2009年3月アーカイブ

 ゴアズといえば、『路上の事件』はよかったですよね。
 1950年代の青春ロード・ノヴェルの体裁を借りながら、最後にはすべての糸が1本につながって、私立探偵の誕生に着地するんですものね。

 わたしどもでは、その次の作品“Glass Tiger”の版権を取得しました。
 この作品は、大統領候補の暗殺をあつかったスリラー。
 ゴアズはハードボイルドとサスペンスを交互に書く傾向がありますね。
 こちらは、坂本憲一さんが鋭意翻訳中です。
 
 さて、昨年秋のこと、そんなゴアズの新作の情報が届きました。
 タイトルは“Spade & Archer”。
 そう、ダシール・ハメット『マルタの鷹』の前日譚だというのです!

 なにしろゴアズは『ハメット』という作品をものしたほどの専門家ですから、うってつけの企画。
 サム・スペードがコンチネンタル探偵社を辞め、マイルズ・アーチャーと事務所を構えるまでになる顛末を描いていて、有名な「フリットクラフト」の一件をふくめ、原典の裏側を総ざらいした作品です。
 それは見のがせない!
 低調と言われる昨今の翻訳ミステリー界においては、ひさしぶりに楽しい新作の企画で、こういうニュースは業界的にもうれしいじゃないですか。

 しかし、こういうものは、『マルタの鷹』をラインナップに持っている老舗が出すべきですよねえ。
 と思っていたのですが、なんと! 日本ではどこの出版社も手をあげていないとのこと。
 こんな本が日本で読めないなんてことが許されていいわけはないっ。
 というわけで、社内に諮って企画をとおし、ぶじにオファーしたのでした。

 ところがその数日後、他社からカウンター・オファーが出たと知らされました。
 あらら。
 こうなると、条件のいいほうが競り落とすことになるのですが、こちらが文庫オリジナルという条件でオファーしたのに対し、先方は最初は単行本で出版し、のちに文庫化するという条件を提示。
 というわけで、ウチは負けてしまいました。
 残念。

 けっきょく、『マルタの鷹』の版元である老舗ミステリー出版社が版権を取得した由。なあんだ、まるでウチが当て馬になったみたいなものだったんすね。
 しかし、こんな作品が読めるのは、ミステリー界の再活性化にもいいことでしょう。
 楽しみに待ちましょう!(編集部・T)

2009年3月31日 15:00 | | コメント(2)

 初紹介の作家によるミステリーです。

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 フィレンツェで公演中の奇術師グレイト・サガニーニが、脱出マジックに失敗して舞台上で死亡。
 しかし、脱出口がふさがれていたことがわかり、殺人事件と判明。
 やがて意外な容疑者が浮かび……

 事件から操作、逮捕、裁判までが160ページにおさめられたノヴェラです。
 じつは、扱われているテーマは重いものなのですが、取っつきやすいのがいいところ。
 2時間ドラマ気分で楽しんでいただければと思います。(編集部・T)

2009年3月27日 00:10 | | コメント(0)

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第二次大戦末期の1944年7月。米国カリフォルニア州ポートシカゴの海軍弾薬庫で実際に起きた爆発事故(件?)。七千二百トン級の船が二隻をはじめ、機関車も、貨車も、建物も跡形もなくふっ飛び、数百人の死傷者を出したとされている原因不明の大爆発である。
後に〈ポートシカゴの大惨事〉と呼ばれる謎の大爆発が、レイテ島奪還の準備を進めていた米海軍にとって、言わば、獅子身中の虫を抱えたことになったというプロローグからこの小説は始まる。
第二次大戦後かなり時間が経ってから、この爆発は原子爆発だったという説(きのこ雲の形状が、原爆のそれと似ている)を主張した人物が登場したが、確実な証拠が見つからず、主張者はその説を撤回している。
大爆発の謎は、小説の終盤で作者なりの謎解きを披露してみせるが、本書の読みどころは、やはり、海上の迫力満点な戦闘場面や戦艦内の機器を精密な筆致で描写してみせるところだろう。
戦争小説ファンにお薦めいたします。
 
最後に、本書の翻訳者である山本光伸さんは札幌の出版社・柏艪舎の社長でもあり、最近『CIA ザ・カンパニー(上下)』を同社から刊行されました。著者はスパイ小説の名手ロバート・リテル(久しぶりの御出まし)。こちらのほうも、お薦め本です。(編集部・N)

2009年3月12日 17:19 | | コメント(0)

『読んでいない本について堂々と語る方法』(ピエール・バイヤール/大浦康介訳/筑摩書房)が話題ですね。

 さて、ワールド・ブック・デイ(英国圏を中心に行なわれる、本の記念日)にあわせて行なわれたのが、「読んでいないのに読んだふりしている本」のアンケート調査!

 堂々の1位は、ジョージ・オーウェル『1984年』。42%の人が、読んだふりをして話しているのだそうで。
 オーウェルが入ってくるあたりが、英国らしいっすね。

 2位は、トルストイ『戦争と平和』
 これはわかりやすいですね。
 コーエン兄弟の『未来は今』で、時間の経過をあらわすのに、秘書の女の人が『戦争と平和』を読んでるシーンを思いだします。

 4位に入ったのは、なんと『聖書』。24%が読んだふりをしていると答えています。

 ほかに気になるのは――

 6位、『ホーキング、宇宙を語る』。いまだに1/2スピンはよくわからない。
 8位にプルースト『失われた時を求めて』。よく読んだふりするなあ、こんなもの。
 9位は『バラク・オバマ自伝 マイ・ドリーム』。「こないだ人と話してて、読んだふりしちゃったよ」なんていう人が多かったんでしょうねえ。

 リストは、こんな感じです。

1. オーウェル『1984』42%
2. トルストイ『戦争と平和』31%
3. ジョイス『ユリシーズ』25%
4. 『聖書』24%
5. フローベール『ボヴァリー夫人』16%
6. 『ホーキング・宇宙を語る』15%
7. ラシュディ『真夜中の子供たち』14%
8. プルースト『失われた時を求めて』9%
9. 『バラク・オバマ自伝』6%
10. ドーキンス『利己的な遺伝子』6%

 え、わたし?
 そりゃあもう、全部読んでますよ、はっはっは(この調査のとおりですな)。

 ちなみに今回の調査では、「では、実際にはどんな作家を読んでいますか?」とも聞いています。
 結果は――

1. J・K・ローリング 61%
2. ジョン・グリシャム 32%
3. ソフィー・キンセラ 22%
4. ジリー・クーパー 20%
5. ミルズ&ブーン 18%
6. ディック・フランシス 17%
7. ロバート・ハリス 16%
8. ジェフリー・アーチャー 15%
9. フレデリック・フォーサイス 13%
10. ジェイムズ・ハーバート 12%

『ハリー・ポッター』61%...
 ちなみに、4位のジリー・クーパーは、ノンフィクション作家(英国の階級社会を描いた『クラース』がサンケイ出版から邦訳されていました)から転じて、80年代以降は大ロマンス小説を発表し、大人気の作家。
 それと、5位のミルズ&ブーンというのは、合作者名ではなくて、ハーレクイン・ロマンスを英国で出版している版元のことです(作家とならべてリストに入れていいんですかね?)。
 それにしても、さすが英国人、ベスト10後半はすごいなあ(とくに10位とか)。  (編集部・T)

2009年3月10日 16:46 | | コメント(0)

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