『オックスフォード連続殺人』で『2007本格ミステリ・ベスト10』(原書房)の海外部門第四位に輝き、衝撃の登場を果たしたアルゼンチン人作家ギジェルモ・マルティネスの、ミステリ第二作をお届けすることになりました! お待たせしただけのことはある作品だと自負いたしております。

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あらすじはこんな感じです。

ある日曜日、作家である「私」の元に一本の電話がかかる。
10年ぶりに聞くその声の主はルシアナ。
有能な美貌のタイピストだった彼女は、いま命の危険を訴え彼に切実に助けを求めていた。
この10年の間に彼女を襲った、近親者の相次ぐ不自然な死亡事故。しかし彼女は確信していた。一見無関係に見えるそれぞれの死の背後で、一人の偉大な作家が糸をひいていることを……。

この手の内容の本を、あえて説明もなく読者のお手元にお届けして、そのまま委ねてしまうのは、編集者にとって(もちろん著者にとっても)なかなか勇気のいることです。
なにせ、この小説は“正しく掛け違えられた”小説なのですから。

決して長い小説ではありません。前作と比べても、さくっと読み終えることができると思います。ただ読後感は人それぞれ、まちまちでしょう。正直、読者の皆様がどういう判断を下すかは予想がつきません。

個人的には、きわめて深遠なたくらみに満ちた傑作であると確信していますが、まずは皆様には先入観を持たずに手にとってお読みいただきたいなあ、と思っています。
ちなみに、解説の巽昌章さんが指摘されているように、本書で展開される問題意識には、日本の本格ミステリ作家の一部と、びっくりするくらい通底しているところがあります。表面上は、フレンチ・ミステリに近い形態のサスペンスに仕上がっていますが、むしろ「謎と解明」に心惹かれ、思惟を深めてきた本格ミステリ・ファンの皆様にこそぴったりの小説ではないかと考えております。

ここでは、オビにいただいた法月綸太郎さんの素晴らしい推薦文と、巽さんの含蓄あふれる解説の冒頭をご紹介することで、作品のご紹介に代えさせていただきたいと思います。

二人の作家の心理戦が、奇怪な連続死の背後に潜む
物語の〈魔〉をあぶり出す……。文学的な仕掛けと
逆説に満ちた、戦慄の〈反=連続殺人〉。異様なラ
ストシーンが脳裏に焼きついて離れない。
 ―― 法月綸太郎


私たちはいかにして、運命の姿かたちを知るのでしょう。あるいは、いかにして、ひとつの無残な事故が偶然の産物なのか、それとも天の裁きなのかを判別するのでしょう。
こんな問いは非現実的で愚かしい、だって運命なんてものを信じていないから――そう考える人には本書は無縁かもしれません。いや、やはり、そんな人にこそ一読を勧めるべきではあるまいかとも私は思います。これは奇妙な連続死の謎解きを通じて、運命や神の摂理などというものに対しできる限り懐疑的であろうとしてもなお、知らず知らずのうちに不可思議の顕現を呼び寄せてしまう人間の心の仕組みを描いた小説なのですから。
(巽昌章解説より冒頭部分)


(編集Y)

2009年6月30日 15:55

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