2011年04月15日
【編集部日記】

ジム・トンプスン祭り 開催!レポート


4月13日(水)、新宿三丁目のルノアールにて「ジム・トンプスン祭り」が開催されました。
これは、評論家・翻訳家の有志の皆様が、ほんとうに勝手連的に動いて実現してくださったもので、弊社としては、ただただ、ありがたいとしか申し上げようがございません。
この場を借りて、かかわられたすべての皆様に心よりの感謝を申し上げます。
特に、縁の下の力持ちで、下準備から受け付けまで(本番を聴く機会すらなく)粉骨砕身頑張ってくださった翻訳者の皆様には、あつく御礼申し上げます。
そして、会場に足を運んでくださった、トンプスン猛者の皆様、お疲れ様でした!

きっと、主催された皆様の側からもレポートなり、今後の展開なりが発表されるかと存じますので、ツイッター、「翻訳ミステリー大賞シンジケート」のブログなどでの情報発信にご注意いただければと思いますが、今回、部外者ながら写真を撮らせていただきましたので、一応ご報告を兼ねてアップしておきます(尻馬に乗っちゃったみたいで申し訳ありません・・・)。
なお、一応写真は転載不可ということでお願いいたします。

もし「ああ、この時間、オレうつってちゃまずいのに!」みたいな方がいらっしゃったら、コメント欄にご連絡くださいね。ASAPで対応させていただきます。

ルノアールの会議室は、満員でたいへんな熱気でした。

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登壇されたパネラーの方々は、左から、弊社の編集T、評論家の吉野仁さん、滝本誠さん、文春の永嶋俊一郎さん、司会の杉江松恋さん。
中身は・・・・それはもうトンプスン愛のほとばしる、濃密でいてアットホームなすばらしいイベントでした! 



実は、前半戦だけ拝見して、あとは外で何やかややっていたのですが、編集者が聞いた限りで簡単にご紹介しておきます。メモもとらずにぼんやり写真を撮っていただけなので、間違いなどもあるでしょうが、どうぞご寛恕ください。もし、誤りなどあれば、コメント欄にいただければ、随時訂正いたします。
また、本記事は、扶桑社サイドで独自にアップしているもので、主催者サイドの公式なレポートではございませんので、その点、ご了承ください。

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まず、日活の営業さんが、16日から公開される映画「キラー・インサイド・ミー」を紙芝居ふうに紹介。
担当のSさんは、バイタリティあふれるすばらしい営業さんで、この方の人柄でいろいろなことが広がっていったような気もしています。映画のヒット、心よりお祈りしております。

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司会の杉江さん。いつもながらの手際のよい進行ぶりでトンプスン世界の全貌に迫りつつ、ときに『内なる殺人者』と『おれの中の殺し屋』の訳文比較とか、とてつもなくディープな世界へと会場をいざなっておられました。

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吉野さんからは、トンプスンの傑作群が書かれた時代の雰囲気について、示唆的なご指摘が(手にされているのは、『ポップ1280』〔扶桑社ミステリー〕の原書)。第二次大戦との関連性のみならず、40〜50年代に流行したニューロティック・スリラーに言及されていたのには、なるほどなあと個人的にすごく納得がいきました。また、吉野さん手作りの立派な「ジム・トンプスン著作リスト(不完全版)」が会場のみなさんに配布されました。ぜひ家宝になさってください。

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滝本さんからは、ジム・トンプスンという作家の魅力についていろいろとお話がありました。トンプスンの“わからない凄さ”に焦点を当てて端的に語っておられて、発言をされるたびにどっと会場が沸くようすに、本当に愛され、リスペクトされている方なのだなあと嬉しくなりました。

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『残酷な夜』(扶桑社ミステリー)のラストシーンの趣向を紹介される滝本さん。原書を広げてその箇所を示しているのが、文春の名物編集者永嶋さん。永嶋さんからは、「ノワール」という単語の広まりや、トンプスン紹介当時の翻訳ミステリーの状況についてお話がありました。先にパトリシア・ハイスミスのプチブームがあったというのは、50年代アメリカにおける創作時同様、90年代日本における紹介時においても女流ニューロティック・スリラーがトンプスンの露払いっぽい役割を果たしたわけか・・・ふむふむ。

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そして、前半戦では異彩を放っていたのが、弊社でずっとジム・トンプスンの編集に携わってきたT。『ポップ1280』のミステリマガジンにおける連載時から、単行本出版に至るまでの生々しい経緯、それ以降のトンプスン紹介の展開を、生々しい人名と生々しい部数をちりばめながら語り尽くしておりました。本人はその後「ちょっとしゃべりすぎちゃったかなあ」と申しておりましたが、いやいや! あんなおもしろい話、ほんとにああいう場でしかみなさん聞けませんから! みんなうちのTのファンになっちゃったのではないでしょうか(派手なネクタイのブランドは〈ジム・トンプスン〉だったそうですよ)。

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なお、Tの左前方に見える後頭部は、観客として来場してくれたTの先代編集長にあたるK氏。皆様にはきわめてどうでもいいことでしょうが、ここにはまさに扶桑社ミステリーというニッチな世界の歴史が凝縮されているのです!!

というわけで、きっと後半の質疑応答も盛り上がったことでしょうが、外でだべってて聞いておらずすみません。その辺は、ちゃんと聞いていらっしゃった方が、前半戦も含めてちゃんとレポートされることを期待したいと思います。
いつか完成するだろう例の小冊子にも、おおきな期待がふくらみますね。

また、こういうイベントは、いろいろな作家さんをとりあげてやっていただけると嬉しいな、と一愛読者としても思います。地道な読書会、イベント、紹介企画が、やがて新規の読者さんの掘り起こしにつながっていくといいですよね。
次の企画が立ち上がった際は、ぜひ皆様ふるってご参加ください!(編集Y)

投稿者mystery: 15:34

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