2009年11月アーカイブ

スティーヴン・クーンツ 北澤和彦/訳
『消えた核を追え(Liberty)』上・下
定価各940円(税込)

 軍事サスペンスの第一人者、S・クーンツが帰ってきます!

 前作『原潜〈アメリカ〉強奪』につづく、海軍少将ジェイク・グラフトンのシリーズです。
 ロシアの核爆弾がアメリカへ――悪夢のシナリオを回避すべく、グラフトンの戦いが展開します。
 渦巻く謀略とアクションの連続のご期待ください。

2009年11月30日 19:08 | | コメント(0)

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永らくうつ状態状態にあったハンターが、映画『たそがれ清兵衛』を観たことこから始まった〈サムライ映画症候群〉。
その映画による絶大な「覚醒効果」で書き上げてしまったのが前作『四十七人目の男』。
〈スワガー・シリーズ〉の愛読者をびっくり仰天(よくも、わるくも)させた作品だが(なにしろ、舞台が日本!)、今度はホームグランドの合衆国。ナスカー・レースで知られるテネシー州ブリストルおよびその周辺だ。当地に拡がる覚醒剤汚染に端を発して物語が開幕する。
我らがヒーロー、ボブ・リーは、かの清澄庭園に於いて、日本刀による死闘で負った深手が完治しないままでの登場と相成る。それ以前にも数限りない傷を負っているので、まさに満身創痍、眠れば眠ったで夢の中でかつて始末した者たちが姿を現わす、といった状態だ。
そんな彼の前に今回立ちはだかるのがグラムリー一家。旧作『悪徳の都』にも登場したアクの強い犯罪者集団(旧作は父アールが彼らと死闘を演じている)で、なかでも強烈な「個性」を放射しているのが一家のボスでカーネル・サンダースそっくりの牧師(!)だ。
(このボスのキャラクター造形については、「訳者あとがき」に興味深いお話が詳述されている)
さて本作では、ボブお得意の練達の銃さばきが、久しぶりに披露されますよ。足をひきずりながらですが。つらそう……。
がんばれ、アラカン、ボブ・リー! 戦士のたそがれに平穏な時間は流れない。(N)

2009年11月 2日 17:52 | | コメント(4)

 スチュアート・カミンスキーが10月9日に死去。肝炎のために肝臓移植を待つ状態で、心臓発作に襲われたとのこと。75歳でした。

 往年のハリウッドを舞台にしたトビー・フーパーズもの、ロシアの捜査官ロストニコフもの、召喚状送達人ルー・フォネスカものと、多数のシリーズをかかえる、現在の米国では稀に見る多作家でした。
 映画研究者としても著名で、なかでも気になるのはドン・シーゲルの研究書。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の脚本にたずさわったことも知られています。
 大学での教え子にサラ・パレツキーがいて、彼女をエージェントに紹介し、デビューにみちびいたのもカミンスキーでした。

 扶桑社ミステリーでは、シカゴの老刑事エイブ・リーバーマンのシリーズを刊行していました。
 人生の酸いも甘いも噛みわけたユダヤ系の刑事と、アルコール問題をかかえたパートナーのアイルランド系刑事、異様にかっこいいラテン系ギャングなど、多彩な登場人物がからみあいながら進むモジュラー型警察小説で、高い評価を得ました。
 ただ、シリーズを追うごとにじょじょに売れ行きは落ち、5作めをもって断念せざるをえないことになりました。ほんとうに残念です。
 既刊は、以下のとおりです。

 『愚者たちの街』
 『裏切りの銃弾』
 『冬の裁き』
 『人間たちの絆』
 『憎しみの連鎖』

 現在は、いずれも在庫僅少ですので、急いで書店さんにご注文いただければと思います。
 このあと、本国ではさらに5冊が刊行されています。

 このシリーズのカバー・デザインは、亀海昌次さんの仕事。骨太なハードボイルド・タッチのすばらしいカバーでした。
 ご本人もミステリー好きで、この仕事を楽しんでいただけていたと思いますが、その亀海さんも、もう亡くなられてひさしいのですね。(編集部・T)

2009年11月 2日 14:34 | | コメント(0)

 英国の作家ライオネル・デヴィッドスンが死去していたことがわかりました。息子さんの発表によると、肺癌だったとのこと。87歳でした。

 寡作でありながら、CWAゴールド・ダガー×3(『モルダウの黒い流れ』『シロへの長い道』『チェルシー連続殺人』)+ダイアモンド・ダガー受賞。
 ジャンルにとらわれず、質の高い作品を生みつづけた、まさに20世紀後半を代表する作家のひとりだったといえるでしょう。

 扶桑社ミステリーで『チベットの薔薇』を出版したのは、2006年のこと。チベットで行方不明になった弟を探す英国人教師の手記の形式を借り、史実を背景に奇想を展開させた冒険小説でした。
「こんな古い作品で売れるのか」と社内で危惧されましたが、正統的な(?)冒険小説であり、チベット問題という現代に通じるテーマであり、なんといっても翻訳権十年留保で説得して、出版に持ちこみました(デヴィッドスンについて知りたいかたは、小森収氏による本書の解説をぜひどうぞ)。
 この本は、おかげさまですこし売れました。とてもうれしかったです。

 そこで、勢いこんで次に用意したのが、『大統領の遺産』です。
 イスラエル初代大統領が遺した記録をめぐる、これまた史実を背景に奇想を展開させた歴史ミステリーでしたが、こちらは残念ながら、いまひとつの成績。
 70年代の作品でしたが、中東情勢や石油代替エネルギーというテーマが、ちょうど時代がひとめぐりして最先端の問題になっていてよいかと思ったのですが...

 心残りは、1968年の作品 Making Good Again が日本未紹介なままこと。これは、第二次大戦中のナチスの資金をめぐる歴史金融サスペンス小説です。
 いまのところの『大統領の遺産』の売れ行きを見ると、次を出すのは難しいと言わざるをえません。
 また、別名義のものもふくめて、ジュヴナイル・サスペンス小説も未訳のままなのです。こちらもストレートな作品があって、なんとも惜しい。

 ちなみに、日本語で読めるデヴィッドスン作品は、以下のとおり。

  『モルダウの黒い流れ』The Night of Wenceslas, 1960(早川書房)
  『チベットの薔薇』The Rose of Tibet, 1962(扶桑社ミステリー)
  『シロへの長い道』A Long Way to Shiloh, 1966(早川書房)
  『スミスのかもしか』Smith's Gazelle, 1971(角川書店)
  『大統領の遺産』The Sun Chemist, 1976(扶桑社ミステリー)
  『チェルシー連続殺人事件(文庫化で『チェルシー連続殺人』と改題)』The Chelsea Murders, 1978(集英社)
  『極北が呼ぶ』Kolymsky Heights, 1994(文藝春秋)

 70歳を超え、長いブランクをおいて発表した小説が『極北が呼ぶ』だとは、まったくおそろしい作家でした。(編集部・T)

2009年11月 2日 10:51 | | コメント(0)

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