗り越えていく。

予定調和。大風呂敷。勧善懲悪。それの何が悪い。

とにかく読んで面白い。時間を忘れて楽しめる。読み終わってすかっとできる。

それでじゅうぶんじゃないですか。

そんなアメリカン・エンタメの粋ともいえる稀代のページ・ターナー、カッスラーの新刊を、ぜひお楽しみください!

 

ちなみに・・・12月2日発売予定の次の新刊もカッスラー。こちらは一年ぶりのファーゴ夫妻物です。原点に復帰したかのような、ばりばりの財宝探し譚となっておりますので、合わせてお楽しみに!(編集Y)

2018年10月 9日 14:50 | | コメント(0)

皆様、かつて新潮社さんで出ていた『トム・クランシーのオプ・センター』シリーズをご記憶でしょうか。

トム・クランシースティーヴ・ピチェニックの二人が創造した、テロ組織や仇なす国家の攻撃からアメリカを守るための秘密諜報機関「オプ・センター」の活躍を描く、国際謀略アクション&サスペンス・シリーズです。

国内では、平成21年(2009年)に最終第十二巻『最終謀略』(上・下)が発売されてはや9年。

このたび、新たに仕切り直してリスタートした『オプ・センター』シリーズを、弊社から刊行させていただくはこびとなりました! 

新潮文庫ファンの皆様も、同じ訳者さん、同じイラストレーターさんで、座組はそのまま引き継がせていただきましたので、きっと安心して読んでいただけることかと存じます。

最新作のタイトルは『謀略の砂塵(さじん)』(上・下)。

砂塵というだけに、今回の舞台はアラビアがメインです!

 

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お話は、全米をゆるがす爆破テロで幕を開けます。

NFLのフットボール・スタジアム4箇所で、同時爆弾テロが発生。1000人規模の犠牲者が出ます。

ワシントンDCでは国家安全保障にかかわる各省庁のトップが集結し、善後策が講じられますが、有効な突破口は見出されません。

アメリカ大統領ワイアット・ミドキフは、ふたたび攻撃にされされた本土を守るために、前政権の予算削減のあおりを受けて廃止に追い込まれていた、国家危機に即応する諜報機関「オプ・センター」を再び立ち上げることを決意します。

元オプ・センター長官ポール・フッドが招聘されますが、そこで彼は体調上の理由で固辞し、かわって推挙したのが、チェイス・ウィリアムズ海軍大将でした。

人望高い新長官チェイスのもとで、オプ・センターは爆破テロ犯を追い詰めることができるのか?

さらには、アラブで計画される新たなる謀略を、彼らは食い止めることが出来るのか?

 

上巻途中からは、シリアに派遣されている空母打撃群を狙うキラー・ミサイルの存在が明らかとなり、サウジアラビア、イランをも巻き込む国際的な情報戦&砂漠の掃討戦が展開されることに。

カッスラー、クランシー、フォーサイス、ラドラム、S・クーンツあたりを愛読されてきた方なら心底楽しめる、血湧き肉躍る痛快なエンターテインメント作品となっております。

 

さらに! 大変めずらしいケースですが、本来クランシーと同時発売予定だった文庫がもう一点上下二巻、10月7日発売予定で刊行されます。別の記事で触れる予定ですが、じつは翻訳者さんが北海道の帯広在住で、北海道地震の影響をがっつり受けまして、刊行を遅らせざるをえなかったのです。

どんな本かと申しますと、なんとこれが、いままで新潮社さんで刊行されてきました、クライブ・カッスラーの「ダーク・ピット」シリーズの最新作! 

さあ、いよいよカッスラー作品が弊社に集まってまいりました!!

 

タイトルは『黒海に消えた金塊を奪取せよ』(上・下)

 

こちらもお楽しみに!!(編集Y)

 

 

 

2018年9月27日 17:52 | | コメント(0)

今月の扶桑社ミステリー新刊は、期待の新人ケント・レスターによる海洋冒険サスペンス巨編、『第七の太陽』(上・下)です!

