欧米の人たちにとっては、夏休みになにを読むかは重要な問題らしく、今年の夏はどんな本がおススメかをマスコミがとりあげたりもします。
 beach readなんていう言葉もありますね(休暇中に海辺でゆっくり読む本、といったところでしょうか)。

 日本ではお盆休みも終わって、通勤電車もいつもの混雑具合にもどりましたが、オバマ大統領は、いまが夏休みの最中(8月24日現在)。
 昨年は、オバマが休暇に持っていく本がリストアップされてて、ミステリーとしてはペレケーノスがあげられたりしていましたが、今年は紹介されないなあ...と思っていたら、ニュースが届きました。

 夏休みをすごすマーサズ・ヴィニヤードに到着した翌日、オバマはポロシャツにジーンズ姿で地元の書店に登場し、紙袋をいくつか下げて出てきました。

 買った本は、Brad Leithauserの A Few Corrections と、ピューリッツァー賞の小説部門を受賞したPaul Hardingの Tinkers 。文学づきましたね。
 それに、子どもたち用に、ハーパー・リーの『アラバマ物語』とスタインベックの『赤い小馬』。手がたい。っていうか、親としては鉄壁の選択。
 とくにハーパー・リーは、発表から50周年ということで盛りあがっているし、なにしろ、人種差別に立ち向かう弁護士の父親を娘の視点から見る小説ですから、ハマりすぎかも。

 しかし、出版業界的に騒ぎになっているのは、書店側がオバマに、ジョナサン・フランゼンの新作 Freedom のリーディング・プルーフをわたしてしまったこと。

 フランゼンにとっては『コレクションズ』以来となる長編小説 Freedom
 じつはこの本、オバマに手わたされた日から10日ほどあとの、8月31日の発売が予定されています。
 しかし、出版前から大きな話題になり、いま、ちょっとしたフランゼン・ブームが起きているほど。
 出版社側は、発売当日まで世の中に出ないよう、きびしく規制をかけていたのです。

 書店がオバマにわたした“プルーフ”というのは、出版社が事前に製作し、書評やパブリシティ用として、関係者だけに配る見本のこと。
 書店が持っていてもおかしくはないのですが、売り物ではありません(だから、この書店もオバマに売ったわけではなく、プレゼントしたわけです)

 あきらかにこの書店が、出版社が設定した禁を破ってしまったということで、どうせならとここが早めに売りだしちゃうんじゃないかとか、もしかしたら出版社が発売を前倒しにしちゃうんじゃないかとか、さまざまな憶測を生んでいるらしい。
 さらに、このニュースを知った読者があちこちの書店にやって来て、お前が持ってる本を出せ、と迫る事態も起きてるそうで、思わぬ余波というところですね。

 もちろん、こういうときの常で、いいパブリシティになったじゃん、という皮肉な意見も。

2010年8月24日 10:42

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