通常、弊社におきましては、ハンター、カッスラー、ロリンズといった大物のアクションやサスペンスを中心にラインナップを回しております。

ただ時折、『ジグソーマン』ゴード・ロロ)や『拾った女』チャールズ・ウィルフォード)といった、若干マニアックな癖の強い作品を世に問うてみたり、あるいは、編集者が偏愛する本格ミステリの古典作や異色作家短編集なんかをぽろり、ぽろりと出してみたりもしているわけです。あとケッチャムとか。

一部には、こういう変化球こそが扶桑社ミステリーの面白さだと感じてくれている、酔狂な読者の皆さまもいらっしゃるかもしれません。

 

ということで、お待たせいたしました。次の「タマ」を送り込むときが来たようです。

本年度、扶桑社が贈る「隠し玉」第一弾は......シェイン・クーン『インターンズ・ハンドブック』

原題も、ほぼそのまま『The Intern's Handbook』です。

インターンカバー小.jpg

 ■オンライン書店で購入する
amazonセブンネットショッピング楽天ブックサービスhonto

 

なんでタイトルが「インターンズ・ハンドブック」かといいますと、この作品、とある稼業のプロフェッショナルが、自分の所属する団体の新人たちに向けて書いたハウツー本(ハンドブック)の体裁をとっているんですね。

で、その職業というのが、いっぷう変わっています。

殺し屋。

それも若いインターンになりすましてターゲットの属する会社に潜入し、中で成り上がっていくことで会社のトップに近づき、関係を築いたうえで抹殺する、特殊な工作活動を専門とする殺し屋なんですね。

 

本書の(というか、作中作としての「インターンズ・ハンドブック」の)巻頭辞を引用してみましょう。

 

インターンは透明人間だ。たとえ百回名乗ったとしても、重役たちがその名前を憶えてくれるなんてことはぜったいにない。なぜなら彼らは、組織の最底辺でただ働きしているような人間のことなど、屁とも思っていないからだ。そのくせ重要な仕事を次から次にふってくる。つまりこちらがよろこんで引きうければ引きうけるほど、仕事は――おまけに信用とアクセスも――向こうからやってくる。最終的には、命まで預けてくるようになる。そのときこそ、ターゲットの命をもらうチャンスだ。

そして、本書の主人公ジョン・ラーゴは、このインターン殺し屋組織のトップ・エージェントなのです。

あらすじはこんな感じです。

 

おれはジョン・ラーゴ。もちろん本名ではない。

ヒューマン・リソース社のエース工作員だ。

うちは表向き人材派遣の会社だが、裏では

派遣インターンによる要人の暗殺を請け負っている。

おれは子供のころから暗殺者として鍛えられ、

ずっとここで働いてきた。

だがもうすぐ25歳で引退だ。

だからおれは新入り諸君のために、最後の任務を

詳述して暗殺の心得を伝授したいと思う......

 

教則本の体裁で描かれる、血と硝煙と裏切りに

彩られたキッチュでオフビートなアサシン・スリラー。

鬼才衝撃のデビュー作!

 

 

原書の宣伝では、けっこう『デクスター』と関連付けられてました(警察官が実はサイコキラーで悪を次々歯牙にかけていくというアメリカの大ヒットドラマ。ただしこちらは、あそこまでしんねりむっつりな内容ではない)。

かなりクセのある小説なので、未読の方に説明しづらいところもありますが、

エルモア・レナードドン・ウィンズロウよりは、間違いなくコミック・テイスト。

ただし、『バッド・モンキーズ』ほどにブッ飛んだカルト寄りの怪作ではなく、

誰でもごくふつうに楽しんでいただけるエンターテインメントに仕上がっております。

むしろ、著者本人が長く映画業界でやってきた人物なだけあって、

クエンティン・タランティーノとか、コーエン兄弟とか、ウォシャウスキー姉妹とか

ロバート・ロドリゲスとか、テリー・ギリアムとか、そのあたりの「曲者」系監督の

諸作品がお好きな人には、きっと楽しんでいただけるんじゃないかなと。

 

凝りに凝った一人称文体、奇想天外なストーリー展開、

次々と繰り出される雑駁なシネフィル的ネタの数々。

「狙いすましたB級テイスト」がべつに苦手というのじゃなければ、ぜひ手にとってみてください。

ま、あんまり構えずに、気楽に読んでいただければなあ、と思うわけです。

ていうか、あんまりヘンに期待されると、なんかすげえ怒られそうなんで・・・・・・(笑)。

 

でも、個人的には、最高に面白かった。

本当に・・・出して本当によかった。

マジで、そう思ってます。

 

4月29日くらい(連休が挟まるので、地方によっては遅れるかもしれませんが)に発売予定。

乞うご期待。 お楽しみに!!(編集Y)

2018年4月25日 22:06

コメント(1)

Comment

  • スティーブンハンター激賞の本の翻訳、いかがでしょうか。ハンターさんは最近新作を出してくれないので・・・。
    https://www.amazon.com/Jack-Carr/e/B0773Y8L7L/ref=dp_byline_cont_ebooks_1



    |トックン|2018年5月17日 20:05

コメントする

ページの先頭へ