2008年5月アーカイブ

 なんていうとウソくさいですが、ほんとです。

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 著者ウィリアム・S・コーエンは、下院議員・上院議員を務めたあと、共和党なのに民主党のビル・クリントン大統領に指名されて国防長官になったという人物。
 退任後はコンサルタント会社を立ちあげ、そのかたわら書きあげたのが、この小説です。

 国防長官が炭疽菌によって謎の死を遂げるというショッキングなシーンが導入部。
 その後任として抜擢されたヴェトナム戦争の英雄サンティーニが本書の主人公。
 つまり、国防長官経験者の著者が、国防長官を主人公に書く、という趣向です。

 したがって、ペンタゴンやホワイトハウスの内情を描くとなると、リアルさがちがいます。
 連邦議会や国際会議などでアメリカのトップがなにをしているかも、よくわかります。
 そればかりではなく、世界を脅かす陰謀勢力の内幕も、やはり現実に即して描いていきます。
 そういった側面から、本書はフレデリック・フォーサイスの情報小説とも比較されています。

 ……と言うと、堅苦しい小説に思われるかもしれませんが、そうではないのです。
 現代の非情な諜報戦を描くスパイ小説でもあり、それぞれの立場によって結ばれない者同士のラブ・ストーリーでもあり、国対国の駆け引きを描く政治小説でもあり、最新鋭の兵器を使って不可能なミッションに挑む軍事サスペンスでもあります。
 謀略小説の決定版と言えましょう。

 最後に、ちょっとした裏話を。
 この本の2pめのクレジット表記を見ていただくと、原題がドイツ語で記されています。
 カバーの表には、原題が“The Conspirators”と英語で記されています。
 さらに、裏側を見ると、アメリカ版の原書の写真が入っていて、そのタイトルは“Dragon Fire”となっています。
 なぜこんなにたくさんの名まえを持つのか?

 事情はこうです。
 コーエンは“The Conspirators”と題する小説を書きあげます。
 彼は、執筆に協力してくれた親友のドイツ人に、作品を出版社に売りこむエージェント役を依頼します。
 そのため、世界で最初に出版された国は、ドイツになりました。
 わたしたちも、ドイツのエージェントから権利を取得したため、版権表示はドイツ語タイトルになっているわけです。
 その後、アメリカで出版されるにあたり、コーエン自身によるかなりの原稿修正を加え、“Dragon Fire”にタイトルが変更されたのです。
 今回の日本語版は、タイトルはオリジナルのままですが、翻訳のテキストには、コーエンが手を入れたアメリカ版を使用しています。(編集部・T)

2008年5月28日 00:55 | | コメント(0)

 5月30日発売予定の扶桑社海外文庫新刊は、以下の4点です。
 お買い逃がしのないように!


●扶桑社ロマンス

 ノーラ・ロバーツ『光の輪トリロジー③ 王女と闇の王子』柿沼瑛子/訳
(ロマンスの女王が描くファンタジー・ロマンス3部作、いよいよ完結)

 リサ・マリー・ライス『闇を駆けぬけて』上中京/訳
(大人気《真夜中》シリーズの著者による、ロマンティック・サスペンスの新作)


●扶桑社ミステリー

 グリン・ダニエル『ケンブリッジ大学の殺人』小林晋/訳
(40年代英国本格ミステリー、本邦初登場。緻密な論理の戦いが楽しめる逸品)

 ウィリアム・S・コーエン『陰謀者たち』(上・下)高橋佳奈子/訳
(元アメリカ国防長官が描く、謀略サスペンス。リアルな情報小説としても注目)

2008年5月21日 20:54 | | コメント(1)

 読み逃していませんか、ディーン・クーンツ

 5月3日の朝日新聞の書評欄に、瀬名秀明氏による『チックタック』評が出ました。
 ゴールデン・ウィークまっただなかの日曜の掲載とはいえ、その日から売れ行きが増え、うれしいかぎりであります。

(というのも、ここだけの話、もうすこし売れると期待していたのですが、思ったほどではなくて)

 こちらとしては、いかにもこわそうなホラーに作りあげたつもりです。
 そうやって盛りあげておいて、じっさい読んでみたら、なんだこりゃ、という心持ちを味わっていただきたかったのです。
 いや、もちろん、こわくないわけではないのですよ。
 ただ、この楽しさはちょっと特殊。
 どんな感じかというと...すばらしいイラストを描いていただいた影山徹氏の紹介をご参考に。

2008年5月 8日 15:28 | | コメント(0)

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「これはディエゴ・デ・ラ・べガがいかにして伝説のゾロとなっていったかを描く物語である。長年我々が秘密にしていた彼の正体をようやく明かすことができるわけだが、どうもすんなりとはいかない。……真っ白な紙を前にするとやはり怖気づくものだ」(本書プロローグ)
 記録作家の一人語りという設定の本書はこんな書き出しで始まります。

