2009年8月アーカイブ

お待たせいたしました。扶桑社の本格発掘路線、本年度の結実。『ミスター・ディアボロ』をご紹介いたします。

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あらすじはこんな感じです。

西洋学研究学部の裏手を通る〈悪魔の小道〉。そこはかつて、一人の学生がシルクハットにマント姿の怪人とここで遭遇した末に、首を吊ったという因縁の小道だった――。
学会の夕食会の席上、この恐るべき逸話が披露された直後、伝説の怪人“ミスター・ディアボロ”と思しき人影が中庭にたち現れる。会のメンバーは怪人を追いかけるが、〈悪魔の小道〉に飛び込んだ人影は衆人環視のもと忽然と姿を消す。さらにその夜、密室状況下で他殺体が発見され……。
カー顔負けのけれん味と、華麗なロジックを兼ね備えた、知られざる60年代本格の逸品、遂に登場!

ね、面白そうでしょ? わくわくしますよね?
著者のアントニー・レジューンは、かつて二見文庫さんでスパイ小説が一冊紹介されていますが、本格ミステリとしては本作のみ。1960年という執筆年を考えても、このたび訳者の小林晋さんが発掘されなければ、永遠に埋もれたままになっていたことでしょう。

まずは、顔のない怪人、魔術にまつわる因縁譚、旧態然たるカレッジのメンバー、衆人環視下からの天外消失、謎の密室殺人……カーやロースンを彷彿させる大向こうを張った舞台立てに、しびれまくります。

2009年8月26日 17:00 | | コメント(1)

『ロマンスのR』(早川書房)以降、紹介が止まってしまったキンジー・ミルホーンのシリーズですが、扶桑社海外文庫では、そのスー・グラフトンの初期作品を発掘しました。
 それが、8月30日発売の『ロリ・マドンナ戦争』です。

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 予告を見た読者の方から、「キンジーものじゃないのか」という失望と落胆の声が寄せられておりますが、タイトルからおわかりのように、残念ながらアルファベットの新作ではありません。
 まあ、翻訳ミステリーの脇道を行く扶桑社らしいのではないでしょうか。

 キンジーのシリーズで世界的ベストセラー作家となる以前、グラフトンは、1960年代に2作の長編を出版しています。
 デビュー作となった Keziah Dane。そして2作めが、この The Lolly-Madonna War です。どちらも普通小説として出版されましたが、きびしい状況に置かれた家族とその犯罪を描くという点は共通しています。
 なかでも、よりサスペンス色の強い2作めを選んで、今回お届けする次第です。
 海外では稀覯本として価値が高く、数十万円の値で取り引きされることもあるという、まさに幻の作品です。

 この『ロリ・マドンナ戦争』って、日本人ならちょっと引いてしまうタイトルですが(「Vマドンナ大戦争」を思いだします)、ロリ・マドンナは女性の名まえです。
 荒野で対立する2つの家族。そこに、存在しないはずの若い女性ロリ・マドンナが登場したことから、まさに戦争へむかってなだれこんでいく……という、ノワール色の強い作品です。
 著者本人の脚色で映画化され、グラフトンはその後、ハリウッドで脚本家として活躍することになります。
 このあたりについては、小山正氏による本書の解説をご参照ください。

 残暑きびしき折り、より息苦しくなるような小説ですが、キンジー・ファンのみならず、すべてのミステリー好きにおすすめです。(編集部・T)

2009年8月19日 11:54 | | コメント(2)

 ようやくF・ポール・ウィルスンの新刊をお届けできるメドがつきました。

『マンハッタンの戦慄』『神と悪魔の遺産』と数えて、シリーズ8作めにあたる、Crisscross です。

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  (これは原書)

 今回は、ジャックに2つの事件が持ちこまれます。いつものように冴えた計画で「始末」をはかるジャックですが、これまたいつものように(?)、事件は思わぬ展開を見せていきます。
 週刊紙『ライト』や悪徳探偵リッチー・コルドヴァ、「ビル・ハッカー」ミルクダッドなどなど、シリーズ読者ならさらに楽しめる要素満載。さらに、ずっと引きずってきたあの人も……
『ナイトワールド』へむかって影を深める最新刊は、9月30日発売予定です。

2009年8月19日 11:01 | | コメント(6)

 8月末の扶桑社海外文庫では、ミステリー・ファンには見逃せない自信の2本をそろえました。

スー・グラフトン 嵯峨静江/訳
『ロリ・マドンナ戦争(The Lolly Madonna War)』定価750円(税込)

 えっ、グラフトン!? と驚いていただけたのであれば、本望です。
 残念ながら、キンジー・ミルホーンものの新作ではありません。
 アルファベット・シリーズをはじめるはるか昔、ハリウッドで脚本家として活動する以前のグラフトンが出版していた、2作の長編小説うちの1本です。73年に同題で映画化されましたので、ご存じのかたもいらっしゃるかもしれません。
 荒野で対立する2つの家族。そこに「ロリ・マドンナ」と呼ばれる女性が到着したことから、抗争はエスカレート――強烈な印象を残す、ノワール風サスペンスです。


アントニー・レジューン 小林 晋/訳
『ミスター・ディアボロ(Mr. Diaboro)』定価940円(税込)

 もう1作は、これまた知る人ぞ知る、本格ミステリーの埋もれた傑作です。
「悪魔の小道」と呼ばれる大学近くの路地には、いまわしい伝説がありました。かつてここでシルクハットにマント姿の怪人「ミスター・ディアボロ」と出会った学生が、首を吊ったのです。
 そんな都市伝説めいた怪談話の最中、じっさいに中庭にミスター・ディアボロが出現、一同が追うと、怪人は悪魔の小道で消失してしまいます。
 閉鎖状況からの人間消失、密室殺人等々、ケレン味たっぷりの不可能犯罪にロジカルな推理を融合させた、復古調のミステリー。60年代に書かれた幻の逸品です。

2009年8月 3日 15:41 | | コメント(2)

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