2010年9月アーカイブ

 ご存じ amazon.com の電子ブック用リーダー、キンドルのベストセラー・リストが物議をかもしています。

 このところ、キンドルのベストセラー1位をキープしていたのは、ジョナサン・フランゼンの話題の新作 Freedom だったのですが、先週来、首位から陥落。
 それ以来トップを独占しているのは、エレクトロニック・アーツ社の Scrabble だというのですね。
 そう、「スクラブル」とは、クロスワード・パズルのように単語を作りあうゲーム。
 つまり、ゲーム・ソフトが本を追い落として、ベストセラーの1位となっているわけです。

 ところが、これに対して出版社・著者・エージェントがこぞって猛反発。amazonに批判が集まっています。
 この程度でなぜ? と思われるかもしれませんが、CBSインタラクティブ・ビジネス・ネットワークのブラウン氏によると、大きく3つの理由があるそうです。


(1)カスタマー・サービス上、本とアプリケーション・ソフトは扱いをわけるべき
 それはそうですよね。
 たとえばアップルは、iTuneとiBookとアプリケーションについて、ベストセラーをわけて発表しているそうです。


(2)著者にとって不利益になる
 これは意外かもしれません。
 海外では、著者の新作についてエージェントが出版社と交渉する際、前作がベストセラー・リストに載ったかどうかも大きな材料になります。
 つまり、「それだけ人気が高い作家なのだから、今度の作品も高く買ってくれ」というふうに、交渉を有利に進められるわけです。
 いまのところ、キンドルのベストセラー・リストはそれほど重視されていないそうですが、電子ブックのこれからの市場を考えれば、今後は注目度が高まるはず。
 それなのに、ゲーム・ソフトを入れてしまうと、そのおかげで本来ならベストセラー・リスト入りするはずの本が落ちてしまうことになります。
 これが、著者にとって不利益になる、という理由です。


(3)まったく基準のちがうものを同一に扱っている
 本とゲーム・ソフトでは、売れる数がまったくちがいます。
 たとえば、電子ブックで5万部売れればヒット商品といえますが(これはアメリカの話。日本で5万ダウンロードあれば、超大ヒットでしょう)、iTune用のゲーム・ソフトでは、1日に5万売れるソフトもあるとのこと。
 これでは、しばらくのあいだ「スクラブル」から首位を奪える電子ブックはないだろう、というのです(記事では、「トワイライト」や「ハリー・ポッター」の新作でも出れば別だが、と皮肉まじりに言っています)。


 さて、アプリケーション・ソフトが外されて、電子ブックのみのリストになることはあるのでしょうか。

2010年9月29日 10:28 | | コメント(0)

 文芸エージェントとして活躍してきたラルフ・ヴィチナンザが死去。
 享年60歳。
 就寝中に、脳動脈瘤で亡くなったそうです。

 SFやファンタジーに強いエージェントだったので、扶桑社はさほど付きあいがありませんでしたが、なにしろ彼はスティーヴン・キングを扱っていましたので、関係がまったくなかったわけではありません。
 われわれにとってはなかなかきびしい相手でしたが、そのまま裏を返せば、著者にとってはよいエージェントだということにもなります。
 たとえば、彼のクライアントだったSF作家のナンシー・クレスも、故人をたたえる追悼文を書いています。
「本人にとっては安らかな死(easy death)だったというが、残された者たちにとって、死が安らかなどということはありえない」

 フランクフルトで開催される国際ブックフェアを目前にしての急逝。
 残念だったことでしょう。

2010年9月28日 14:37 | | コメント(0)

 9月25日から、アメリカで「禁書週間」がはじまります。
 といっても、本をどんどん禁書にするわけではなく、逆に、禁書という問題をとおして「読む自由」について考えようというイベントです。
 図書館や出版社、書店、著者などの団体がバックアップして、1982年から毎年行なわれています。

 日本でも、図書館で特定の思想傾向の書籍が意図的に廃棄された、などという事件がありましたが、アメリカでの禁書はフィクションがメイン。
 禁書などというと、現代とは関係ないような感じがしますが(焚書坑儒とか、ナチスとか、「華氏451度」とか)、そうではないのです。

 アメリカの図書館団体が集めたデータによると、禁書にしろという申し立ては、2009年中に全米で460回起こされたとのこと。
 槍玉にあげられた本の上位10作が公表されていますが、なんと第10位には、小社から刊行していたロバート・コーミアの名作『チョコレート・ウォー』が入っているではありませんか。性的な言及や粗雑な言葉遣いなどがあり、青少年読者に不適切だというのです。
 ほかにも、ジョディ・ピコーの『わたしのなかのあなた』や、ステファニー・メイヤーの『トライライト』のシリーズなども。

 これまでどんな本が禁書候補にあげられてきたか、ということで、20世紀をとおして禁書が試みられた作品100を見てみましょう。
 トップ10を紹介しますと――

  1『偉大なるギャツビー(グレート・ギャツビー)』
  2『ライ麦畑でつかまえて(キャッチャー・イン・ザ・ライ)』
  3『怒りの葡萄』
  4『アラバマ物語』
  5『カラー・パープル』
  6『ユリシーズ』
  7『ビラヴド』
  8『蠅の王』
  9『1984年』
  10『響きと怒り』

