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悪女パズル』は、とあるひとりの翻訳者さんの熱意によって出版に至った作品です。
パトリック・クェンティンといえば、アメリカ本格の大立者ですが、近年は現役の本もほとんどなく、初期の「パズル」シリーズも読めないか、訳はあっても入手不能なものばかりでした。
翻訳者の森泉玲子さんが弊社を訪ねられたのは、僕がミステリ編集の職に就く前のことです。何社かに断られたのちに、うちに来られたようです。当時はまだ国書刊行会さんの叢書が成功する以前で、本格ものの復刊が商売になるかどうかは未知数の時代でした。森泉さんの熱意あふれる説得があってこその出版決定だったのです。

担当することになってお会いした森泉さんは、とても上品な老婦人でした。頭におしゃれなターバンを巻き、美しい日本語を話される魅力的な方でした。これまでいろいろされてきたそうですが、書籍の翻訳は実は初めてとのこと。なんでも、かなりお年を召されてから一念発起して翻訳学校に通い、時間をかけて本書の訳文を練り上げていったそうです。
タイトルに関してうちの会社の上役から横槍が入ったときには、どうしても『悪女パズル』でなければならない理由について書き綴った、何枚にもわたるお手紙を頂戴したこともありました。

そして、出版。結果、作品は好評をもってミステリ・ファンに迎え入れられました。本格ミステリBEST10の2006年度版で、海外部門堂々の2位。「あの扶桑社が」と揶揄されながらも(笑)、とても嬉しい出来事でした。森泉さんも随分と喜んでおられました。(続く)  (Y)

2007年3月14日 16:58

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