囚われの身で読む本
囚われの身で読む本 その2

 刑務所図書室の話題を取りあげてきましたが、Running The Books: The Adventures of an Accidental Prison Librarian なんていう本が出たそうです。
『刑務所図書館員になってしまった男の冒険』っていうところでしょうか。

 著者のアヴィ・スタインバーグは、ハーヴァードを出たものの、新聞の死亡記事を書くぐらいの仕事しかなく、やむなく応募したのがボストンにある刑務所の図書室の仕事。この本は、彼の回想録なのです。

 受刑者たちが法律や職業上の調べものをするのを手助けしたり、宗教や娯楽のための読書に協力するのがおもな仕事。
 この刑務所は、男女両方が入っていて、もちろん双方が接触しないように厳格に区分されている。図書室は、男女が使う時間帯をわけているそうです。
 ところが、図書室の本が男女の通信に使われてしまう。カップルが、示しあわせておなじ本を借り受け、手紙をはさんでやり取りするんだって。
 そういうのを阻止するのも彼の仕事なんだとか。

 刑務所ならではの問題は多くて、たとえば図書室ではシルヴィア・プラスが人気なんだそうですが、プラスは若くしてガス自殺した女性なので、その作品を読ませると自殺願望を植えつけないか、と議論になったりするようです。
 その程度でもめるのであれば、連続殺人者についての本などがあれば、大騒ぎでしょうね。

 彼は、受刑者たちの文章講座の指導などもやったのですね。
 ところが女性受講者たちは、本にある著者写真を見ただけで、フラナリー・オコナーは信用できると考えたり(逮捕された人みたいだし、たいした美人じゃないから)、ガルシア・マルケスはウソつきだと断定してしまったりするそうで、たいへんらしい。

 著者は、勤務して3日めには上司から「きみは働きすぎだ」と注意されたといいます。
 受刑者のために最善をつくすべきなのか、あるいは看守側に立ってきびしく管理すべきなのか?
 彼はその狭間に立って、苦労を重ねていくようです。

2010年10月19日 10:56

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