2012年7月アーカイブ

今月のもう一点は、ドナルド&アビー・ウェストレイク夫妻による『アルカード城の殺人』。内容は、まさかの、長編犯人当てパズルです!

%83A%83%8B%83J%81%5B%83h%89%E6%91%9C.jpg

■オンライン書店で購入する
amazon7&Y楽天ブックサービスbk1

これ、もともとは〈モホンク・マウンテンハウス〉という有名ホテルで開催されている〈ミステリー・ウィークエンド〉という推理イベントがベースになってるんですね。

探偵役は、イベントに参加したホテルの泊まり客。
最初に、事件のあらましを撮ったスライドの上映をみんなで見てから、
ホテルのあちこちにいる容疑者役をまわって聞き込みをし、
最終日に真犯人を当てるというもの。
今では日本でも、新本格系の作家さんが脚本を書いたりして、
結構知られたイベント・スタイルですが、この〈ミステリー・ウィークエンド〉こそ、その原型といってよい催しなのです。

第七回以降、このイベントの主催を引き継いだのが、誰あろうウェストレイク夫妻。
そして、ウェストレイク本人が台本を書いた推理イベントを、自身で小説化したのが本書というわけです(最後のクイズの部分は、パズル作家でもあった奥さんのアビーが担当しているとのこと)。

ウェストレイクといえば、リチャード・スターク名義の〈悪党パーカー〉シリーズや、『ホット・ロック』(角川文庫)に始まる〈ドートマンダー〉シリーズでお馴染みのアメリカ推理文壇を代表する巨匠です。2008年に亡くなるまでに、エドガー賞を三度受賞し、その著作は100冊を超えるという多作、多芸の人。
そんな彼の知られざる一面を、本書は伝えてくれます。

このイベント、実は文士劇のようなものでもあります。
要するに、ウェストレイクに声をかけられたお友達が、
馳せ参じて、容疑者役を演じるんですね。
〈ミステリー・ウィークエンド〉の歴代出演者には、
マックス・アラン・コリンズ、ジョー・ゴアズ、ピーター・ラヴゼイ、
ギャヴィン・ライアル、デイヴィッド・マレル、ジャスティン・スコットなど
多士済々のメンバーが名を連ねています。

本書の回で出演していたのが、モダンホラーの巨匠、スティーヴン・キングとピーター・ストラウブ
本書には、イベント時のスナップ写真も多数掲載され、ノリノリのキングとストラウブが確認できます。
さらに、キングは本書に、長文の序文も寄せるサーヴィスぶり。
ホラーの帝王に合わせてか、ミステリー劇の内容は昔なつかしいホラー仕立てとなっております。

時は一八九×年、トランシルヴァニアの森に建つアルカード伯爵の古城。
蔵書整理のため到着したばかりの司書が殺害される。
容疑者は、夜にしか活動しない伯爵とその娘、
うろんな博士と言動のおかしい助手、
いわくありげな女占い師など怪しげな人物ばかり。
はたして真犯人は誰なのか・・・?

ウェストレイク・ファンの方、キング&ストラウブのファンの方はもちろん、
電車の行き帰りのひまつぶしにももってこいの犯人当てクイズ。
 

ちなみに、犯人当てのポイントは、「犯行に直接関すること以外、容疑者は誰もウソはついていない」ことを念頭においてもらえれば。

ぜひご一読くださり、ウェストレイクの仕掛けた謎に、ふるって挑戦いただければ幸いです。(編集Y)

(以下、万が一、お気づきにならなかった方のために、“アルカード”って何・・・みたいな、本書の固有名詞に仕掛けられた「お遊び」の部分について、若干の補足をしておきました。犯人当て自体に関するネタばれはございませんので、ご安心を)

2012年7月 4日 22:44 | | コメント(2)

7月頭の扶桑社ミステリーは、珍しく二点三冊の発刊。
まずは、ひさびさの復活となるロビン・クックの医療サスペンス『シージャー 発作』(上・下)です。

%83N%83b%83N%20%8F%E3%89%BA%83u%83%8D%83O%97p.bmp


■オンライン書店で購入する
amazon7&Y楽天ブックサービスbk1


■オンライン書店で購入する
amazon7&Y楽天ブックサービスbk1


ミステリー界の巨匠、ロビン・クックが贈る最高の医学サスペンスである本作品。

主人公ダニエルはバイオテクノロジーを専門とする有能な科学者。そんな彼は、遺伝子組み換えによる治療技術の確立という野望をもっています。成功すれば莫大な富を手にすることができるため、ダニエルは倫理規定に縛られた大学を捨て、有能な助手でもある若き愛人とともに起業します。一方、難病に冒されながらも、大統領を狙う上院議員のアシュリー。彼は国の政策としてダニエルが進める遺伝子組み換え実験を阻止する裏で、ダニエルに対して驚くべき取り引きを持ちかけて――遺伝子組み換えという現代医学の最先端のテーマを扱いながら、アクションも交えたスリリングなストーリー。実は本書はハヤカワ文庫から刊行された『ショック―卵子提供』(2002年)の続編にあたりますが、本書だけを読んでも十分に楽しめます。ひさびさの日本復活を果たしたクックの最高傑作とも絶賛されたノンストップ・スリラー、まさに期待の1作です。(編集M)

2012年7月 2日 22:08 | | コメント(0)

ページの先頭へ