ジェームズ・ロリンズが、「レスターはクライブ・カッスラーとマイケル・クライトンの最良の要素を組み合わせ、独自のジャンルを作り上げた」と絶賛した、入魂のデビュー作です。

 

 

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あらすじはこんな感じです。

 

 

ダン・クリフォードは、地震など想定外の自然災害「ブラック・スワン事象」の予知のため、ニューロシス社でプログラム開発に携わっている。

アメリカ政府との契約が決まって喜んだのもつかの間、無理難題を押しつける社長と意見が対立。その裏に何かがあると感じつつ、休暇を取ってホンジュラスを訪れたダンは、自社の工場で不審な点を発見し、ダイビング中に死体に遭遇する。

帰国したダンを待っていたのは、社長からの解雇通告と、自らが死体で発見した科学者カールの同僚、レイチェルだった。

レイチェルとともに再びホンジュラスに飛んだダンは、自社の工場が海中に不法投棄を行なっていたことと、海洋生物に異常が見られることを突き止める。事件の背後にホンジュラスの鉱山王オルクスが絡んでいると気づいたダンは、奇策を用いて対抗しようとするが、一方その頃ホンジュラスのラ・セイバでは、謎の奇病が蔓延し始めていて......。

 

ダンとレイチェルは人類を襲う未曾有の危機を食い止めることができるのか。
C.カッスラー、M.クライトンの衣鉢を継ぐ、傑作海洋科学サスペンス登場!

 

 

さすがにロリンズが絶賛しているだけのことはあります。新人しからぬ筆致で、ロリンズ、カッスラー、クライトンあたりの作品の流れを組む、痛快なアドベンチャー作品をものしている。

 

さすがに、巨匠たちの円熟した作品群と比べると、個々のシーンに地味さがつきまとうし、総じて展開にも若干バタバタしたところが見受けられますが、伸びしろはじゅうぶんにある作家だと思います。

 

とくに、上巻後半で、深海挺で発生した水漏れが、水圧のせいで水流カッターとなってスッパリ乗員に襲いかかるシーンや、下巻で発生するパンデミックの手に汗握る描写など、アクション&サスペンス要素の書きっぷりは、実に堂に入ったものではないでしょうか。

「第七の太陽」と呼ばれる、人間界を滅ぼしかねない災厄の正体についても、うまく読者の予想を裏切って驚かせる面白いネタを用意しています。

主人公とヒロインが、決してスーパーマンとしてではなく、人間臭いキャラクターとして書かれていること、悪役の描写に力が入っていることなども、プラスポイントでしょう。

 

ぜひ、ロリンズやカッスラー、クライトンなどの愛読者の方に、手にとっていただいてお読みいただければと思います。(編集Y)

2018年7月 9日 21:31 | | コメント(2)

大変長らくお待たせいたしました。ついにスティーヴン・ハンター『マスター・スナイパー』が6月2日に扶桑社より刊行されます!

 

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本書は、ハンターの小説家としてのデビュー作であり、20年ほど前に新潮社さんから出ておりました『魔弾』を、訳文を再検討し改訂を施したうえで、原題(『The Master Sniper』)に寄せたタイトルに改めて復刊したものです。

 

実は昨年末くらいから、弊社より本書を復刊するという情報が市場にけっこう出回っていたのですが(販売部経由であちこちに漏れていた)、実際は契約上の本国とのやりとりがなかなかうまく進まず(揉めたわけでは一切なく、ひたすら先方のレスポンスが遅かった)、ようやく今月の新刊として世に送り出せることとなりました。弊社までわざわざお問い合わせいただいた皆様、本当に申し訳ありませんでした。

正直、刊行までこぎつけることができて、心底ほっといたしております(笑)。


『マスター・スナイパー』は1980年に発表された、ハンターの輝けるデビュー作です。
デビュー作には作家のすべてが詰まっている、とよく言われますが、果たしてどんな小説なのでしょうか?

