2007年02月22日
【名作紹介】

担当書の思い出 オックスフォード連続殺人 その1


編集を担当した本には、それぞれにいろいろな思い出があります。
もちろん、一般文芸書と違って、翻訳書の場合は専ら翻訳者さんとのやりとりが作業の中心となるので、著者とアイディアを出し合うとか、朝まで飲み明かすなんてことはありませんが、必ず制作の過程で心に残る出来事がひとつやふたつは起こるものです。
これから何回かに分けて、担当編集者Yが経験した、書籍制作のちょっとした裏話を紹介していければいいな、と思っております。

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オックスフォード連続殺人』の訳稿を最初に読んだときには、正直ぶったまげました。
著者はアルゼンチン人なのに、バリバリの王道本格。竹本健治ばりのペダンティズム。パラレルワールドとして浮かび上がる幻想のイギリス。青春小説としての澄んだ味わい。
地球の裏側アルゼンチンに、日本の新本格派と通底する問題意識をもった作家がいるということにまず驚きましたし、ボルヘス的な神話的幻想性が明晰なロジックと分かち難く結びついていることに衝撃を受けました。
たしかに本書の大ネタには前例がある。でも、その処理も理念もまったく異なります。これはこれですばらしい。こんな傑作を担当できて本当に良かった、と思ったわけです。

再校のゲラを回している編集作業も大詰めの頃、あわてふためいた翻訳者さんから、連絡が入りました。
「最近出た英訳版を手に入れたのでざっと目を通してみたんですが、……スペイン語の原書と内容がかなり異なっているんですが……どうなってるんでしょう?」
「は……はい?」(続く)  (Y)


投稿者mystery: 19:03

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