先月末、扶桑社文庫から、梶尾真治『ゑゐり庵綺譚』が発売中です。

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 宇宙港の片隅にあるソバ屋「ゑゐり庵」を舞台に、次々やって来るヘンテコな客が巻き起こすドタバタ悲喜劇を描く連作です。
 くわえて、埋もれたレアな作品をボーナス・トラックとして収録した、まさにカジシン宇宙SF傑作選。
 著者みずから「エッセンスとしてのSFの楽しさを味わっていただけると思います」と述べるとおりの、脳天直撃のおもしろさをご堪能ください。

 これは、2カ月前に発売した『馬の首風雲録』『多聞寺討伐』につづく、日本SFの復刊シリーズの一環です。
 本来は、扶桑社文庫の〈昭和ミステリ秘宝〉のようなシリーズ企画だったのですが、復刊文庫に慎重な書店営業の部署との調整の結果、まずは3作を出版し、それが成功すればつづけていくという前提で、刊行がスタートしました。

 じっさい刊行してみると、売れ行きの数字は悪くないので、安心していたのですが、ところが……
 3冊とも、このままだと採算分岐点をクリアできそうもない売れ行きだ、と申し渡されました。
 これでは、シリーズは打ち切りにされてしまいます。

 初速は悪くないように思えたのですが、それまでなのか。
 もしかしたら、まだまだ読者のみなさんに、この企画が浸透していないのではないか(そもそも予算がないので、新聞広告も満足に出していないのですから)。
 しかし、もし、ほかの出版社でこの企画をやっていたら、もっとちがった結果になっていたのではないか。
 定価が高すぎるのか。
 部数が少ないため、書店さんに行きとどいていないのか。
 いろいろな思いが渦巻きます。

 もちろん、わたしの編集が悪いということもあるでしょう。
 本ができてから反省してしまうのは、いつものとおりです。
 それでも、できるかぎり原稿のチェックには心を砕きました(光瀬さんの本文に関しては、これまでの先行したどの文庫よりも精度の高いものになっている自信がありますし、筒井さんの原稿に関しても、新潮社版の全集より確実だと思います)。
 現代の読者に向けて、やるべきことはやったつもりなのですが。

 もう一度、あらためて広告します。
『馬の首風雲録』は、新しい文章こそ入りませんでしたが、初出の雑誌掲載時の驚くべき結末の相違を明らかにした日下三蔵氏の解説をふくめ、あらためてこの名作を読んでいただくための決定版だと思います。
『多聞寺討伐』は、ハヤカワ文庫版をもとに、「歌麿さま参る」をはじめとする時代SFの名作を精選したうえに、単行本未収録だった「大江戸打首異聞」を発掘した貴重な1冊です。
 そして、今回の『ゑゐり庵綺譚』は、SFならではのアイディア・ストーリーを満喫できるうえ、あの初期の埋もれた怪作「包茎牧場の決闘」を併録したレア版です。

 他社の文庫よりすこし高めかもしれませんが、けっして損はさせません。
 もし買い漏らしたかたは、いますぐ書店へ!
 この本を売ってくださっている書店のみなさま、ご支援をお願いできればと思います。

 このあと企画しているあんな名作やこんな再編集版が出せなくなってしまうのは、あまりに残念で。(編集部・T)

2009年7月16日 16:10

コメント(2)

Comment

  • このブログを読んで、昨日、書店で梶尾真治『ゑゐり庵綺譚』を購入しました。
    もうじき読了するところですが、懐かしく、そして本当に楽しめるSFを復刊してくださり、ありがとうございました。
    価格は、内容に見合っており、別に高いとは思いませんでした。
    30代後半のSFファンとしては、毎月SFアドベンチャーがSFマガジンの横に並んで置かれていた時代を思い出し、あの頃の名作、傑作でいま手に入らない作品も、けっこうあるな、とあらためて思いました。
    この貴社のシリーズが売れていないのは、やはり、宣伝不足のためではないでしょうか?
    SF者の書店員さんが、POPを作ったりして、応援してくれるといいですね。
    とりあえず、扶桑社の日本のSFシリーズの残りの2冊も早急に買わせていただきますので、今後とも、継続できるよう、よろしくお願いします。



    |わごんgame  |2009年7月23日 15:21

  • わごんgameさま

     コメント、ありがとうございます。
     読者のかたのご意見をいただけると、ほんとうに参考になります。

    > この貴社のシリーズが売れていないのは、やはり、宣伝不足のためではないでしょうか?

     耳の痛いご意見です。
     梶尾さんにも「初版はそんなに少ないんですか……」と絶句されてしまったほどなので、宣伝費などとうてい捻出できるものではないという事情はあります。
     地道に書店さんに働きかけるしかないのですが。
     それにしても、しかし……

     他社さんで行なわれている復刊の売れ行きとくらべても、同種の本でもあきらかに数字が伸びないのは、なにかべつな問題があるのでしょうか。
     ああ。



    |編集部・T|2009年7月27日 12:54

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