2010年10月アーカイブ

 ペイパーバック出版をやめて、電子書籍への切り替えを発表した Dorchester Publishing の続報です。


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 アメリカの出版社は、著者から著作権の一部を期限つきで譲り受けたうえで、さまざまな出版活動を行なうのが一般的です。
 そこで、ペイパーバック出版をやめることになったドーチェスターは、権利を著者に返還しているそうです。
 ところが、それにもかかわらず、ドーチェスターは電子書籍を売りつづけている、というのです。
 このままでは、電子書籍の売上はいったんドーチェスターに入るわけですが、著者との契約を解消した以上、版元が収入を得るのはおかしいわけですね。

 ある著者は、ドーチェスター版の自分の本の電子書籍版を販売している amazon や B&N などに販売中止を申し入れているそうですが、まだ解決されていないようです。
 いっぽう、ドーチェスター側も取材に応えていないとのこと。
 
 じつは、電子書籍においては、販売終了を電子書店に通知をしても、タイムラグができてしまって、しばらく売りつづけられてしまうということが、日本でもよくあります。
 しかし、今回のケースはそんなイージー・ミスとは思えず、雲行きがあやしいですね。

     *     *     *

 さて、ドーチェスターを窓口にしていたノワール・レーベル Hard Case Crime ですが、こちらは無事に新たな版元を見つけたようです。
 英国の出版社、Titan Books。映画やTV本、グラフィック・ノヴェル等々を手がけるところで、これはこれで水があうかもしれません。
 まずは、ひと安心。

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 MWAが、エドガー賞の選考から、ドーチェスターで出版された作品をはずすと宣言。
 アドバンスやロイヤリティの支払いがとどこおっている著者がいるのだそうです。

 MWAは、以前もハーレクインに対して同様の措置をしたことがあります(すでに解決済み)。
 今度は、RWAが追随する、なんていうこともあるかもしれません。
 ドーチェスターは作品も多いので、あまり揉めなければいいのですが。

2010年10月28日 10:52 | | コメント(0)

 フォーブス誌が物故セレブの長者番付を発表しましたね。
 マイケル・ジャクソンがダントツの1位だというので、日本でも報道されました。
 ジャッコの収入は2億7500万ドル。2位のエルヴィスが6000万ドルですから、たしかにぶっちぎりの1位。

 3位はJ・R・R・トールキン。『ホビットの冒険』の映画化もあるし、本もいまだに年間50万部売れているんだとか。

 4位、チャールズ・M・シュルツ。
 5位、ジョン・レノン。
 このへんはいいですよね。

 では、6位に入ったのは誰だったでしょう?

2010年10月27日 13:26 | | コメント(0)

 アメリカの古書店が作ったビデオです。

 おもしろい。

 倒れていく本がときどき確認できますね。
 あ、ノーラ・ロバーツだ、とか、お、グリシャムだ、とか。ディーヴァーとか、ケラーマンとか。ロバート・B・パーカーが踏みつけに!  とか。

 けど、ちょっと抵抗もありますねえ。
 電子書籍ではできない遊び、って言われれば、それはそうですが。

2010年10月25日 09:49 | | コメント(0)

来月の扶桑社海外文庫では、ケッチャム以来久々のミステリーをお届けする予定です。
その作家とは……リザ・スコットライン

リザ・スコットライン 高山祥子/訳
『虚偽証人』(上・下)
(原題 Devil's Corner) 定価各840円(税込)

ハヤカワ、講談社さんの既刊でもおなじみの大ベストセラー作家が贈るノンシリーズ・タイトル。
日本での紹介は『代理弁護』以来6年ぶりとなります。そのあいだに、アメリカではもう押しも押されぬ大作家への道を邁進中。良質のリーガル・サスペンスの醍醐味をぜひご堪能ください。

発売日は11月2日(火曜日)です。

そして、12月2日には、いよいよスティーヴン・ハンターの最新作『I,Sniper』が登場します。
今回は、マジで期待してください。
解説をお願いした野崎六助さんから、

「長年のハンター愛読者として、折り紙をつけよう。
 これは、ベスト・オブ・ベストだ。
 シリーズの集大成というだけでなく、最高に突出している」

との胸ふるえるお言葉をいただきました!

詳細は、また追って!!

翻訳ミステリー氷河期のただなかで、じっと息をひそめて春を待つ今日この頃。
微力ながら、雪解けを呼ぶ灯をそっとともし続けていきたいと考えております。
とにかく、クイーンもキングも読んだことすらない若者が増えるいま、
自分たちに何ができるかを真剣に考えていかないと……。
ご支援、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします!(編集Y)

2010年10月22日 22:00 | | コメント(4)

 ここ数日、amazon.com や Barnes & Noble といったアメリカのネット書店で、マーク・トウェインの“新作”の予約がベストセラー入り。
 ジョン・グリシャムやケン・フォレットを抑える人気ぶりだというのです。

