ダールが亡くなって、はや20年。
 そんななか、彼の未発表原稿がe-bayに出品され、1900ドルで落札されました。

 タイトルは、The Eyes of Mr. Croaker(クローカー氏の眼)。
 これはもともと、Do-It-Yourself Children's Storybook という企画のために書かれたものだそうです。
 著名な児童書の作家に物語の発端だけを書いてもらい、読者(子どもたち)が自由にそのあとを書きつなげるというアイディアの本でした。

 企画者は、ジェリー・ビーダーマンとトム・シルバークライトという2人組で、ダールのほかにもパメラ・トラヴァース(メリー・ポピンズ)やリチャード・アダムズ(ウォーターシップダウン)などからも参加の了承を取りつけていたそうです。

 原稿料は200ドル。
 そのときのダールが書いた300語程度の原稿が The Eyes of Mr. Croaker というわけ。1982年のことでした。
 ダールはさっそく原稿をわたし、「M・バランという人物にちょうど200ドル借りているから、原稿料はいますぐその人に支払ってほしい」と頼んだそうです。

 しかしながら、この企画はけっきょく本になりませんでした(寄稿したのもダールだけだったようです)。
 90年にダールは死去。
 94年には地震でビーダーマンの家が被害を受け、父のガレージに荷物を移した際に原稿もまぎれてしまい、忘れ去られていました。
 それがあらためて発見されたのです。

 ビーダーマンは、あらためてDo-It-Yourself Children's Storybook を実現しようと、J・K・ローリングなどにも新たに参加を呼びかけているそうですが、いっぽうでダールの作品をe-bayに出品することにしたのです。
「最初のコンセプトのとおり、ファンに書きついで完結させてほしいというダールの願いを実現するため」だそうです。
 売上は、ダールの遺族へのチャリティにするとのこと(ダールの遺族はいろいろたいへんですから)。

 さて、なぜダールの話を扶桑社ミステリーのブログでしているかというと...
 このジェリー・ビーダーマン、現在はTVプロデューサーなのですが、もともと作家で、アーヴィング・ウォーレスの甥っ子なのですね。この企画当時、ウォーレスはいろいろと助言してくれたそうですよ。

2010年12月14日 13:30

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