ベテラン作家リチャード・マシスンは、2006年に本文庫から出版した『奇術師の密室』で、年間ベストに選出されるなど大きな注目を集めましたが、今回は彼のレアな初期作品をお届けします。

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 本書は、1953年に刊行された、マシスンの長編第2作で、じつに半世紀以上を経ての紹介となります。

 深夜の病室にまんじりともせずに座っているのは、将来を嘱望されたピアニストのヴィンス。
 頭のなかに聞こえてくる謎の声と戦いながら、施設からの逃亡を企てています。
 ここに閉じこめられる原因となったやつらに復讐し、愛する女性ルースを救うために。
 ちょっとここでは書きにくいような看護師の隙を突いて、ヴィンスは脱出に成功するのですが...

 マシスンといえば、なんといっても巧みな小説作法が大きな魅力ですが、初期作品の本書でも、それはじゅうぶんに味わえます。
 まず、ある日の午前1時から夜明けまでを、場面を変えながら、時系列にそって描く構成をとっています(TVドラマ『24』の感じ?)。
 また、物語の前半ではヴィンスの逃走劇がメインとなり、後半は一転して、関係者全員が集まったアパートメントをヴィンスが支配するという、緊迫した密室劇が展開します。
 その過程で、主人公ヴィンスの過去がすこしずつに読者に開示されていくのです。

 もうひとつ、本書のポイントは、かなり早い時期に書かれた、サイコ・サスペンスだということでしょう(ロバート・ブロックの『サイコ』が1959年の刊行です)。
 マシスンが、いかなるサイコ像を作りあげているか、そのあたりもぜひご確認ください。(編集部・T)

2007年9月27日 10:58

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