先日、東京創元社の担当様より、S.S.ヴァン・ダイン
『ベンスン殺人事件』の新訳版を頂戴いたしました! 
本当にありがとうございます(泣)!

かつて、飲み会でお会いした折、編集者が生粋の「ヴァン・ダイン者」だ
小一時間ちかく語り倒したのを、覚えていてくださったのですね・・・・。

そこで、今回はきわめてお恥ずかしいのですが、
ちょっとした自分がたりでも、やってみようかと・・・。
お目よごし、ほんとうに申し訳ありません。
なお、本題のヴァン・ダイン礼賛は、次回の更新でやります。
あと、ガチで扶桑社の本となんの関係もない記事であいすみません。


編集者とヴァン・ダインの出会いは、小学校三年生にさかのぼります・・・。

(ネタバレはありません)

『刑事コロンボ』、『明智小五郎の美女シリーズ』
『金田一耕助シリーズ(TV版、映画版)』、『特捜最前線』
の四作品によって、まずは「映像」を通じてミステリーの面白さに
目覚めつつ、幼年期を送ったわたくし。

小3までには、学校の図書館にあるホームズ、ルパン、
乱歩はあらかた読み終わっておりました。
同じ書架に、あかね書房の『推理探偵傑作シリーズ』という、ちょっと
不思議なマンガイラストのはいったシリーズがあって(今でもあるのかな)、
そのなかに『ドラゴンプールの怪事件』というのがあったのです。

これはもちろんヴァン・ダインの『ドラゴン殺人事件』のジュヴナイルなのですが、
当時は「しょぼいミステリーだなあ」、くらいの印象しかありませんでした(笑)。
むしろ、ブラウン神父ものの『どろぼう天国』とかが、すごく記憶に残っています。

その後、小4で初めて読んだ大人向けの推理小説が『オリエント急行の殺人』。
小6で家にある横溝正史はだいたい制覇。中学では古本屋をめぐって
鮎川、クイーン、カーなどを買い漁る、れっきとしたマニアとなっていました。
(当時、お小遣いが月500円だったので、100円のゾッキ本を奈良県北部10キロ四方の古本屋を自転車で回って5冊買ってくるのです・・・あのころは、ほんとうに「餓えて」ました)

そうして迎えた高校1年生(一貫校だったので皆すでに仲良し)。
クラスの仲間(たしか、あいうえお順の最後の四人で、席の近い者どうし)
で、推理小説の犯人当てでもやってみようか、みたいな話になったのですね。

全員、同じ本を買って、後ろを袋とじ状に糊で封して、
犯人と犯行方法を推理する試み。

当時、たぶん坂口安吾たちのエピソードなどは知らなかったかと思うので、
純粋に自然発生的にそういう話になったような気がします。
編集者以外はたいしてミステリーマニアというわけでもなかったのに、
なんであんな話になったんでしょう。よくわかりません。

で、「大変有名だけど」「意外なことに四人ともまだ読んでいなくて」
「ネタもまったく知らない」「本格推理小説」
ってことで白羽の矢がたったのが、
S.S.ヴァン・ダインの『グリーン家殺人事件』だったのです。

目次を見て、このへんが怪しいだろう、とあたりをつけ、そこで封をして、
1週間。それぞれが登場人物全員のアリバイ表をつくり、証言の抜粋をつくり、
解決されていない謎のリストをつくり・・・・いやあ、楽しかったなあ。

そして、各人が自らの推理を発表。
いざ、封をあける緊張の一瞬・・・・・すると・・・・・・

封印された最初の章で、
すべての手がかりが一覧表のかたちで整理されていたという!!

わたしたちの苦労を返せ!!
・・・あれには、ずっこけました(笑)。

まあ、そんなこんなで、ヴァン・ダインとの出逢いは、
編集者にとって大変に印象深いものでした。
これが、クイーンだったら、あるいはカーだったら、
またそれは違っていたのかもしれません。

でも、あのとき編集者は間違いなく、本格ミステリーの面白さに、
真の意味で開眼したのでした。

いまでも、編集者の「名探偵」像の中核に位置するのは、
ファイロ・ヴァンス、その人です。

しかし、世の中でのヴァン・ダインの評価は、
実のところ、決して高いものではありません。
いや、そもそもあの当時から、
いろいろとくさす人は多かったし、
今はそもそも、(若い人からはとくに)
忘れられそうになっているかも・・・・いかん、これではいかん!

そんななか、長らく新刊で手に入りにくかったヴァン・ダインの作品が、
『僧正殺人事件』を皮切りに、日暮さんの新訳で順に刊行されはじめたわけです。
今回は、その第二弾。
こんなに嬉しいことはありません。

というわけで、次回は、世にはびこるヴァン・ダインをめぐる俗説に
編集者は敢然と立ち向かいたいと思います。
いや、単なるひいきの引き倒しですが・・・・。

なお、あの青春の犯人当てに際しては、
見事正解に至ったことを最後に付記しておきます。
誰でもわかるとか、いわないで。
けっこうこれが、ちゃんと解けるようにつくってあるんですよ。(編集Y)

2013年3月 8日 18:29

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