2016年9月アーカイブ

7月に出版しましたチャールズ・ウィルフォードの『拾った女』。

もう読んでいただけましたでしょうか。

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発売して間もなくから、各処にて、評論家の皆様を中心に大変ありがたい絶賛のお言葉を多数いただいております!

担当編集としても大変うれしく思っております。

翻訳者および担当編集者の推薦の弁は、こちら

本書企画者の前任担当者の弁は、こちら

 

翻訳ミステリー大賞シンジケートのブログでは、

七福神の皆様のうち五名もの方が、本書を取り上げていただきました!

霜月蒼さん、酒井貞道さん、杉江松恋さんのご推薦は、こちら

「小説の味わいはストーリーやプロットにあるわけではないのだ、と心の底から思わせてくれる伝説の一作」(霜月さん)

「こういうミステリを待っていたんです!」(酒井さん)

「これだけ自分の好みに合った作品は今年はもう出ないと思う」(杉江さん)

千街晶之さん、吉野仁さんのご推薦こちら

「高い完成度を誇る逸品」(千街さん)

「今月のというより今年のベストに入るような傑作」(吉野さん)

おお、なんかすごくないですか??

 

他にも、同じブログで

ストラングル・成田さんが、『巧緻で異形のノワール~ウイルフォード『拾った女』他』として、

「底辺に生きる男女の絶望的な愛を描いた小説にして、ラストにトリッキーな一撃を秘めた巧緻な作品だ。結末に驚きを求めるクラシックファンもお見逃しなく」とご紹介いただいております。

★翻訳者の上條ひろみさんが、『第20回:読まないと損をする』のなかで、

「意外とあっさりしていてカロリー控えめ(読みやすい&短い)なのに、最後にガツンときて、食べ応えは満点。もう一度読みたくなったりして、かなり腹持ちもいい。そんな作品」とおっしゃってくださっております。

 

さらには、

『読売新聞』では中村計さんが「淡々とした筆致で描かれたノワールの傑作」

『週刊文春』では池上冬樹さんが「最後の最後で視野をがらりと変える作為には社会派のテーマも潜んでいて侮れない」

『神奈川新聞』では古山裕樹さんが「ストーリーはきわめて単純。しかし精緻な仕掛けによって、初読時と2回目以降とでは、全く異なる世界が見える」

といった感じで大いにおすすめくださっております(他にも見逃していたらすみません!)。

 

また、Twitterなどでも滝本誠さん中原昌也さんが大変好意的に反応してくださり、日本中のノワール愛好家、ミステリー愛好家の皆様のハートにちゃんと届いたのだなあ、と。

異常な多忙さにかまけて、編集者はなんにもやっていなかったというのに・・・(泣) いつのまにやら、勝手連の皆様でぐいっと盛り上げてくださってる感じです!

 

さらにさらに! 本日はLive Wireで、『復活・ミステリ酒場! ウィルフォード泥酔PUBへようこそ』と題しまして、杉江松恋さんと滝本誠さんのトークでウィルフォードづけのイベントが開催されます!

今回解説もお願いした杉江さんが、ノワールを語らせたら右に出るものなしの滝本さんから、どんなお話を引き出してくださるのか、否応なしに期待が高まります!

 

詳細は、こちら

 

別にこちらから仕込んだわけでもなく、呼ばれたわけでもないのですが、こんな機会もそうそうないので、扶桑社の前担当、担当、翻訳者さんも一観客として赴く予定でございます(笑)。

酒で身を持ち崩す話を、みんなでぐでんぐでんになりながら語り合う、これぞ、酔狂!・・・てなもんで。

ぜひ、たくさんの皆様にご来場いただけますように!

 

そして、さらにさらにさらに!

南東京読書会さんのほうでは、第五回読書会として、10/10日に『拾った女』の読書会を開催されるとのこと。(こちら

ネットで見つけて編集者も申し込んでしまいました!

そうですよね、読んだ人ほど語ってみたいですよね、このお話!

一般の方々の『拾った女』評、興味津津です。なるべくお邪魔にならないように参加してまいりたいと思います。

 

二度読み必至!

極北のノワール!

そもそも、これってノワールなのか?