 

本書は第二次世界大戦末期、敗色濃厚のナチス支配下にある、森の奥の収容所を舞台に幕を開けます。他の収容所と比べて妙にのんびりした、ゆるんだ感じのするその場所で、しかしながら、ユダヤ人作家のシュムエルは不穏なひっかかりを感じていました。その恐るべき予兆は、ある月のない漆黒の夜に現実として牙をむくことになります。

 

 またひとり、倒れた。
 またひとり。
 みんな、がくっと力が抜けたみたいにくずおれた。やや身体をひねり、膝を折ってすわりこんだかと思うと、ゆっくりとまえにのめっていく。
 シュムエルは立ち上がった。
「俺たちは撃たれてるんだ」と、誰かが呆然とした口調でいった。「俺たちを――」その言葉は、弾丸によって途中で断ち切られた。
 祈りの声が、夜の静寂に響いた。ほかには物音ひとつしなかった。
 シュムエルのすぐ隣にいた男の喉に弾丸があたった。男がうしろにひっくり返る。別の男が急に前屈みになった。肺から血がどっと流れだし、ごろごろと喉を鳴らし、あえぐのが聞こえた。だが、ほとんどのものは頭か心臓を撃ち抜かれて、音もなく静かに死んでいった。
 ついにきた。夜がやってきたのだ。ナッハト、ナッハト、夜が襲いかかり、彼を連れ去ろうとしている。シュムエルはまえからずっと、夜がくるのを知っていた。いまが、そのときなのだ。目を閉じたほうがいいとわかっていたが、どうしてもできなかった。
(『マスター・スナイパー』p31より)

 

果たして収容所でおこなわれたこの虐殺こそは、ナチス親衛隊による、とある最新兵器の秘密実験だったのです。彼らは、この新兵器を用いた極秘作戦を計画中で、その実行者に選ばれたのが"狙撃の名手(マスター・スナイパー)"の異名をとるドイツ軍武装親衛隊のレップ中佐でした。

 

彼が標的としているのはいったい誰なのか?
作戦の存在に感づいたアメリカ陸軍戦略事務局のリーツ大尉は、当初聞く耳を持たなかった英国陸軍特殊作戦局のアウスウェイス少佐をも巻き込んで、作戦の全容を明らかにするべく奔走しますが......。


本書は、古き良き戦時冒険小説であり、虚実入り乱れる諜報小説であり、〈スワガー・サーガ〉の原点ともいえるスナイプ・アクションでもある、極上のエンターテインメントです。もちろん、壮絶なガン・アクションも登場します。

もはや帰趨が決した戦争末期という状況下でなお、与えられた使命に殉じ、マンハントに命を懸ける男たちの、追いつ追われつの極限の攻防が描かれる、大興奮必至の一冊です。

 

初めて読まれる方は、〈スワガー・サーガ〉であなたを鷲掴みにしたであろうこの作家の魅力が、本作の時点ですでに十二分に発揮されている点を、ぜひその目でお確かめください。
大昔に新潮版で読まれた方も、かなり訳文のほうに翻訳者の玉木さんが手を入れられましたので、この機会にご再読いただけるとたいへん嬉しく存じます。

 

現在、ハンターは最新作を準備中です(もうすぐ送るよって年明けにエージェントが言ってきてからそれきり音沙汰がないですが、まあそれはそれってことでw)。
皆様におかれましては、ハンターの「原点」をここでじっくり読み返したうえで、腰を据えて新作をお待ちいただけるとよろしいかと。

 

また本作には今回、販売部有志作成の「スティーヴン・ハンター扶桑社刊行全作紹介」の折込を封入しております。こちらの相関図&各作品紹介を見ながら、読み残していた作品にも手を伸ばしていただけると幸いです。ぜひよろしくお願いいたします!(編集Y)

 

追伸:合わせて、翻訳ミステリー大賞シンジケートさんのブログで、なんと♪akira さんが、スティーヴン・ハンターの裏ベスト(!)『四十七人目の男』を取り上げてくださっています! 