 その本は、The Autobiography of Mark Twain, Volume 1 という、3巻本の第1巻で、11月15日発売予定。
 マーク・トウェインにAutobiography(自伝)なんかあったっけ? と思ったあなたは正しい。
 トウェインは原稿を完成していたわけではなく、今回の本は当時の新聞雑誌の記事なども寄せ集めて作られたようです。

 トウェイン自身は、この自伝について、発表するといろいろと差しさわりがあるので、自分の死後百年ぐらい待て、と言い残していたそうです。
 それが、めでたく出版されるというわけですね。

 この1巻めは、760ページ、定価34ドル95。
 おもとめやすい電子ブック版もありますよ。

2010年10月21日 11:27 | | コメント(0)

囚われの身で読む本
囚われの身で読む本 その2

 刑務所図書室の話題を取りあげてきましたが、Running The Books: The Adventures of an Accidental Prison Librarian なんていう本が出たそうです。
『刑務所図書館員になってしまった男の冒険』っていうところでしょうか。

 著者のアヴィ・スタインバーグは、ハーヴァードを出たものの、新聞の死亡記事を書くぐらいの仕事しかなく、やむなく応募したのがボストンにある刑務所の図書室の仕事。この本は、彼の回想録なのです。

 受刑者たちが法律や職業上の調べものをするのを手助けしたり、宗教や娯楽のための読書に協力するのがおもな仕事。
 この刑務所は、男女両方が入っていて、もちろん双方が接触しないように厳格に区分されている。図書室は、男女が使う時間帯をわけているそうです。
 ところが、図書室の本が男女の通信に使われてしまう。カップルが、示しあわせておなじ本を借り受け、手紙をはさんでやり取りするんだって。
 そういうのを阻止するのも彼の仕事なんだとか。

 刑務所ならではの問題は多くて、たとえば図書室ではシルヴィア・プラスが人気なんだそうですが、プラスは若くしてガス自殺した女性なので、その作品を読ませると自殺願望を植えつけないか、と議論になったりするようです。
 その程度でもめるのであれば、連続殺人者についての本などがあれば、大騒ぎでしょうね。

 彼は、受刑者たちの文章講座の指導などもやったのですね。
 ところが女性受講者たちは、本にある著者写真を見ただけで、フラナリー・オコナーは信用できると考えたり(逮捕された人みたいだし、たいした美人じゃないから)、ガルシア・マルケスはウソつきだと断定してしまったりするそうで、たいへんらしい。

 著者は、勤務して3日めには上司から「きみは働きすぎだ」と注意されたといいます。
 受刑者のために最善をつくすべきなのか、あるいは看守側に立ってきびしく管理すべきなのか?
 彼はその狭間に立って、苦労を重ねていくようです。

2010年10月19日 10:56 | | コメント(0)

 ブッカー賞、なんてのは、このブログにはそぐわない話題みたいですね。
 あ、サラ・ウォーターズがノミネートされたりしてるから、そうでもないですか。

 さて、英国のことですから、賞の選出には賭けが付きもので、ブックメイカーがブッカー賞ギャンブルを行なっています。
 ところが、今年は異変が。

 ノミネート作品のなかに、トム・マッカーシーという作家の C があります(20世紀はじめのテクノロジーの開花期を描いた実験色の強い作品らしい)。
 先週、この作品への賭け金が異常に集中。ブックメイカーによっては賭けを停止する騒ぎになりました。

 ブックメイカーのラドブロークス社によると、7月にノミネート作品6作が発表されてから、集まった賭け金はトータルで10000ポンドほどだったそうです。
 ところが、先週の水曜、午前中だけで C に15000ポンドあまりの賭け金が集中したというのです。
 驚いたラドブロークスは、この賭けの受け入れを停止。
 その時点で C の倍率は、4:6だったそうです。つまり、4賭けて勝ち金が6ということですね。
 ちなみに、ほかの人気作品はエマ・ドノヒューの Room で、倍率は1:5だったそうです。

 今年のブッカー賞は、これぞという有力候補がいなかったそうですが、急に流れが変わってしまったわけです。
「サルマン・ラシュディが候補にいたら驚かないが、限度を越えた説明のつかない事態なので停止を決定した」とラドブロークス。

 いったい、なにがあったのか?

 ブックメイカーのウィリアム・ヒル社は、賭けを停止する理由はないとして、続行。
「選考委員のうち3人が、自分の好みとしておなじ作家の名まえを漏らしてはいるが、疑わしいところはない」としています。
 そして、この賭けはたくみなパブリシティ戦略ではないか、とほのめかしています。
 つまり、賭け金をつりあげて世間の注目を引こうとしている、というわけです。
 C の版元は、もちろんこれを否定しています。
 ちなみにウィリアム・ヒルの C の倍率は、10:11だって!

 で、昨日、ついにブッカー賞が発表されました。
 その結果……

2010年10月13日 09:54 | | コメント(0)

 すでにお伝えしたジム・トンプスン『おれの中の殺し屋』の映画化ですが、日本での公開が決定しました!

 邦題は『キラー・インサイド・ミー』
 公開時期は2011年春ごろになりそうとのこと。
 内容については...またあらためて。

 今後の情報はわかりしだいアップしていきます。
 乞うご期待!

