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日本におけるコン・ゲーム小説(詐欺師小説)の嚆矢として、ミステリ史上に燦然と輝く金字塔。それが、『紳士同盟』です。
薬師丸ひろ子主演で映画化もされ、著者にお伺いしたところ新潮文庫版は30万部を超える大ヒットを記録したとのこと(すごい……そしてうらやましい……)。いまも決して古びることのない、第一級のエンターテインメントです。

あふれるアイディア。血沸き肉踊る「騙し」の快感。かろやかなユーモア。
本書がコン・ゲームものの面白さを十全に体現しているのはもちろんのことなのですが、いちばんの独自性を挙げるとするなら、それは「犠牲者小説」としての側面を強調している点にあるのではないかと思います。
他のコン・ゲームものの名作と比較したとき、本書における宮田老人狙い撃ちの趣向はいかにも風変わりに見えますが、これは逆にいうと本書が、トリックを仕掛けて「騙す」側だけではなく、易々と罠にはまって金を吐き出してゆく「騙される」側をも同じ比重で描こうとしていることの証左だといえます。
それに、主人公たちを、自分たちの借金を「詐欺」でチャラにしようと目論むような心性の持ち主に設定した以上、いい“カモ”を見つければ、できるかぎりウマい汁を吸おうとするのは当然のリアリズムなんですね。でも、相手に「騙された」とは気づかせない、かつ骨まではしゃぶりつくさない、という部分で彼らはやはり根っからのワルではない。あくまで一般人と犯罪者とのあわいを行きかう、灰色のヒーローたちなのです。

『紳士同盟ふたたび』は、4年の歳月を経て上梓された『紳士同盟』の続篇です。前作は読んだ記憶があるけど、続篇は読んでいないなあという方も多いはず。ぜひこの機会にお手にとってみてください。前作から全くテンションが落ちていないことに驚かれるはず。というかむしろ、この二作で一篇の壮大な前後篇と考えたほうがよろしいでしょう。
井家上隆幸、内藤陳両氏による再録された解説も、まさに作品評論の至芸といってもいいもので、ぜひ熟読玩味していただければ幸いです。

評論といえば、『紳士同盟ふたたび』のフィルアップとして収録した「深夜の饗宴」こそ、まさにミステリ評論の傑作。これぞ、今回の企画の隠れた“目玉”でございます。なんと単行本『東京のロビンソン・クルーソー』以来、30数年ぶりの収録! 
とにかく読んでみてください。マジでぶったまげますよ。1970年という時点で、こんなバランスのとれたミステリ評論が存在したのかと、目からウロコがぽろぽろ落ちまくり。改めて小林信彦という異才の偉大さが痛感できるはずです。(編集Y)

2009年2月 9日 16:11

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