『ロマンスのR』(早川書房)以降、紹介が止まってしまったキンジー・ミルホーンのシリーズですが、扶桑社海外文庫では、そのスー・グラフトンの初期作品を発掘しました。
 それが、8月30日発売の『ロリ・マドンナ戦争』です。

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 予告を見た読者の方から、「キンジーものじゃないのか」という失望と落胆の声が寄せられておりますが、タイトルからおわかりのように、残念ながらアルファベットの新作ではありません。
 まあ、翻訳ミステリーの脇道を行く扶桑社らしいのではないでしょうか。

 キンジーのシリーズで世界的ベストセラー作家となる以前、グラフトンは、1960年代に2作の長編を出版しています。
 デビュー作となった Keziah Dane。そして2作めが、この The Lolly-Madonna War です。どちらも普通小説として出版されましたが、きびしい状況に置かれた家族とその犯罪を描くという点は共通しています。
 なかでも、よりサスペンス色の強い2作めを選んで、今回お届けする次第です。
 海外では稀覯本として価値が高く、数十万円の値で取り引きされることもあるという、まさに幻の作品です。

 この『ロリ・マドンナ戦争』って、日本人ならちょっと引いてしまうタイトルですが(「Vマドンナ大戦争」を思いだします)、ロリ・マドンナは女性の名まえです。
 荒野で対立する2つの家族。そこに、存在しないはずの若い女性ロリ・マドンナが登場したことから、まさに戦争へむかってなだれこんでいく……という、ノワール色の強い作品です。
 著者本人の脚色で映画化され、グラフトンはその後、ハリウッドで脚本家として活躍することになります。
 このあたりについては、小山正氏による本書の解説をご参照ください。

 残暑きびしき折り、より息苦しくなるような小説ですが、キンジー・ファンのみならず、すべてのミステリー好きにおすすめです。(編集部・T)

2009年8月19日 11:54

コメント(2)

Comment

  • こんにちは。
    川本三郎氏・町山智浩氏のエッセイで「ロリ・マドンナ戦争」という映画(ニューシネマ時代にメジャーのMGMにより製作された、知る人ぞ知る異色中の異色作)のことを知って、観たくても未ソフト化ゆえに切歯扼腕していたのですが、なんと!原作:スー・グラフトンだったのですね。驚きです。
    以前「シンシナティ・キッド」「ハスラー」を出してくださったときも大喜びしたものでしたが、「翻訳ミステリ・冬の時代」大変だと思いますが、こういう企画は大歓迎で、きわめて微力ながら支持・応援しております。どうかこれからもお仕事頑張ってください。



    |Just passing|2009年8月22日 11:36

  •  コメント、ありがとうございます。
     翻訳ミステリーの売れ行きが全体的に低調だと言われる昨今ですが、読者のみなさんとともに楽しめるものをやっていければと思っております。
     思ってはいるのですが、これがなかなか……
    「Just passing」などとおっしゃらず、ぜひごひいきに。



    |編集部・T|2009年8月24日 14:10

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