ふだんは、仕事がらみの内容しかアップしないようにしているのですが、あまりにびっくりしたのでご容赦ください。まあ、昔『越境する本格ミステリ』という本を編集したこともありますし、次の仕事につながる可能性もあるということで……。なお、情報にとんと疎いもので、もしかすると有名な話かもしれませんが、その場合はすみません。

先日、録画してあった『ヒッチコック劇場シーズン2』(ミステリーチャンネルで放映中)をまとめ見してたわけです。1時間バージョンの第二シーズンをTV放映するのは本当に久しぶりのはずです。ありがたや、ありがたや。
で、今回ご紹介するのは第38話「落とし穴」。実はこの作品、脚本がR・レヴィンソン&W・リンク。そう、『刑事コロンボ』の生みの親として著名なプロデューサー兼脚本家コンビなのです。当然、期待も高まるというもの。

さわりだけ、あらすじを紹介することをお許しください(どうしてもネタバレがおいやな方はここまでで)。

町のイケメン保安官のところに、とある未亡人からたれこみの電話が入ります。どうやら、向かいの建物に住むおやじが、奥さんを殺したのではないかというのです。
話半分で聞きこみをする保安官ですが、実際四、五日前からかなり不自然な状況で奥さんが姿を消していることがわかります。
『裏窓』を『ハリーの災難』のテイストで進めているようなエピソードなのですが、この後の展開が実に衝撃的。さらに未亡人から、裏庭におやじが穴を掘りだしたとの情報が入り、保安官はかけつけるのですが……。

勘のいいコロンボ・ファンの方ならお気づきかもしれません。
このお話の終盤は、『刑事コロンボ』のとある有名エピソードと全く同じネタなんですね。
原作は、ロバート・トゥーイ
ミステリファンならご存じの方も多いでしょう。『物しか書けなかった物書き』(河出書房)の著者であり、彼の第二作「隣家の事件」(HMM'85.8)こそが、このエピソードの原作なのです。
で、読んでみました。おお。レヴィンソン&リンクは、小噺といっていい原作にけっこう肉付けしているのですが(とくにエンディングに大きな改変がある)、ラストのネタ自体はそのまま。ということは、あのアイディアの淵源はここから来ていたのか……。
よくある、類似のみに基づく言っちゃったもの勝ちの「元ネタ探し」ではなく、ちゃんと跡が追えて確証がとれるパターンで、なかなかに貴重な体験。久々に興奮いたしました。
こういう発見があるから、ミステリ渉猟はやめられません。

世のコロンボ好き、レヴィンソン&リンク・ファンの皆様もぜひ、機会がございましたらご覧になってみてくださいね。書籍の形でも、実は前任者が仕込んでいたものとか、今考えてるものとかごにょごにょごにょ……また形になりそうになったらご報告します。気長な話ではありますが、一応、お楽しみに。(編集Y)

2010年12月 3日 22:53

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