・・・いや、あんまり煽っても、本質的にはとてもこぢんまりした小説ですので、がっかりされても困るなあ。

まあアメリカ50年代の『同棲時代』でも読むような、気楽な気持ちで手にとっていただけると嬉しく思います。そう分厚い本ではありませんし。

あと、古い映画の好きな人はとても楽しく読めると思います。作品紹介でも書きましたが、『失われた週末』『喝采』『酒とバラの日々』『ハスラー』あたりとはとても親和性がある、かわいそうな酔っぱらいのお話ですので。

あと、本格ミステリー寄りの人も食わず嫌いせずにぜひ。だって、本書に秘められた趣向って、あの有名な叙述トリック系海外作家の代表作『・・・』と一緒なんですけど、実は『・・・』より先に書かれてるんですぜ!

 

一人でも多くの方に、本書の魅力を知っていただければ、これほどの喜びはございません。

いよいよ読書シーズン到来。秋の夜長を『拾った女』をおともにお過ごしください!(編集Y)

 

 

 

 

 

2016年9月19日 01:05 | | コメント(0)

今月の新刊で扶桑社より、久しぶりにヴィンテージものの本格ミステリーを発売いたしております。

『本格ミステリ・ベスト10』で2013年に『死の扉』(創元推理文庫)で2位、

同じく2015年に『ミンコット荘に死す』(弊社)で3位を獲得した、

英国本格の驍将レオ・ブルースによる名探偵キャロラス・ディーンものの初期の佳品『ハイキャッスル屋敷の死』

もうお読みいただけたでしょうか?

 

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あらすじはこんなかんじです。

 

キャロラス・ディーンはゴリンジャー校長から直々に事件捜査の依頼を受ける。

校長の友人である貴族のロード・ペンジが謎の脅迫者に命を狙われているというのだ。

さらに数日後の夜、ロード・ペンジの住むハイキャッスル屋敷で、主人のオーバーを着て森を歩いていた秘書が射殺される事件が発生。不承不承、現地に赴くキャロラスだったが......

捜査の進捗につれて次第に懊悩を深める探偵がやがて指摘する事件の驚くべき真相とは? 

 

数々の傑作を世に送り出しているレオ・ブルースのこと。

もちろん今回も読んでいただければ、本格マニアの方ならきっと十分にお楽しみいただけるものと思います。

ただ・・・なんか薦め方が難しいんだよなあ(笑)。

どう話しても、ネタと直結してしまいますし・・・いや、本格ミステリーならなんでもそうじゃないのか、と言われちゃいそうですが、実際それだけじゃないんです。

たとえば同じシリーズの『死の扉』や『ミンコット荘に死す』には、読めば誰しもがあっと驚き納得する「大ネタ」「趣向」が仕込んであったわけですよね。だから、そこをお楽しみに、とお薦めするのはけっして難しくない。

でも、今回のネタは明らかに変化球も変化球。しかも表面上、ぜんぜん変化球に見えないという・・・なにこの厄介な魔球(笑)。

実際にバッターボックスに立ってもらわないと、どう変わってるかがわかりにくいんですよ。

トリックとして(あるいはロジックとして)の変化球というよりは、力点の置き方というか、本格ミステリーとしての佇まいそのものが結構珍しい作りになっているので、読めば当然面白いんだけど、未読の方にその魅力をお伝えするのが、なかなかに難しい。

ここに注目して読んでほしい、と申し上げたとたんに、著者が本書で仕掛けた恐るべき「とある趣向」がともすると台無しになってしまいかねない。

 

さらに言えば、「もしかすると、著者の真の狙いに気づかないまま読み終わっちゃう方もいらっしゃるのではないか」という危惧すら、編集者にはあります。

その場合はぜひ、真田啓介さんの素晴らしい解説にじっくり目を通していただければ。そうすればレオ・ブルースが本作でやろうとしていた仕掛けが「誰を対象としたどんなものだったのか」を、じゅうぶんご理解いただけると思います。

ある意味、レオ・ブルースほどに「装置としての名探偵」の意義と機能について深く踏み込んで批評的に考察し、それを実作へと反映させた作家はそうはいません。その意味で、レオ・ブルースは正しくアントニイ・バークリーの衣鉢を継いだ本格ミステリー作家だった。本書はまさに、そういったレオ・ブルースの思索の極限において結実した作品です。