 さあ、「怪傑ゾロ」という語り尽くされてしまった感のあるキャラクターの前史を、アジェンデはどう創り出すのか。
 まずこの作家は、ディエゴの母は北米インディアンの女戦士(!)であったと差し出して見せます。スペイン人の父にインディアンの母。物語の行く先が俄然拡がったと思いませんか。
 加えて、ディエゴは双子座生まれ(頭の回転が速い、ひょうきん者、臨機応変の俊敏さ)で、相棒のベルナルドは牡牛座生まれ(安定性、静かな強さ、内省的)という細かな設定。
 物語はスムーズに滑り出します。
 お腹に子を宿したディエゴとベルナルドの母がイルカの群れに混じって泳ぐ場面、お告げ探し(ヴィジョン・クエスト)に出たディエゴがキツネ(スペイン語でゾロ)と出会う場面、上陸した海賊が民家を荒し回る場面、さらには、ディエゴとベルナルドが旧大陸スペインのバルセロナに向かう船旅の場面、バルセロナに着いたディエゴが体験する秘密結社の加入儀式の場面等々、興味深い事件が次々と起こります。
 斬新な着想ときめ細かい描写。こういう調子で物語はエンディングまで快調に走り切ります。

 さすがストーリーテラーの名手アジェンデ。
 彼女の手に掛かると物語はこんなにも豊かになることを実感させられた傑作です。(編集部・N)

2008年5月 7日 19:44 | | コメント(0)

弊社よりノベライズ刊行中の映画『ハンティング・パーティ』がいよいよ5月10日(土)よりシャンテ・シネ、新宿武蔵野館ほかで全国ロードショーとなります!

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4月下旬に発売されたノベライズ版の紹介文はこちら。

2000年サラエボ。
かつて戦場レポーターの頂点に輝きながら破滅し、どん底からの再起をはかるサイモン。
彼と共に戦火をくぐってきた元戦場カメラマンのダック。
そして新米TVプロデューサーのベン。
3人が驚愕のスクープを求めて重要戦争犯罪人フォックスの至近距離まで辿り着いたとき、彼らの前に立ちはだかったのは誰一人想像しえなかったある事態だった……。
実話をもとに、命知らずなジャーナリストたちのスリリングな追走劇を描く、R・ギア主演のエンタテインメント大作、待望の小説化!

ボスニア・ヘルツェゴビナが舞台でジャーナリストもの、と聞くと、重苦しい社会派ものかと思われるかも知れませんが、さにあらず。
実話ベースのシリアスな側面も含みつつも、基本的には快調なテンポで、破天荒野郎たちが悪の親玉に迫ってゆく痛快娯楽作品でございます。連休明けにはぜひ映画館に足をお運びください。
もちろんノベライズ版のほうも、リーダビリティの高い仕上がりで、丁々発止の会話の応酬が堪能できます! GWに一足先に映画の中身を楽しむもよし、映画を見てから世界観を一段と深めるもよし。なにとぞよろしくお願いします!

2008年5月 1日 22:54 | | コメント(0)

4月刊のロマンスは、新星カレン・フェネックの中世ヒストリカル『裏切りは愛ゆえに』でございます。

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お話はこんな感じです。

12世紀イングランド。
女領主キャサリンの居城は、敵の猛攻にさらされていた。頼れるのはかつての婚約者ド・ローラン卿のみ。窮状を聞いた彼は、結婚を条件に、城の奪還を約束するが、五年前に婚約を一方的に破棄した彼女の裏切りを許してはいなかった。
しかもキャサリンには秘密があった。攻められる直前、彼女は死別した夫の息子を出産していたのだ。
偽りと裏切りが交錯するなか、夫婦となった二人のあいだに芽生える熱い想いとは……

本作の読みどころは、何と言っても中世物ならではの味わいでしょう。
きびしい領地争いの過中で、かつての婚約者に今も深い愛情を抱きながら、生まれたばかりの息子の存在を隠すという重い秘密を背負わざるを得ないヒロイン。
ずっとヒロインのことを想いつづけながらも、かつての手ひどい裏切り(これにも深い理由があるのですが)から、今も疑心暗鬼に苦しむヒーロー。
中世が舞台でなければ描けない、苛烈な戦闘と渦巻く陰謀に彩られた濃密な愛憎の物語です。ロマサスも書いている作家さんだけあって、謎が謎を呼ぶミステリー仕立の展開や、強烈な印象を残す悪役の描写にも光るものがあります。
また、冗長な表現や過剰な台詞を極力排した独特の文体も、中世という苛酷な現実とロマンが交錯する時代にいざなってくれます。
リージェンシーもの全盛の昨今、たまには他の時代の雰囲気のちがうヒストリカルも読んでみたいなあ、という貴女。ぜひ手にとってお楽しみいただければ幸いです。

2008年5月 1日 22:44 | | コメント(0)

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