 なお、11位は『ロリータ』。
 ちなみに、『ライ麦畑』『アラバマ物語』『カラー・パープル』は、2009年のベスト10にも入っているんですよ。
 まるで、禁書というより、名作文学全集みたいなラインナップですね。

2010年9月24日 15:12 | | コメント(0)

 ラリー・アシュミードが亡くなりました。78歳。

 ご存じないですよね。
 Doubleday、Simon & Schuster、Lippincott、そしてHarperCollinsと、大手の出版社であまたのベストセラーを世に送りだした名編集者です。

 こんな話があります。
 ロンドンの出版社に友人を訪れた際に、彼はそこにあった、オクスフォード英語辞典の誕生について書いた原稿をつかみ、「これをベストセラーにするよ」と言ったといいます。
 それが『博士と狂人』となったとか。

 スーザン・アイザックス、アン・リヴァーズ・シドンズ、トニイ・ヒラーマンなど、彼が手がけたベストセラー作家はたくさんいますが、なかでも有名なのはアイザック・アシモフでしょう。
 出版社に就職したてのころ、上司から預かったアシモフの原稿の科学的な誤りを徹底的にチェック。それ以来、2人は長い交友関係を結ぶことになります。
『アシモフ自伝』のなかで語られているエピソード――ある原稿でアシュミードが「この段落は意味不明」とチェックしてきた。それに対しアシモフは「わたしにはわかる」と書いて突き返した。
 こりゃあ、やりにくい作家だわ。
 ただしアシモフは、編集者にはボツにする権限があり、それに対してはなにも言わないのだ、とのこと(ほんとか?)。

 アシュミードは、もともと地質学の博士課程を修了し、奨学金返済のために石油会社に就職したのち、出版社に転職したという変わり種。
 そんな彼が編集者という職業を知ったのは、9歳のとき。
 地元の図書館で、あるミステリー作家が朗読会をしたのですが、彼女は兼業作家で、昼は編集者として働いているのだ、と説明。
 そして、編集者とは、マンハッタンの摩天楼のなかで一日じゅう原稿を読んでいる仕事なのだ、と語り、アシュミードはそれにいたく感銘を受けたのだそうです。
 海外の編集者はそんな理想的な仕事なんでしょうか。

2010年9月 8日 11:40 | | コメント(0)

 ↑上でアシモフの話を書いたので、往年のSF作家についての情報を。

 レイ・ブラッドベリが90歳の誕生日を迎えました。
 1999年に脳卒中になり、いまは車椅子での生活ですが、まだまだ意気軒昂。
『華氏451度』の再映画化話は、メル・ギブソン監督などの名があがりながら、けっきょく映画会社からブラッドベリの手にもどるとのことで、新たな映画化を考えているそうです。
 さらに『火星年代記』の映画化も交渉中とのこと。
 まだ原稿も書いているそうですが、LAの自宅からアリゾナにいる娘さんに電話をして口述筆記し、タイプされた原稿を郵送してもらって手を入れているのだそうです。
「書くのが好きなんだ。自分が好きなことをやり、自分がやることが好きでいられるなら、簡単なことさ」


 アーサー・C・クラークが1964年にBBCで語った未来予測番組が発掘されました。
 クラークは、21世紀にはコミュニケーション技術の革新で、どこにいても人間同士がコンタクトできるようになり、地球はひとつになると説明しています。
 まったくおっしゃるとおり。
 バイオテクノロジーで動物を知性化するとか、宇宙開発などについてもかたっていますが、このへんは、まあ。
 クラークはiPADを予測した、なんて話もありますが。

2010年9月 8日 10:07 | | コメント(0)

日本公開され、爆発的な話題を呼んだ『隣の家の少女』映画版のDVDが、9月8日(水)、ついにリリースされます。


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販売:キングレコード㈱/品番:KIBF-781 

詳細はこちら


内容はまさに完全映画化。
保証いたします。

で、DVDパッケージを開けたら、目に飛び込んでくる超怪しい二人組の写真・・・。
どこからどうみても「日本で同様の事件を引き起こした凶悪犯」にしか見えませんが、
すいません、うちの編集部の担当二人です・・・(汗)。

まさか、キングレコードの担当者さん(傑作ゾンビホラー『処刑山』で、「海に行けばよかった・・・」の名コピーを生んだ方です)の取材でインタビューをうけたときは、こんな使われ方をされるとは思いもしませんでした・・・。

せっかくのDVDの価値を落としていないかと汗顔の至りですが、
この映画がパッケージ化されて世に出るというだけで、もう何も申し上げることはございません。

劇場公開に行きそびれた方、地元では公開のなかった方、
ぜひDVDをご購入いただき、奇跡の実写化をその目でお確かめ下さい!

(編集Y)

2010年9月 2日 22:20 | | コメント(0)

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