加えてシリーズ長編第四作という、この時期にしか書き得なかった作品。そうも思います。

 

組み立て自体は、実に王道。

成り上がりの貴族と、彼に脅迫状を再三送りつけてくる謎の人物。

立派で古風ではあるが、時代的にはすでに欺瞞と虚偽に満ちた形でしか評し得ない「大邸宅での華やかな生活」(おお、なんだか本格ミステリーと名探偵自体への挑発のようではありませんか)。

そこで殺人が起き、不承不承引き出された名探偵が捜査を開始する。

でも、そこからこの物語は、いつになく不可解な様相を呈し始めるのです・・・・。

 

本格ミステリーとして、事件の真相に読者が到達すること自体は、決して難しくはないように思います。むしろ、レオ・ブルース自身が、さっさと読者に真相を見破らせようとしているくらいの感覚もあります。

たぶん、そこじゃないんですね。

犯人当てとか謎解き自体が本書の眼目ではないんです。

「なんで自分はこの真相に気づかされてしまったのか?」――むしろそっちから、本書の読み解きは始まるのではないか?

そこから、レオ・ブルースという本格ミステリー愛のかたまりのような人物が、本書を書くに際していったい何をたくらみ、何を実際に実現していったのかを追体験していく・・・そんな作業こそが、本書をひもとく醍醐味であり、至福の悦楽なんだと、編集者は思うわけであります。

 

真田さんも書かれていますが、正直なところ、純粋な出来だけでいうと、本作には文句を言いたくなる部分も若干ありますし、読後それを指摘される方もきっといらっしゃるでしょう。

でも、それを補って余りある魅力が、間違いなく本書にはあります。

ぜひお手にとっていただき、レオ・ブルースという作家が本格ミステリーの枠組みの中で繰り広げた新奇で風変わりな挑戦と冒険を、じっくりご堪能いただければ幸いです。

 

編集者なりのネタバレ解説も、本書に関してはとてもやってみたくもあるのですが、それはまた機会を見て。

まずは、レオ・ブルースというブランドを信じていただいて大丈夫かと。お楽しみに!(編集Y)

2016年9月18日 22:44 | | コメント(0)

はじめまして、4月から書籍編集部に移ってきました編集Kです。
新参者ですが、よろしくお願いいたします。

先々月に発売された『水中襲撃ドローン<ピラニア>を追え!』の余韻も冷めやらぬなか、
またまた巨匠クライブ・カッスラーの新作をお届けいたしましたが、いかがだったでしょうか。
今回は大人気のファーゴ夫妻シリーズより、『トルテカ神の聖宝を発見せよ!(上・下)』です。

 

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 上巻のあらすじは――
世界的に名だたるトレジャーハンター夫妻、サム・ファーゴとレミ・ファーゴ。
二人は地球温暖化の氷河への影響を調べるため、北極圏へ調査に訪れた。
作業は順調に進んでいたが、ある地点で磁気探知機が激しい反応を示した。
氷の下に、自然ではありえない巨大な人工物があるのだ。
氷の層を掘り進むうち、木造の物体が見えてくる。
やがて目の前に全貌を現したものは、中世の北欧ヴァイキングが使っていた
ロングシップと呼ばれる木造船だった。
しかも長いあいだ氷の中にあったため、船はほぼ完全な状態で保存されていた!

冒頭、中世のむくつけきヴァイキングたちが怒り狂う北極海と格闘するシーンから、
一転して現代のスペインの穏やかな海で調査にいそしむファーゴ夫妻へ。
ため息が出てしまうほど美しい描写で舞台は次々と移り変わり、
北極海、カリフォルニア、メキシコ、キューバへ――。
行く先々でチラリチラリと宿敵・ベネディクトの魔の手が忍び寄り、
やがて心臓に悪い銃撃戦また銃撃戦に。
とにかく最後まで息をつかせません!

ちなみに、タイトルにある「トルテカ」というのは7~12世紀のメキシコで栄えた、
マヤの前身となる文明です。
北の戦士ヴァイキングと、このトルテカ文明がどうつながっていくのか?
壮大な歴史ロマンをどうぞお楽しみください!