 


こちらもぜひご一読いただければ!

 

 

2018年5月29日 22:24 | | コメント(0)

まずは今月の新刊(6月2日発売)の一本目、クライブ・カッスラー&ボイド・モリソン『戦慄の魔薬〈タイフーン〉を掃滅せよ!』(上・下)をご紹介いたします。
海洋冒険小説の王者による〈オレゴン号〉シリーズの最新作です。

 

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 あらすじはこんな感じです。

 

フィリピンの海上で反政府勢力の指導者ロクシンを護送中の船が奇襲された。
そこで衝撃的な事件が起きた。
激しい銃撃戦によって絶命したかに見えた男が目の前で回復を遂げたのだ。
警察が茫然とするなか、男は逃走する。
満身創痍のはずがいったいなぜ? 
一方タイでは窃盗品の美術品売買をめぐって密売業者の抗争が発生。
カブリーヨは旧知の美術品鑑定家に依頼され、美術品の回収を請け負う。
追跡の末に彼らがたどりついたのはフィリピンの山中だった。
しかしそこには逃走中のロクシンの姿が!

盗まれた美術品を回収すべく、カブリーヨはロクシンの極秘施設を探る。
厳重に警備されたその施設で何が行われているのか? 
さらにオレゴン号の乗組員は施設に密かに侵入し、ロクシンに囚われていた化学者たちの救出に成功した。
そこで彼らから聞いたのは、人間を超人的な肉体に変える謎の物質〈タイフーン〉の存在だった......。
第二次世界大戦末期の戦場コレヒドール島を舞台に、悪魔の物質をめぐりオレゴン号の乗組員が苛烈な戦闘を展開する。海洋冒険小説の王者、クライブ・カッスラー最新刊!

 

今回のお題は、人体改造ドーピングと美術品密売。
フィリピンを舞台に、快男児ファン・カブリーヨとオレゴン号の仲間たちが、反政府組織の親玉と戦います。前作『ハイテク艤装船の陰謀を叩け!』では、同等の装備を配した武装船との対決がメインでしたが、今回は島内でのゲリラ勢力との陸上での攻防戦が中心。さらには、南アフリカの傭兵までもが登場し、三つ巴の戦いが展開します。

不死身の肉体を持つバーサーカー(狂戦士)を相手に、カブリーヨたちは勝利を収めることができるのか?

 

ぶっちゃけ、ここ数作のなかでも群を抜いてアクションに比重を割いた、スーパー面白エンターテインメントに仕上がっております。

お題がちょっとおバカだからこそ、まさにフルスロットルで、やれることはなんでもやってみました、という感じ。これを読んで、退屈だったとは決して言わせません!

あと、出だしで『ソロモン海底都市の呪いを解け!』に引き続き、またも731部隊が登場したりしますが、たいして大きな意味はないので日本の読者の皆様はお気になさらず。

 

なお、次のカッスラーは秋頃に、〈ファーゴ夫妻〉シリーズの最新作『Pirate』を、さらに年度内には、新潮さんでずっとやっておられた〈NUMA〉シリーズの続きのほうも、弊社よりご紹介できればと考えております。

今後共ご期待下さい! (編集Y)

2018年5月29日 21:57 | | コメント(0)

通常、弊社におきましては、ハンター、カッスラー、ロリンズといった大物のアクションやサスペンスを中心にラインナップを回しております。

ただ時折、『ジグソーマン』ゴード・ロロ)や『拾った女』チャールズ・ウィルフォード)といった、若干マニアックな癖の強い作品を世に問うてみたり、あるいは、編集者が偏愛する本格ミステリの古典作や異色作家短編集なんかをぽろり、ぽろりと出してみたりもしているわけです。あとケッチャムとか。

一部には、こういう変化球こそが扶桑社ミステリーの面白さだと感じてくれている、酔狂な読者の皆さまもいらっしゃるかもしれません。

 

