2010年7月アーカイブ

 下でマイクル・コナリーの話をしましたが、コナリーとならんで、扶桑社が紹介をはじめながら手ばなさざるをえなくなった作家に、ジャネット・イヴァノヴィッチがいます。

 ステファニー・プラムのシリーズ(■オンライン書店で購入する
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 ステファニー・プラムは集英社さんに引き継がれ、ソフトバンククリエイティブさんからはメトロガールのシリーズも出版されています。


 さて、いま本国では、イヴァノヴィッチの去就が議論を呼んでいます。

 これまで長年彼女の作品を出版してきた版元セント・マーティンズ・プレスを離れ、ランダムハウスに移籍することになったのです。
 この条件が、すごい。

 イヴァノヴィッチは息子さんがエージェントをやっているのですが、セント・マーティンズとの交渉で、今後4作の執筆に対して5000万ドルを要求したというのです。

 自分で書いてて、思わず桁を見なおしてしまいましたが、「$50 million」だから、やっぱりまちがってないなあ。
 さすがに1作あたりじゃないですよ。4作まとめて5000万ドルです。
 円高レートでも45億円弱、って計算ですね。

 この数字はどういうことかといいますと、アメリカのあるエージェントの試算では、1作あたりハードカバーで125万部売れないと、出版社は採算が採れないんだそうです。

 直近のステファニー・プラム・シリーズ Finger Lickin' Fifteen のハードカバーは97万7千部売れたそうです。
 これはジョン・グリシャムに次ぐ数字だそうで、すごいものですが、試算額に近いけれども、じゃっかん足りないんですね。

 しかも、今後は e-book が増えると思われますが、価格が紙の本より安めに設定されているぶん、出版社の収入は減ることが見こまれます。

 ……ということで、セント・マーティンズはイヴァノヴィッチ側との契約を断念。
 十数年の関係にピリオドが打たれたわけです。

「イヴァノヴィッチにかぎらず、どんな作家であれ、5000万ドルという契約は妥当か?」と業界で議論が起こったところに、ランダムハウスとの契約が成立。

 ところがこのランダムハウスの行動は、逆に心配される羽目に。

 というのも、ある記事によると、イヴァノヴィッチの既刊本は、昨年1年で累計2000万部(!)売れたそうなんですよ(ペイパーバックを入れると、それぐらいの数字になるのだろうか?)。
 それだけの実績があるなら5000万ドルも計算できるかも、というところなんですが、しかし、新作の契約をするランダムハウスは、既刊本を持っていないわけです。

 日本での懸念材料は、ランダムハウスが世界版権も取得したこと。
 なにが懸念かと言いますと、アドバンスを回収するために、海外との取引にも強硬になることが考えられるからです。
 
 ランダムハウスの担当者は「世界市場でのイヴァノヴィッチの価値は高いし、ますます強まっている」と語っていますので、諸外国へのセールスもプレッシャーが高まりそうな予感です。

 扶桑社でイヴァノヴィッチ側との交渉がうまくいかなくなった当時は、新作が出ないために読者のみなさんからよくお叱りを受けました。
 あらためてお詫びします。
 しかし、このように、いろいろ裏の事情があるものなのです。

 集英社さんも、今後はさらにたいへんかもしれません。

2010年7月28日 12:06 | | コメント(0)

 じつは、コナリーを扶桑社に取りもどそうという試みが行なわれたので、その裏話を。

 もともと、「ナイトホークス」(■オンライン書店で購入する
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 ついには「エンジェルズ・フライト」(■オンライン書店で購入する
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 と書きますと、扶桑社がちゃんと売っていないのが悪い、とか、やる気がないんじゃないのか、とか、損してでもシリーズは出しつづけるのが出版社の責務だ、とか、きびしいご批判を受けるものでございます。
 どうもすみません。

 とはいえ、いくら現場が希望しても、会社としてはハナから損をするとわかっているビジネスはできませんし、時に利あらずという事態も起こるものなのです。

 さて、コナリーはその後、複数の版元さんたちによって順調に翻訳刊行されてきましたが、昨年、急にエージェントから話が舞いこみました。
 日本で刊行をつづけている出版社さんが、未刊行作品がいくつかたまっていることもあって、当面コナリーの新しい作品を取得するのを見あわせる、というのです。

 しかも、浮いてしまった新作 The Scarecrow は、扶桑社より刊行している「ザ・ポエット」(■オンライン書店で購入する
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 これは呼びもどすしかない!

2010年7月28日 10:36 | | コメント(0)

なんだか、ものすごく久し振りになってしまいまして恐縮です・・・。

扶桑社ミステリー久々の新刊は、
『隣の家の少女』が30刷11万部を突破し、なおも売れ続けている
ジャック・ケッチャム『森の惨劇』(原題 Cover)。

傑作『オフシーズン』と『隣の家の少女』のあいだ、
最も脂が乗っていた時期に書かれた傑作が、遂にそのヴェールを脱ぐ。

オビ推薦は平山夢明先生!

8月2日(月)の発売です。

まさに本領発揮の一作。

……乞うご期待!

2010年7月24日 14:54 | | コメント(8)

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