そして、アラサー女子としては、サムに対するレミの振る舞いも見逃せません。
旦那様にかわいく甘えたかと思えば、やきもちを妬いてみたり。
どんなときも猪突猛進型のサムを頭脳明晰さで冷静にサポートし、
ときにいなしながらも、最後には「何があってもあなたについていくわ」という芯の強さ。
「理想の嫁すぎる......これは真似できない......!」と唸らされることしきりでした。
ディナーやパーティの場でレミが身を包むセレブなファッションも見どころですよ♪

一気読み必至の面白さです。男女問わずお薦めいたします!

(編集K)

2016年9月 2日 14:06 | | コメント(0)

 お待たせしました、ウィルフォードの伝説の1作のご紹介です。

 

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 思えば、『マイアミ・ポリス』シリーズは、クセ球の多い扶桑社ミステリーのなかでも、また一風変わったシリーズだったのではないかと思います。

 しかし、このシリーズが日本でまだまだ刊行されているときには、すでにチャールズ・ウィルフォードはこの世になく、死後出版された『危険なやつら』は、がらりとイメージが変わるクライム・ノヴェルで、「このミステリーがすごい!」海外編で17位という、なんとも味わい深い評価を受けました。

 こうして、ようやくウィルフォードのパルプ作家としての一面が認知されたといえるでしょう。

 

 これにつづくように、ジム・トンプスンをはじめとするノワールが注目を集めるなかで、当時の編集者が選んだウィルフォード作品が、『炎に消えた名画』でした。

 伝説の美術家をめぐる犯罪小説という、これまた飛びきりのクセ球で、アートとノワールといえばこの人をおいて他になしというべき、滝本誠氏の名解説を得て、2004年に出版されました。

 

 さすがに読者を選ぶ作品だったこともあり、編集者が次に仕込んだのが、ウィルフォード初期の注目作品(刊行は1954年)、『拾った女』だったわけです。

 しかしながら編集者は社内異動となり、それから幾星霜、訳者・浜野アキオ氏のたゆまぬ仕事ぶりの結果、今回こうして、時限爆弾のようにこの作品が刊行の運びとなった次第です。

 

 ※浜野アキオ氏による卓抜な作品紹介は、こちら

 

 作品をむりやり紹介しようとすれば、「社会の底辺に暮らす主人公がある女性を"拾った"ことからはじまる転落の物語」といったことになるでしょう。

 これでは、典型的なファム・ファタール譚ですよね(ジム・トンプスンでいえば『アフター・ダーク』とか)。

 しかし、じっさいに読まれると、相当ちがった印象を受けられると思います(ご存じのとおり、クセ球作家ですから)。

 ともかく、中味に触れずに紹介することは困難な作品なので、先入観なしに読んでいただくのがいちばん、と、これはどんな本でもそうでしょうけれど、この作品についてはこの点を強調したいと思います。

 

 刊行から相当の時間がたちましたが、さまざまな場所で、思いのほか高い評価をいただいています。

 それに接するたび、「出版できてよかった!」と思います。

 

 みなさまに支えられてきた扶桑社の海外文庫も、最近ではかつてほどの多様なナインナップをそろえることが難しくなってきています。

 そんななかで、この作品がこのような形で出版できたのは、じつにありがたいことでした(なにしろ現担当者は、社内で、なぜ昔の編集者が残したこんな古めかしい作品をいまさら出すんだ、というきびしい意見にさらされたので)。

 

 いえ、けっして同情票を集めようというようなつもりではないのですが、それでもやはり今回だけは、ほんとうに読んでみてください、と頭を下げてお願いしたい気持ちです。

 ほかではちょっと得られない読書体験を味わっていただけるのではないかと思いますので。

 そして、ふたたびこのような作品をご紹介できる機会につながればよいのですが。

 

 1950年代、ペイパーバック・スタンドで、タイトルと扇情的な表紙に惹かれて購入したアメリカ人たちは、いったいどんな気分でこの幕切れを読んだのでしょう。

(扶桑社T)

2016年9月 2日 10:18 | | コメント(0)

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