この度は、大変お恥ずかしい出版事故を発生させてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
担当編集のみならず、上司や私自身も含め、水際で事態を防げなかったことを悔み、反省、反省の毎日でございます。読者の皆様をはじめ、書店、取次各社にも多大なご迷惑をおかけいたしております。今後、このようなことがないようチェック体制を強化していきたいと考えておりますので、何卒ご寛恕賜れば幸いです。

そんななか、更新しづらくてご報告が遅くなってしまったのですが・・・・
先般行われました「翻訳ミステリー大賞」のビブリオバトルなるものに
出させていただき、大変ありがたいことに一等賞を頂戴いたしました。

こちら

弊社のイチオシとしてご紹介したのは、5月2日にいよいよ発売となります
ジョン・コリア著『予期せぬ結末 ミッドナイト・ブルー』
(次の記事でご紹介いたします!)

ご支援いただきました会場の皆様に改めまして、
心からの感謝の意を表したく存じます。

大変拙いプレゼンではございましたが、
ジョン・コリアという作家自身の魅力と、
並み居る大手ミステリー版元と比しての
弊社のごまめっぷりへの温かいいたわりと、
販売部に強要されて着たハッピの力で
このような嬉しいご褒美をいただけたと、
ありがたく思っております。

でも、これで昨年の『本の雑誌』主催・編集者対抗ブックカバートントン相撲大会から、編集者は二冠を達成!! なんか、ついてます!!
って、いや・・・本業で頑張れって話ですよね、ホントにすみません。

なお、証拠写真として、いただいた賞状はこちら。

画像の確認


おおおお! なぜか定型のじゃなくて、田口俊樹先生直筆ですよっ!
その割に名前は入れていただけてないけど(笑&泣)、
編集者の家宝にします。本当にありがとうございました!

で、その席上で次回は夏くらいに『予期せぬ結末』第二弾として、
チャールズ・ボーモント(早川さんの『夜の旅、その他の旅』で知られる、
「奇妙な味」の代表的作家)を、という話をさせていただいたわけですが、
一旦社に戻ってひと仕事を終えたあと、お家に帰って観たのが、
WOWOWでやってたロジャー・コーマンの映画『侵入者』
皆さん、ご覧になりました?
これ、実は原作・脚本がチャールズ・ボーモントなんですね。

ロジャー・コーマン作品の中でも稀な、ガチの社会派作品&
興行的大失敗作として知られるカルト作。
昨年の末に国内DVDが発売され、気にはなっていたのですが、
いやあ、観られて本当に良かった!

南部の田舎町に到着する一台の乗合バス。
真っ白の上下で登場する、まだ新人時代のウィリアム・シャトナー
子供にも老人にも優しく接する、人当たりのいい善良そうな青年。
しかし彼の正体は、白人を扇動し、学校統合による黒人共学化を
阻止しようとする差別主義者の活動家だった・・・。

思想的な部分はさておいても、コーマンらしいヴィヴィッドな作風
が堪能できる佳作だと思います。
他のコーマン作品同様、ナラティヴの運びと論理性の部分では、
いろいろと難があるのも確かですが、それを補ってあまりある、
ワンシーン毎の鮮烈なインパクトと、稚気に満ちたキャメラワーク、
強烈なキャラ立てで、じゅうぶんお釣りがきます。
監督としてのコーマンは、実にまっとうな演出家ですからね。

ラスト近くで黒人の青年に加えられる「拷問」が、
なんか『恐怖の振り子』とオーバーラップしてね・・・
コーマンの抱いてる根源的な恐怖って「揺れ」なのかも・・・。

ただ、このエントリーで本作を取り上げているのは、先にも述べた通り、
映画原作および脚本がチャールズ・ボーモントだから。
彼の単著としては唯一の長編とおぼしき『The Intruder』が原作で、本作は
『異色作家短篇集』の訳者あとがきでも触れられていました。

でも、実はそれだけではないのです。
なんと、ボーモントは俳優としても本作に出てるんですね。
それも、カメオ出演の端役どころじゃありません。
黒人青年を守りぬこうとする、高潔な高校の校長先生役。
めちゃめちゃ出番があります(笑)。
しかも、ものすごくふつーに演技してる! 
他のプロのキャストと何ら遜色ないぞ・・・。ちょっと、びっくりしました。
なぜに、彼は演技ができる? 他に出演歴とか、あるのか?

ただ、この校長先生、明らかに老境に入った紳士然としてるのですが、
このとき、なんとボーモントはまだ33歳。
撮影からしばらくして、彼は早老症と若年性アルツハイマーとを
本格的に発症し、38歳の若さで命を落とすことになるのです。
老けメイクの可能性もあるかもしれませんが、それでも
この老けようは見ていて、悄然たる想いにとらわれます。

それから・・・この作品、まだキャストに秘密があります。
リチャード・マシスンと並ぶボーモントの盟友で、
「2300年未来への旅」(76)の原作者でもある
ウィリアム・F・ノーランとジョージ・クレイトン・ジョンソンも、
実は端役で出てるんですよ!!

なんだ、この文士劇みたいなの(笑)。
(「2300年未来への旅」はTVドラマ版もあって、今飛ぶ鳥落とす勢いの
ニコラス・ウィンディング・レフンがリメイク進行中のカルト作。
ご存じの通り、W・F・ノーランもG・C・ジョンソンも、短篇の名手。
もちろん『予期せぬ結末』シリーズの作家候補です)
低予算のうえ、このテーマで決死の南部ロケを敢行したりしたので、
当時の作家仲間たちも出演者として駆り出されているわけですね。

『予期せぬ結末』のシリーズでは、まさにこういったTV業界で活躍していた
作家たちの紐帯を描き出していくことを、ひとつのテーマとしています。

ちなみにこの日、WOWOWで次に放映された「ガス!」(70)は、さらにレアな逸品。
日本語字幕付きで見られるのは、初めての機会じゃないんだろうか?
致死性のガスが漏れたせいで、25歳以上の大人が死滅した未来の世界。
そんななか、コミューンを渡り歩く若者たちの超おバカなロードムービー。
えー、上記「2300年未来への旅」となんとなく似てるのは偶然でしょうか(笑)。
バイクに乗って肩に大鴉の剥製をのっけた、エドガー・アラン・ポーの登場にも笑います。

でも思い返せば、ポー・シリーズはまさに、コーマンとマシスン、ボーモントが
共同作業で生み出した60年代ゴチック・ホラーの最高峰なんですね。
ことほどさように、いろいろな人と作品は絡み合っているのです。

5月のWOWOWでも、コーマン祭りはリピート放映するようですので、
ぜひ皆様、その目でコーマンとボーモントの「本気」をお確かめ下さい。(編集Y)

2013年4月25日 01:28

コメント(1)

Comment

  • いつも楽しく拝読しております。
    一つお願いがあります。
    翻訳小説はヤードポンド法、歴史小説は尺貫法で記述されている場合が多いですが、巻末またはカバーに度量衡の表を付属していただければ、より理解しやすく、非常にありがたいです。
    ご検討ください。



    |中嶋利幸|2013年5月30日 18:06

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