2007年10月31日
【編集部日記】

三川基好さんのこと(1)


 三川さんにはじめてお会いした場所は、早稲田大学の研究室でした。
 翻訳の依頼にうかがったのです。

 ご本人は、なんというか、父っちゃん坊やな感じで、古英語学専攻の早稲田大学教授(当時は助教授でしたが)というイメージとはまったくちがいました。
 なにより驚いたのは、壁の本棚にならんだ大量のペイパーバック。
 ここ20年ぶんぐらいの冒険小説やミステリーが詰まっていて、どこが古英語学だよ、と突っこみを入れたくなったものです。

 そのときにお願いしたお仕事は、ジョー・ゴアズ『脅える暗殺者』(現在品切れ。すみません)。
 人類学をベースに、人間における殺人衝動の根源を見すえようという野心的なサイコ・サスペンス。
 ……ということで、知識の豊富な大学の先生がいいだろう、とか、まあ、そんなような安易な考えから、翻訳をお願いしに行ったのでした。
 実際、訳されるにあたっては、大学の他の先生たちに、いろいろと教えを乞うてまわられたとか。
(インターネットがまだまだ普及していない時代の話です)

 当時、三川さんは、翻訳家としては、まだまだ駆けだしという時期。
 原稿をいただいたあとで、相当手こずった、とうかがいました。
 いまから思うと、三川さんが手こずる原書があるのかという気がします。
 それぐらい達者で、しかも仕事が早い翻訳家としての仕事ぶりは、三川さんの訳書をご覧いただけばおわかりのとおり。

『脅える暗殺者』は、「このミス」の20位以内にすべりこみました。
 三川さんにとっては、翻訳家になってはじめての重版。
 電話口でとても喜ばれていたのを、昨日のことのように覚えています。(編集部・T)


投稿者mystery: 18:56

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