なにが出るかわからない扶桑社海外文庫ですが、今回は、ファンタジー作品をお届けします。

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『サンシャイン&ヴァンパイア』

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 本書の著者ロビン・マッキンリイは、ニューベリー賞を受賞した『英雄と王冠』(早川書房)などで知られる作家。
 SFやミステリー・ファンには『キングとジョーカー』のピーター・ディキンスンの奥さん、といったほうがわかりが早いかもしれませんね。
 本書は、そのマッキンリイの代表作と賞され、英米で高い評価を得た作品です。

 時代は現代なのですが、魔法や魔物が実在する、パラレル・ワールド風の世界が舞台。
 人間vsヴァンパイアの全面衝突「ヴードゥー戦争」が十年前に起こり、文明は疲弊しています。
 本書の語り手・サンシャインは、そんな世界のアメリカとおぼしき国のある町に住み、家族経営のコーヒーハウスで、腕のいいパン焼き職人として働く女性。
 ある晩、彼女は町を出て湖へひとりでドライブに行ったばかりに、ヴァンパイアの集団につかまってしまいます。
 じつはサンシャインは秘められた力の持ち主だったことから、話は予想もしない方向へ展開していきます……

 本書の魅力は、まず世界設定のあざやかさにあります。
 デーモンや獣人とインターネットが共存し、最新の自動車に魔法の護符が貼られる世界。
 ヴァンパイアは、アン・ライス作品のような美男子ではなく、あくまでも異質で不気味な闇の存在として描かれます。
 トールキンやC・S・ルイスの精神を継ぐ作品にあたえられるミソピーイク賞を受賞しただけのことはあり、斬新な物語世界が好評を得ました。

 それとならぶもうひとつの魅力は、ヒロインの語りにあります。
 饒舌で、ひねくれたユーモアに満ちた一人称。
 そのなかから徐々に物語設定が浮かびあがってきます。
 コーヒーハウスに集う人びとは生き生きと描かれ、ヒロインが作りだすパンや菓子類が小説世界を彩ります。

 ニール・ゲイマンが「ほぼ完璧な作品」と絶賛した、注目の作品です。

(編集部・T)

2007年11月27日 20:14

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