今月の扶桑社ミステリーのもう一本は、本邦初紹介の女性作家、カトリーナ・キトルの『真実ふたつと嘘ひとつ』(上・下)でございます。翻訳者は小林令子さん。

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あらすじはこんな感じです。

女優のデアは嘘つきの常習犯だった。嘘をつくのはただ気晴らしのため。でも、夫でダンサーのペイトンについたひとつの嘘だけは、いつも彼女の心に重くのしかかっていた。それは、実在しない双子の妹についての嘘……。
ある秋の日、デアは、女装した男がハイウェイの高架から飛びおりる現場を目撃する。帰宅後、男が何度も共演した親友の役者クレイグだと知ったデアは、彼を救えなかったことに深い自責の念を抱く。
しかし、彼の死の背後には驚くべき秘密が隠されていた。その謎を解く鍵を与えてくれたのは、デアの母親の持つ特殊な能力――動物とコミュニケーションをとる力だった。真相に近づくにつれ、さらに謎は謎を呼び、事態は混迷の度を深めてゆく……。
舞台関係者を巻き込む怪事件を背景に、喪われた絆の回復と傷ついた魂の解放を細やかな筆致で描き出す問題作!

本当に不思議なミステリーです。
あらすじだけ見ると、ドリトル先生みたいな探偵の出てくるお話じゃないか、と思われるかもしれません。
でも、読むと印象は一変すると思います。本書のキモはむしろ、人と人とのコミュニケーションとディスコミュニケーション。そして、細やかで翳りを帯びた心理描写です。
たとえば、ひとりの人間の死に対して、登場人物たちがここまで想い、悩み、苦しむミステリーはなかなかないのではないでしょうか。
それぞれの登場人物は、表面上見せている快活な姿とは裏腹に、人に話せない秘密、押しつぶされそうな内面の問題を抱えています。彼らは、事件の真相に近づくにつれて、身近な家族や親友の「本当の姿」、そして気づいていなかった「自分自身」を知ることになるのです。
動物とのコミュニケーションもまた、そんなテーマの延長上にあると思っていただければ。
でもね、動物好きの方にぜひ読んでいただきたいミステリーであるのもまた確かなんです。
ヒロインの飼い犬も最高にいいやつなんですけど(下のクーンツに負けないぞ)、個人的には、登場人物の一人の飼っているオウムがとにかくキューンと来るんですよ! 胸にキューンと。
そのへん、ぜひご自身でお確かめいただければ幸いです。
変化球ではありますが、決して読んで損はさせませんです、はい。(編集Y)

2008年3月28日 20:59

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