ということで、お待たせいたしました。次の「タマ」を送り込むときが来たようです。

本年度、扶桑社が贈る「隠し玉」第一弾は......シェイン・クーン『インターンズ・ハンドブック』

原題も、ほぼそのまま『The Intern's Handbook』です。

インターンカバー小.jpg

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なんでタイトルが「インターンズ・ハンドブック」かといいますと、この作品、とある稼業のプロフェッショナルが、自分の所属する団体の新人たちに向けて書いたハウツー本(ハンドブック)の体裁をとっているんですね。

で、その職業というのが、いっぷう変わっています。

殺し屋。

それも若いインターンになりすましてターゲットの属する会社に潜入し、中で成り上がっていくことで会社のトップに近づき、関係を築いたうえで抹殺する、特殊な工作活動を専門とする殺し屋なんですね。

 

本書の(というか、作中作としての「インターンズ・ハンドブック」の)巻頭辞を引用してみましょう。

 

インターンは透明人間だ。たとえ百回名乗ったとしても、重役たちがその名前を憶えてくれるなんてことはぜったいにない。なぜなら彼らは、組織の最底辺でただ働きしているような人間のことなど、屁とも思っていないからだ。そのくせ重要な仕事を次から次にふってくる。つまりこちらがよろこんで引きうければ引きうけるほど、仕事は――おまけに信用とアクセスも――向こうからやってくる。最終的には、命まで預けてくるようになる。そのときこそ、ターゲットの命をもらうチャンスだ。

そして、本書の主人公ジョン・ラーゴは、このインターン殺し屋組織のトップ・エージェントなのです。

あらすじはこんな感じです。

 

おれはジョン・ラーゴ。もちろん本名ではない。

ヒューマン・リソース社のエース工作員だ。

うちは表向き人材派遣の会社だが、裏では

派遣インターンによる要人の暗殺を請け負っている。

おれは子供のころから暗殺者として鍛えられ、

ずっとここで働いてきた。

だがもうすぐ25歳で引退だ。

だからおれは新入り諸君のために、最後の任務を

詳述して暗殺の心得を伝授したいと思う......

 

教則本の体裁で描かれる、血と硝煙と裏切りに

彩られたキッチュでオフビートなアサシン・スリラー。

鬼才衝撃のデビュー作!

 

 

原書の宣伝では、けっこう『デクスター』と関連付けられてました(警察官が実はサイコキラーで悪を次々歯牙にかけていくというアメリカの大ヒットドラマ。ただしこちらは、あそこまでしんねりむっつりな内容ではない)。

かなりクセのある小説なので、未読の方に説明しづらいところもありますが、

エルモア・レナードドン・ウィンズロウよりは、間違いなくコミック・テイスト。

ただし、『バッド・モンキーズ』ほどにブッ飛んだカルト寄りの怪作ではなく、

誰でもごくふつうに楽しんでいただけるエンターテインメントに仕上がっております。

むしろ、著者本人が長く映画業界でやってきた人物なだけあって、

クエンティン・タランティーノとか、コーエン兄弟とか、ウォシャウスキー姉妹とか

ロバート・ロドリゲスとか、テリー・ギリアムとか、そのあたりの「曲者」系監督の

諸作品がお好きな人には、きっと楽しんでいただけるんじゃないかなと。

 

凝りに凝った一人称文体、奇想天外なストーリー展開、

次々と繰り出される雑駁なシネフィル的ネタの数々。

「狙いすましたB級テイスト」がべつに苦手というのじゃなければ、ぜひ手にとってみてください。

ま、あんまり構えずに、気楽に読んでいただければなあ、と思うわけです。

ていうか、あんまりヘンに期待されると、なんかすげえ怒られそうなんで・・・・・・(笑)。

 

でも、個人的には、最高に面白かった。

本当に・・・出して本当によかった。

マジで、そう思ってます。

 

4月29日くらい(連休が挟まるので、地方によっては遅れるかもしれませんが)に発売予定。

乞うご期待。 お楽しみに!!(編集Y)

2018年4月25日 22:06 | | コメント(1)

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