ドイツといえば医学の本場……という印象がわたしなどにはあるわけですが、そのドイツで大ヒットとなり、フリードリヒ・グラウザー賞の新人賞を受賞した医学サスペンスをお届けします。

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 主人公は、ベルリンの病院に勤めるホフマン医師。
 医療の現場の状況はドイツも同じらしく、勤務先の大病院は、経費削減と人手不足、ホフマン自身もあいつぐ夜勤で疲労困憊気味。
 そんなある晩、運ばれてきた急患は、かつてホフマンの病棟に入院していて、いつの間にか姿を消したウクライナ人の患者でした。
 しかも、ひどい黄疸症状で、手のほどこしようがなく死亡。
 肝炎が疑われる状況ですが、入院していた時期にはまったくその兆候はなかったことから、「自分が医療過誤を犯したのか?」とホフマンは悩みます。
 病理解剖にまわすよう指示しますが、なぜか診断書が書きかえられ、遺体は葬られてしまいます。
 この不審な出来事の真相を探ろうとするホフマンは、行く先ざきで壁にはばまれます。
 どうやら、病院ぐるみの陰謀が存在しているらしい。
 危険な調査にのぞむホフマンに、病院幹部の謎の死が降りかかります……

 ともすれば、深刻で身の毛もよだつ雰囲気になりがちな物語は、ホフマン医師の独特なユーモアをたたえた一人称によって展開していきます。
 やがて見えてくる、大病院の闇の世界。
 日本でも他人事ではない怖さがあります。

 しかし、本書のクライマックスは、追いつめられたホフマンが放つ、最後の一手。
 起死回生、の逆転劇がさわやかな感動を呼びます。

 最後に、余談。
 著者名のシュピールベルク(Spielberg)は、英語読みすれば「スピルバーグ」ですね。
 ヘルベルト・フランケとフランク・ハーバートの例を思いだしました。(編集部・T)

2008年10月28日 12:22

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