2007年7月アーカイブ

7月刊行の紹介第二弾は、マックス・アラン・コリンズの〈大惨事〉シリーズ第二弾、『ヒンデンブルク号の殺人』でございます。
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■ヒンデンブルク号の殺人
■マックス・アラン・コリンズ 著
■阿部 里美 訳
■文庫判
■定価/880円(税込)
■2007年7月30日
■ISBN978-4-594-05418-2
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あらすじはこんな感じです。

1937年5月3日。ドイツの飛行船ヒンデンブルク号が、大西洋横断の旅へとフランクフルトを飛び立った。
台頭するナチスの影のもと、陰謀渦巻く船内で、一人の乗客が謎の失踪を遂げる。
乗り合わせた高名な推理作家レスリイ・チャータリスは、依頼を受けて捜査に乗り出すが……。
史上最悪と言われた謎の飛行船爆発・墜落事故を題材に、『聖者(セイント)』シリーズで名高い作家を探偵役に配した究極の歴史サスペンス。
『タイタニック号の殺人』に続く、巨匠入魂の〈大惨事〉シリーズ第二弾!

前作『タイタニック号の殺人』では、最後の航海の途上で起きた殺人事件を、『思考機械の事件簿』でお馴染みの推理作家ジャック・フットレルが解決するという趣向でしたが、今回の探偵役はレスリイ・チャータリス。
チャータリスは、〈聖者(セイント)〉と呼ばれる義賊サイモン・テンプラーを主人公とした一連のシリーズで知られる著名な推理作家です。日本でもポケミスの『聖者ニューヨークに現わる』など、何冊か翻訳やジュビナイルが出ていますし、ロジャー・ムーア主演のTVシリーズでご存じのオールド・ファンもいらっしゃるでしょう。
前作では、フットレルが主役なだけに本格ミステリー仕立ての趣向でしたが、今回はチャータリスの芸風に合わせて、よりハードボイルドタッチの味わいが強く、美貌のドイツ人秘書とのアバンチュールもこってり描かれています。終盤ではヒンデンブルク号墜落の一大スペクタクルと、乗員乗客のサバイバルがスリリングに展開。恋あり、アクションありのとても面白い読み物に仕上がっているといっていいでしょう。
もちろん、前作でも読者の度肝を抜いた歴史考証の綿密さ、フィクションとリアルを混交する超絶技巧は健在です。ヒンデンブルク号墜落の真相に迫る、著者なりの新たな仮説も提示されています(ちなみにフットレルの場合と異なり、チャータリスがヒンデンブルク号の墜落に立ちあった事実はありません。ただし、彼がヒンデンブルク号の処女航海に乗船していたのは本当です)。その至芸は、クライヴ・カッスラーやジェフリー・ディーヴァーが絶賛するのもさもありなんという気がします。
ハードボイルド&アクションノベルの愛好者も、歴史もののお好きな方も、ぜひご一読いただければ幸いです。
〈大惨事〉シリーズでは、このあと、バロウズと真珠湾攻撃、S.S.ヴァン・ダインとルシタニア号事件、クリスティとロンドン大空襲といった〈夢の取り合わせ〉の続編が書きつがれています。あとは、この作品さえ売れてくれれば……(笑)。(編集Y)

2007年7月31日 23:28 | | コメント(0)

 本書の主人公ダンクが、サンフランシスコの私立探偵事務所に雇われる……とくれば、ゴアズ自身が若いころ探偵事務所に勤めていたことを思いだされるかたも多いでしょう。
 そう、この作品は、ゴアズが自らの体験を投影して作りあげたのだそうです。
 実際、主人公ダンクは、ゴアズと同じノートルダム大学の卒業生ですし、作中のサンフランシスコでの生活の様子も、現実とずいぶん重なるようです。
 もちろん、青年時代のゴアズが、これほど数々の事件に巻きこまれたとは思えませんけども。

 ゴアズ自身の体験が重なって見えるのは、主人公ダンクの読書。
 はじめて登場するダンクは、ゴールドメダル版のジョン・D・マクドナルド『呪われた者たち』(!)を読んでいます。
 そのあと、『ライ麦畑』を読み、『サンクチュアリ』を読み、ついには『長いお別れ』を読んで心酔します。

 ダンクが恋人と見にいく映画は、《見知らぬ乗客》に《ローマの休日》。
 ふらりとひとりで映画館に入れば、《アスファルト・ジャングル》。
 この時代が浮かびますねえ。

 本書の原題は“Cases”。
 こういうのは、邦題をつけるのに悩みます。
 そのまま訳すと『事件』。
 ちょっと淡白だし、大岡昇平の名作とかぶってしまいます。
 複数形なので、より正確には『複数の事件』。
 クリスティーでは“The Clocks”を『複数の時計』とした例がありますが、これもちょっと。
 悩んだすえに、50年代の青年の放浪といえば“On the Road”...ということでひねりだした『路上の事件』に落ちつきました。
 まあ、こういう日本オリジナルのタイトルのつけかたに反対されるかたもいらっしゃると思いますが、いろいろ苦労するものなのです。
 主人公ダンクは、ケルアックは読んでいませんけれど。

2007年7月28日 12:23 | | コメント(0)

 ハードボイルドの名匠ジョー・ゴアズの長編、ひさびさの日本紹介です。

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 舞台は、1953年のアメリカ南部。
 旅をする青年は、浮浪者とまちがわれて収容所送りに。
 そこで、ある事件に巻きこまれるのですが……

 主人公の青年は、ジョージアから、メキシコ、ラスヴェガス、カリフォルニアと放浪をつづけ、次々と事件に遭遇します。
 最終的に、サンフランシスコで私立探偵事務所の助手になり、探偵修業をはじめることになるのですが、予想もしない悲劇が待ち受けます。
 絶望のなかで彼が見つけた真実とは……?

 青春の放浪を描いた物語が、一気にミステリーとして昇華する結末は、巨匠ならではの技。
 ぜひご堪能ください。

2007年7月27日 12:03 | | コメント(2)

こういうニュースは、うれしいものです。

スティーヴン・クーンツ『原潜〈アメリカ〉強奪』が、売れ行き好調につき、重版することになりました。

軍事サスペンスのファンのかたはもちろん、冒険小説やスパイ謀略スリラーがお好きな読者にも、きっと楽しんでいただけると思います。
ぜひ、どうぞ。

2007年7月 3日 19:54 | | コメント(0)

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