3月29日、ジェームズ・ロリンズの新刊『アンデスの黄金』(上・下)が発売となりました!

ロリンズ名義としては、デビュー作『地底世界 サブテラニアン(上・下)(原書刊行1999年)につづいて、2000年に書かれた第二作にあたります(原題 Excavation)。

いわば、若書きではあるわけですが、そのぶん、初期の熱気に満ちたサービス精神旺盛な一大エンターテインメント作品となっております。

 

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上巻出だしのあらすじはこんな感じです。

 

インカ文明を専門とする考古学者ヘンリーは、ペルーの発掘地で発見された古いミイラを大学のラボに持ち込んだ。

ミイラの首には黄金の十字架。宣教師のミイラなのか? 不審に思ったヘンリーはミイラをCTにかけるのだが――。

その頃、発掘現場で新たな発見があった。神殿の地下に隠された扉が見つかったのだ。ヘンリーの甥サムとチームのメンバーはその秘密部屋の調査を進めるが、神殿が崩落して閉じ込められてしまう。そして地下から脱出すべく奮闘するサムたちの前に、驚くべき事実が姿を見せる。

 

今回のお題は、アンデス山中、インカ帝国の遺跡の奥深くに眠る秘宝の探求。

まさにインディアナ・ジョーンズばりの、王道考古学アドヴェンチャーとなっています(ロリンズ本人いわく、本作の主人公像は、エジプト王ツタンカーメンの墓を発見したハワード・カーターとその一行にインスパイアされたそうです)。

とにかく出だしからフルスロットルで、あらゆる面白要素がぶち込まれ、息つく間もない冒険と奇想が繰り出されます。

 

訳者あとがきで引用されている、著者による紹介文によれば、ロリンズは本作を「H・ライダー・ハガードやエドガー・ライス・バローズの伝統に連なろうという明確な意図を持って構成した。彼らが描いた〈失われた世界〉ないしは〈失われた民族〉をめぐる冒険を扱った作品を描こうとした」そうです。

ロリンズの唱える「物語を支える三本の柱」――すなわち「歴史的な謎」、「物語の背景をなす科学」、「異国的な土地」の三者は、本作においては思いがけない出合いを果たし、衝撃的な展開を引き起こします。

たぶん、トラップだらけの地下神殿が出てくるRPG風の前半から、まさかあとあと、あんな話にまで風呂敷が広げられてゆくとは、誰しも思わないでしょう。

もちろんロリンズのことですから、怖気の立つような動物パニック要素もちゃあんと用意されていますのでご安心を(別にいらないかもしれませんが)。そして、人間対異形の壮絶な戦いの先には、さらなる衝撃が......いやあ、こういうアホなことを考えさせると、ほんとロリンズは天才ですね!!

あと、出てくる敵方の人間がまあ、ほんとクッソむかつく奴らばっかりで(笑)。

主人公たちは、ろくでもない人間どもと、闇から迫りくる未知の恐怖と、歴史に埋もれた驚天動地の真実に、三正面作戦で立ち向かうことになるのです。

 

正直いえば、いろいろと小説としてゆるいところがあるのも確かですが(終盤の締め方、モジュラー式の叙述の絡め方、細部で張った伏線の処理の仕方などに、まだ手慣れていないところがある気がします)、それを気にさせないくらいの熱気と前進力、そして小説をつむぐ歓びが、本作には間違いなくあります。

とにかく、ロリンズが読者を楽しませたくてしょうがない、根っからのエンターテイナーであることは、行間からもひしひしと伝わってきます。

これでもか、これでもか、とやれることをやれるだけ突っ込んでくるその姿勢は、がむしゃらで、稚気にあふれ、われわれ読者としては好感を抱かずにはいられません。

ぜひ、若き著者が、肩よ抜けよとばかりに投げ込んできたエンタメ剛速球を、読者の皆様もしっかと受け止めていただければ! 

 

なお本作で、ロリンズの単発作品は、いちおうすべてご紹介しきったことになります。ただ、久方ぶりに(『エデンの祭壇』(上・下)以来)、ノン・シリーズ作を現在執筆中との噂もありますので、その完成を楽しみにお待ちいただければと思います。

 

新年度からも、扶桑社ミステリーは、業界の片隅で、力の限り頑張ってまいる所存であります。4月末には、期待の新人の快作(怪作?)『インターンのハンドブック』(仮題)をお届けするつもりです。

こちらも、ぜひご期待ください! (編集Y)

 

 

 

 

 

 

 

2018年3月31日 19:21

コメント(3)

Comment

  •  『アンデスの黄金』を読んで、次の5か所にまちがいを見つけたので、ご参考までにお知らせします。

    <上>
    1.284頁・5行目
     サムが頷いた → フィリップが頷いた
    2.312頁・後ろから4行目
     残そうしたのだ → 残そうとしたのだ

    <下>
    3.46頁・後ろから3行目
     マギが → マギーが
    4.95頁・後ろから2行目
     ヘンリーはジョーンにそっと近づき → ヘンリーはルイズにそっと近づき
    5.133頁・1行目
     サムの方を → サムの肩を



    |遊哉|2018年4月 5日 22:53

  • 遊哉様、ご指摘ありがとうございました。大変もうしわけありません。
    重版の際には、必ず訂正させていただきます。今後とも、ご鞭撻賜れば幸いです。
    なにとぞよろしくお願い申し上げます。



    |編集Y|2018年4月19日 12:30

  • 購入しました。早速読んでいます。九州入ってくるの遅れたのか、漸く、昨日見つけました。



    |矢野|2018年8月 4日 01:26

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