2010年10月 8日 17:28 | | コメント(0)

という触れこみなのが、これ

 角度を変えると、こんな感じ

 世界の大陸の地図と、おもなスポットの写真が載っているんだそうで、大きさは6×9フィート(およそ180cm×270cmといったところ)。

 製作したゴードン・チアーズ氏は、もともとペンギンやランダムハウスといった大手で仕事をしていたそうですが、この企画を出したところ、どちらでも受け入れられず、それならということで独立し、これを作りあげたといいます。

 1冊10万ドル。
 31冊しか作らないそうですが、すでに2冊はアラブ首長国連邦の博物館がお買いあげ。
 チアーズ氏は、予定部数はすべて売れるだろうと強気です。


 これが発表されたのは、ドイツ・フランクフルトで開催されている国際ブックフェアの会場。
 ブックフェアといっても、電子書籍が注目をあびていて、チアーズ氏は納得行かないご様子。
「いまはすべてがデジタルで、あっという間に消去されてしまう。しかしこの本は、500年かそこらはもつよ」
 なるほど、端末がどうあれ、これなら紙の本の勝ちかも。
 扶桑社は、今年はフランクフルトに参加していないんですが(翻訳出版社としては異例のこと)、実物を見たかったですねえ。

2010年10月 7日 10:24 | | コメント(0)

 ニューヨーク州のバーンズ&ノーブル書店フォレスト・ヒルズ店で事件発生!

 9月28日、昼12時15分ごろ。
 書店の店員から、トイレで人が倒れているとの通報がありました。
 警官が駆けつけて調べたところ、倒れている男はまったく反応がなく、すでに死亡しているのが確認されました。

 遺体は、25歳ぐらいの男性でした。
 彼が倒れていたトイレは、店舗2階の児童書売り場のそば。
 10時に開店して、2時間あまりのことでした。
 ちなみに、店があるフォレスト・ヒルズは、ニューヨーク近郊のおだやかな住宅地です。


 謎めいた事件ではありませんか。
 いったいなにがあったのでしょう。

2010年10月 6日 09:55 | | コメント(0)

 以前、グアンタナモ収容所の図書館の話をご紹介しました。

 いっぽう、いま、アメリカの刑務所の図書室のありかたが議論を呼んでいます。


 2007年、コネティカット州チェシャイアでむごたらしい事件が起こりました。
 医師の家に2人組が侵入し、家族4人を監禁、放火。医師だけは助かったものの、妻と2人の娘が死亡したのです。

 犯人は逃亡前に逮捕されたのですが、その片方は、強盗をはじめ前科26犯、17の刑務所で服役してきたという男。
 彼の公判がはじまったのですが、その準備として、この男が刑務所のなかで読んだという本のリストが弁護側によって提出されました。
 しかし、検察側はそれを取りあげなかったため、公判中にこの件に触れられることはない予定です。

 さて、そこでマスコミが、刑務所ではどんな本が読めるのだろうと調べたところ、カポーティの『冷血』が2つの刑務所内の図書室に所蔵されていることがわかりました。
 もしかしたら、犯人が読んで参考にしたのではないか!?

 たしかに、2人組の犯人が家宅侵入して一家を惨殺するという点で、事件と『冷血』が似ていないことはない。
 もちろん犯人が読んでいなかった可能性が高いですが、すくなくとも読める状態にあることはまちがいないのです。

 ほかにも刑務所内には、犯罪ノンフィクション作家アン・ルールの作品(『テッド・バンディ』他が訳出されています)や、フィクションでもジェイムズ・パタースンの『多重人格殺害者』などのサイコ・サスペンスも所蔵されていました。

 コネティカット州のある上院議員は「世の中にはたくさんの本があるのに、受刑者が人殺しについて書かれた本を読む必要はないだろう」として、『冷血』などを図書室から排除するよう主張し、法的な行動も辞さないとしています。受刑者がこういった本を読み、犯罪を計画するのではないか、というわけです。

 刑務所では、受刑者に直接送られてくる本などもチェックもしているのですが、性的な描写がある本やストリート・ギャングを描いたもの、あるいは暗号が含まれている書籍などは排除していたものの、“ナイト・ストーカー”ことリチャード・ラミレス(13人を殺害した犯人)についてのノンフィクションなどはそのまま届けていたことが判明しました。

 じっさい、かつてジョン・ファウルズの『コレクター』に触発されたという連続殺人犯がいましたし、スティーヴン・キングの『ハイスクール・パニック』を読んだ少年が、学校で教師と生徒を殺害したという事件もありました。
(ちなみに『ハイスクール・パニック』は当社から翻訳出版されていた名作ですが、コロンバイン高校の事件を受けて、キング自身が全世界での絶版を指示しました)

 もちろん、本に影響されて犯罪を行なう、などという極論には反対する人も多く、アメリカ自由人権協会の弁護士は「例によって、政治家が凶悪犯罪を口実に表現の自由をおかそうとしている」と批判しています。

2010年10月 5日 11:06 | | コメント(0)

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