2008年3月アーカイブ

今月の扶桑社ミステリーのもう一本は、本邦初紹介の女性作家、カトリーナ・キトルの『真実ふたつと嘘ひとつ』(上・下)でございます。翻訳者は小林令子さん。

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あらすじはこんな感じです。

女優のデアは嘘つきの常習犯だった。嘘をつくのはただ気晴らしのため。でも、夫でダンサーのペイトンについたひとつの嘘だけは、いつも彼女の心に重くのしかかっていた。それは、実在しない双子の妹についての嘘……。
ある秋の日、デアは、女装した男がハイウェイの高架から飛びおりる現場を目撃する。帰宅後、男が何度も共演した親友の役者クレイグだと知ったデアは、彼を救えなかったことに深い自責の念を抱く。
しかし、彼の死の背後には驚くべき秘密が隠されていた。その謎を解く鍵を与えてくれたのは、デアの母親の持つ特殊な能力――動物とコミュニケーションをとる力だった。真相に近づくにつれ、さらに謎は謎を呼び、事態は混迷の度を深めてゆく……。
舞台関係者を巻き込む怪事件を背景に、喪われた絆の回復と傷ついた魂の解放を細やかな筆致で描き出す問題作!

本当に不思議なミステリーです。
あらすじだけ見ると、ドリトル先生みたいな探偵の出てくるお話じゃないか、と思われるかもしれません。
でも、読むと印象は一変すると思います。本書のキモはむしろ、人と人とのコミュニケーションとディスコミュニケーション。そして、細やかで翳りを帯びた心理描写です。
たとえば、ひとりの人間の死に対して、登場人物たちがここまで想い、悩み、苦しむミステリーはなかなかないのではないでしょうか。
それぞれの登場人物は、表面上見せている快活な姿とは裏腹に、人に話せない秘密、押しつぶされそうな内面の問題を抱えています。彼らは、事件の真相に近づくにつれて、身近な家族や親友の「本当の姿」、そして気づいていなかった「自分自身」を知ることになるのです。
動物とのコミュニケーションもまた、そんなテーマの延長上にあると思っていただければ。
でもね、動物好きの方にぜひ読んでいただきたいミステリーであるのもまた確かなんです。
ヒロインの飼い犬も最高にいいやつなんですけど(下のクーンツに負けないぞ)、個人的には、登場人物の一人の飼っているオウムがとにかくキューンと来るんですよ! 胸にキューンと。
そのへん、ぜひご自身でお確かめいただければ幸いです。
変化球ではありますが、決して読んで損はさせませんです、はい。(編集Y)

2008年3月28日 20:59 | | コメント(0)

 お待たせしました!
 ディーン・クーンツ『チックタック』をお届けします!!

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 この作品は、90年代なかばに書かれながら未紹介のままだった、幻の長編であります。
 当時、日本でのクーンツの翻訳権をアカデミー出版が買うころで、この作品だけ、不幸にもうずもれてしまったのでしょう。
 時期的には、『心の昏き川』(新潮文庫)から Intensity へつづく、クーンツの黄金期に書かれています。

 主人公トミーは、アメリカン・ドリームを追いもとめ、ついに今日、勤めを辞めて一本立ち。成功の象徴=コルヴェットを買いこみます。
 ところが、帰宅したトミーを待っていたのは、見なれぬ手作りの人形。
 この人形が牙をむいて襲ってきたのだから、さあたいへん。
 さまざまな怪物が登場するクーンツ作品のなかでも、これはとびっきりの敵であります。
 悪魔が乗りうつったような人形との、恐怖のチェイス。
 そこへ、トミーを救う究極のヒロインが現われ...

 と、ストーリーを紹介すればこんなふうになるのですが、しかし、この作品の魅力はとてもお伝えできません。
 すくなくとも、個人的には近来稀に見る楽しい仕事でありました。

 もちろん、犬も登場しますよ。
 今回のラブラドール・レトリーバーも、これもまたクーンツ作品のなかでも屈指の存在と言えるでしょう。

 影山徹さんのカバー・イラストも、いつにもましてすばらしい出来栄え(ここで描かれた人形は、なんと「おでんくん」のたまごちゃんのぬいぐるみをもとに制作された、オリジナル・モデル)。

 もう、これはぜひ手にとって、お確かめください。
 ただし、あまりキマジメな読者にはおススメできませんけど...

2008年3月28日 12:55 | | コメント(0)

 ウォン・カーウァイ監督が、ハリウッド・キャストで作った、初めての全編英語の映画が、この『マイ・ブルーベリー・ナイツ』です。

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「なんだ、映画のノベライズか」と思われたミステリー・ファンのあなた、見のがしてはいけません。
 ウォン・カーウァイのストーリーを脚本化したのは、ローレンス・ブロックなのです。

 NYのダイナーに現われた若い女性エリザベス。
 男に捨てられた彼女を迎え入れてくれたのは、オーナーのジェレミーと、毎日彼が作るのに売れのこるブルーベリーパイ。
 少しずつ心の距離が近づく2人。
 そんなある日、彼女は決心する。
「新しい恋に踏みだすまえに、回り道をしよう……」
 メンフィスからラスヴェガスと旅をしながら、エリザベスが出会う、さまざまな愛の形。
 せつなくて幸福な、恋愛ロード・ムービーです。

