2013年04月30日
【新刊案内】

予期せぬ結末1 ミッドナイト・ブルー


前回のエントリー、ビブリオバトルの記事で触れた最新刊、ジョン・コリア『予期せぬ結末1 ミッドナイト・ブルー』が明日、5月2日に発売となります。
いやあ、よかった。よかった。


9784594068059.jpg

■オンライン書店で購入する
amazon7&Y楽天ブックサービスbk1

内容はこんな感じになっています。

意想外の設定と冴え渡るラストのひねり。
稀代のアンソロジスト・井上雅彦が贈る、
海外異色作家短篇シリーズ、ついに始動!

第一巻では、異才ジョン・コリアの傑作集をお届けする。
皮肉な笑いと綺想あふれる作風で知られる名手の短篇から、
未訳作と個人集未収録作を中心にセレクト。
犯罪者に待ち受ける意外な陥穽を描く表題作ほか、
美食ミステリーのパロディ作「完全犯罪」、天使と
悪魔が恋の駆け引きを繰りひろげる「恋人たちの夜」など、
犯罪と恋愛をめぐる珠玉の16篇を収録!〈解説・植草昌実〉


売りはこんな感じです。

本邦初訳、個人集初収録作品多数!
本書では半数近くにおよぶ、植草昌実氏による新訳、初訳が収められています。
掘り出し物もあれば、幻のソノラマ文庫版収録作の新訳、さらには既訳とは微妙に内容の異なる異稿などを取り揃えました。特に、小気味の良いバカミス「ボタンの謎」にご注目あれ。

ほぼ『炎のなかの絵』『ナツメグの味』とカブリなし!
今でも手にとれる本で読める短篇からは、あえて採りませんでした。結果的に一篇をのぞいて、すべてカブリなし。これで、三冊を揃えれば、自選集に含まれていたコリア短篇のほとんどが、邦訳で読めることになりました。

伊藤典夫先生訳のコリア作品を三作すべて集成!
上記で書いた「一篇」を含めた計3篇、伊藤典夫先生によるコリア翻訳のすべてが、本書では収録されています。『ビブリア古書堂の事件手帖』で「たんぽぽ娘」が紹介されて以来、若い世代にもプチブームが来ているという、日本SF翻訳界の巨星による、味わいぶかい訳文をご堪能ください。


マニアから一般の方までお買い求めいただきやすい、700 円ぽっきりでのご提供!
16篇を収録して、このお値段。ふだん星新一や筒井康隆、阿刀田高あたりを読まれているような一般の方にも、ぜひ翻訳物の面白さを味わってもらえれば、との意図のもと、薄め、安め、オチ分かりやすめ、ということで編んだ経緯もあります。「ジョン・コリアなんて聞いたことないなあ」という方も含め、電車や飛行機の友に、ナンクロや時代小説の代わりに読んでもらえれば、こんなに嬉しいことはありません。


収録短篇は、以下のとおり。

「またのお越しを」植草昌実訳
「ミッドナイト・ブルー」田口俊樹訳
「黒い犬」植草昌実訳
「不信」植草昌実訳
「よからぬ閃き」植草昌実訳
「大いなる可能性」田村義進訳
「つい先ほど、すぐそばで」植草昌実訳
「完全犯罪」小鷹信光訳
「ボタンの謎」植草昌実訳
「メアリー」田村義進訳
「眠れる美女」山本光伸訳
「多言無用」伊藤典夫訳
「蛙のプリンス」田口俊樹訳
「木鼠の目は輝く」植草昌実訳
「恋人たちの夜」伊藤典夫訳
「夜、青春、パリそして月」伊藤典夫訳


そもそもこの企画は、文春文庫の『ミステリーゾーン』のように、「ヒッチコック劇場」やそれに類するドラマの原作短篇を集められないか、という編集者の長年の夢が発端でした。
その背景には、日本でいうところの「異色作家」「奇妙な味」というジャンルが、すくなくとも50年代以降においては、我々が思っているよりずっと映像メディアと密接に結びついたものではなかったか、という認識があります。
その認識を同じくしてくれた井上さん、植草さんとともに夢をなんとか形にできて(作品選択から何から、おふたりが実作業にあたってくださったわけですが)、本当にありがたく思っています。

願わくはそこそこ売れてくれて、次巻以降にも企画が続けられますように……。

というか、次巻に関してはどさくさにまぎれて会社に企画をもう通してありまして、
『予期せぬ結末2 トロイメライ』というタイトルで、チャールズ・ボーモント集を、8月末頃にお届けする予定であります。こちらもお楽しみに。

その後の予定としましては、ロバート・ブロックのミステリー短篇をちゃんとまとめておかないとな、という強い使命感があります。それから、伊藤典夫先生訳のものをすべて集成したリチャード・マシスン短篇集の版権を前任者がおさえておりますので、ご期待ください。

編集者自身のなかでは、「日本ではまったく無名の作者による原作だけを集めた『ヒッチコック劇場』傑作選」を編むというのが、『予期せぬ結末』シリーズの最終目標なのですが、果たしてそこまで会社を騙しきれますかどうか(笑)。


編集者は、この時代の海外短篇が大好きです。
かつて日本にもあった、翻訳小説が「かっこよかった」時代。
翻訳小説が、映画や海外ドラマ、ファッションや洋酒、バイクや車・・・そんな進取の文化との混淆物として受容されていた時代。
ダールやコリアの短篇からは、そんな時代の空気感が、いまもびんびんに伝わってくるからです。

そして、何より、アイディアこそがエンターテインメントの核心なのだと、教えてくれます。

とにかく、読みやすく、気楽に愉しめる手軽な本に仕上がっていると思います。
皆様にもぜひ楽しんでいただけますように! (編集Y)

投稿者mystery: 22:25

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.fusosha.co.jp/blog/mt-tb.cgi/993

コメント

 はじめまして、みやぎぬと申します。90年代に出版された早川書房の新装版で異色作家短編集を知りましたが、如何せん値段が…。2005年出版分は装丁が変更となりましたので、再購入を躊躇っておりましたが、このたび扶桑社さんで異色作家短編集が新規に文庫化!とのこと。文庫という手軽さが嬉しい限りです。絶対揃えます。収録作もカブりなしというのが個人的にツボです。続巻が楽しみなシリーズですね。

投稿者 みやぎぬ :2013年05月08日 21:00

5月は、アイスハント、6月は、たんぽぽ娘、そして7月は、ミッドナイトブルー。

投稿者 矢野 :2013年07月25日 07:16




ログイン情報を記憶しますか?

(スタイル用のHTMLタグが使えます)