 エリザベスを演じるのは、映画初出演となる歌手ノラ・ジョーンズ。
 相手役のジェレミーに、ジュード・ロウ。
 その他、レイチェル・ワイズとデイヴィッド・ストラザーンの夫婦や、ギャンブラーのナタリー・ポートマンなど、キャスティングは豪華。
 そこにくわえて、ローレンス・ブロックのたくみなセリフに、ウォン・カーウァイらしい映像美が相乗効果をあげ、忘れられない映画になっています。

2008年3月10日 12:35 | | コメント(0)

いつも扶桑社ロマンスをご愛読いただき、まことにありがとうございます。
年初の時点で2月刊を予定しておりましたリサ・マリー・ライスの新刊に関しましては、
5月刊に変更いたしました。書店向けの仮情報を見て心待ちにしてくださっていた皆様、大変申し訳ございませんでした。
今後のロマンス出版情報についてのお問い合わせも多数いただいておりますので、お詫びかたがた、現時点での予定をお伝えしておきます。

3月末刊
『女狩人と竜の戦士』ノーラ・ロバーツ/著 柿沼瑛子/訳
ロマンスの女王がパラノーマルに挑む、《光の輪》トリロジーの第二弾。
4月末刊
『BETRAYAL』Karen Fenech/著  曽根原美保/訳
中世12世紀を舞台にしたヒストリカル。期待の新人作家の日本初紹介作。
5月末刊
『Valley of Silence』ノーラ・ロバーツ/著 柿沼瑛子/訳
《光の輪》トリロジー第三弾。
『Woman on the Run』リサ・マリー・ライス/著 上中 京/訳
《真夜中》シリーズの著者の単発ロマンティック・サスペンス。

以上は(ほぼ)確定でございます。

6月以降には、Karen HawkinsJennifer St. GilesSophie Jordanなど、日本初紹介作家が贈るヒストリカルのシリーズ作ほか、ノーラ・ロバーツ、コニー・メイスン、リサ・マリー・ライスといったお馴染みの作家による期待の新作が予定されています。
なるべく、毎月1~2作お届けしていきたいと思いますので、
お見限りなきよう、今後ともご愛読のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

さらに、ひとつ隠し玉がございまして……。
超大作の本邦初紹介作なんですが、また詳細が決まりましたらご報告いたします。
訳者さんが、ゲラチェックで泣けて泣けて作業が進められないとおっしゃっていました……。なんとか、今年中にお届けできればうれしいなあ。
ぜひご期待ください!

2008年3月 5日 21:30 | | コメント(0)

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 27歳の時発表した『シンプル・プラン』で衝撃的なデビューを果たし、その後十数年間沈黙を続けたスコット・スミス。その彼がついに2作目を刊行した。
 それが本書『ルインズ―廃墟の奥へ』である。

 真冬の北米雪原を舞台にした第1作と打って変わって、今回の舞台は真夏のメキシコのジャングル。
 アメリカから観光旅行でカンクンにやって来た2組のカップル。
 大学の専門課程に進学するカップルと就職が決まっているカップルの4人が、当地でドイツからやって来た青年とギリシャからやって来た3人の若者と知り合う。
 そこで、ドイツ人青年が内陸部の発掘現場に行ったきり戻らない弟を捜しに行くと言出したので、アメリカ人4人とギリシャ人1人が同行することになった。
 ちょっとしたジャングル探検のつもりで出発した6人だが、マヤ人の集落に到着したありから、一行に災難が次々と降りかかることに‥‥。

『シンプル・プラン』は、平凡な人間が思わぬところで悪の世界に足を踏み入れてしまう恐怖を描いている。
 用心していても避けられない災難。踏んでから気が付く虎の尾。
 アメリカの書評に〈悪の凡庸さ〉なる言葉が使われていたが、まさに「我らの内なるアイヒマン」「普通の人が一番怖い」である。
 では『ルインズ―廃墟の奥へ』はと言えば、「普通の世界も相当怖い」といったところだろうか‥‥。

 なお、この作品は映画化され、この4月にアメリカで上映が決定している。
(編集部・N)

2008年3月 3日 19:08 | | コメント(0) | トラックバック(1)

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 生放送中の討論番組のスタジオ。
 開始から5分後、参加者の一団が、自爆装置を身につけた武装テロリストだと判明!
 犯人グループは、中継の継続を要求し、人質の1人を射殺。
 駆けつけた警察の交渉人や特殊部隊との息詰まる攻防が開始される……

 刻々と展開する事件を分刻みでサスペンスフルに描きつつ、裏に潜む国際的陰謀に肉薄していく様子は、まさに手に汗握る展開。
 エンターテインメントとしてはもちろん、情報小説としても一級で、サスペンス小説のおもしろさを堪能させてくれる、オススメの作品です。

 著者トム・エーゲランは、ノルウェーを代表するミステリー作家の1人。
 彼の名を一躍国際的に高めたのは、2001年の“Sirkelens Ende”という作品。
 これは、イエスとマグダラのマリアの関係をあつかった歴史ミステリーで……というと、そう、かの大ベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』と同じネタを、先行して小説にしていたのです。
 しかも、ほかにも『ダ・ヴィンチ・コード』と重なる要素があり、ダン・ブラウンはエーゲランの作品を剽窃したのでは? という疑惑も出たそうです。

 そんなエーゲランですが、ジャーナリストからTV界に転じたという経歴の持ち主。
 本書は、彼ならではの経験に裏打ちされたサスペンスと言えます。
 北欧から届いた注目の作品をお見逃しなく!

2008年3月 3日 18:20 | | コメント(0)

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