2018年5月アーカイブ

大変長らくお待たせいたしました。ついにスティーヴン・ハンター『マスター・スナイパー』が6月2日に扶桑社より刊行されます!

 

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本書は、ハンターの小説家としてのデビュー作であり、20年ほど前に新潮社さんから出ておりました『魔弾』を、訳文を再検討し改訂を施したうえで、原題(『The Master Sniper』)に寄せたタイトルに改めて復刊したものです。

 

実は昨年末くらいから、弊社より本書を復刊するという情報が市場にけっこう出回っていたのですが(販売部経由であちこちに漏れていた)、実際は契約上の本国とのやりとりがなかなかうまく進まず(揉めたわけでは一切なく、ひたすら先方のレスポンスが遅かった)、ようやく今月の新刊として世に送り出せることとなりました。弊社までわざわざお問い合わせいただいた皆様、本当に申し訳ありませんでした。

正直、刊行までこぎつけることができて、心底ほっといたしております(笑)。


『マスター・スナイパー』は1980年に発表された、ハンターの輝けるデビュー作です。
デビュー作には作家のすべてが詰まっている、とよく言われますが、果たしてどんな小説なのでしょうか?

 

本書は第二次世界大戦末期、敗色濃厚のナチス支配下にある、森の奥の収容所を舞台に幕を開けます。他の収容所と比べて妙にのんびりした、ゆるんだ感じのするその場所で、しかしながら、ユダヤ人作家のシュムエルは不穏なひっかかりを感じていました。その恐るべき予兆は、ある月のない漆黒の夜に現実として牙をむくことになります。

 

 またひとり、倒れた。
 またひとり。
 みんな、がくっと力が抜けたみたいにくずおれた。やや身体をひねり、膝を折ってすわりこんだかと思うと、ゆっくりとまえにのめっていく。
 シュムエルは立ち上がった。
「俺たちは撃たれてるんだ」と、誰かが呆然とした口調でいった。「俺たちを――」その言葉は、弾丸によって途中で断ち切られた。
 祈りの声が、夜の静寂に響いた。ほかには物音ひとつしなかった。
 シュムエルのすぐ隣にいた男の喉に弾丸があたった。男がうしろにひっくり返る。別の男が急に前屈みになった。肺から血がどっと流れだし、ごろごろと喉を鳴らし、あえぐのが聞こえた。だが、ほとんどのものは頭か心臓を撃ち抜かれて、音もなく静かに死んでいった。
 ついにきた。夜がやってきたのだ。ナッハト、ナッハト、夜が襲いかかり、彼を連れ去ろうとしている。シュムエルはまえからずっと、夜がくるのを知っていた。いまが、そのときなのだ。目を閉じたほうがいいとわかっていたが、どうしてもできなかった。
(『マスター・スナイパー』p31より)

 

果たして収容所でおこなわれたこの虐殺こそは、ナチス親衛隊による、とある最新兵器の秘密実験だったのです。彼らは、この新兵器を用いた極秘作戦を計画中で、その実行者に選ばれたのが"狙撃の名手(マスター・スナイパー)"の異名をとるドイツ軍武装親衛隊のレップ中佐でした。

 

彼が標的としているのはいったい誰なのか?
作戦の存在に感づいたアメリカ陸軍戦略事務局のリーツ大尉は、当初聞く耳を持たなかった英国陸軍特殊作戦局のアウスウェイス少佐をも巻き込んで、作戦の全容を明らかにするべく奔走しますが......。


本書は、古き良き戦時冒険小説であり、虚実入り乱れる諜報小説であり、〈スワガー・サーガ〉の原点ともいえるスナイプ・アクションでもある、極上のエンターテインメントです。もちろん、壮絶なガン・アクションも登場します。

もはや帰趨が決した戦争末期という状況下でなお、与えられた使命に殉じ、マンハントに命を懸ける男たちの、追いつ追われつの極限の攻防が描かれる、大興奮必至の一冊です。

 

初めて読まれる方は、〈スワガー・サーガ〉であなたを鷲掴みにしたであろうこの作家の魅力が、本作の時点ですでに十二分に発揮されている点を、ぜひその目でお確かめください。
大昔に新潮版で読まれた方も、かなり訳文のほうに翻訳者の玉木さんが手を入れられましたので、この機会にご再読いただけるとたいへん嬉しく存じます。

 

現在、ハンターは最新作を準備中です(もうすぐ送るよって年明けにエージェントが言ってきてからそれきり音沙汰がないですが、まあそれはそれってことでw)。
皆様におかれましては、ハンターの「原点」をここでじっくり読み返したうえで、腰を据えて新作をお待ちいただけるとよろしいかと。

 

また本作には今回、販売部有志作成の「スティーヴン・ハンター扶桑社刊行全作紹介」の折込を封入しております。こちらの相関図&各作品紹介を見ながら、読み残していた作品にも手を伸ばしていただけると幸いです。ぜひよろしくお願いいたします!(編集Y)

 

追伸:合わせて、翻訳ミステリー大賞シンジケートさんのブログで、なんと♪akira さんが、スティーヴン・ハンターの裏ベスト(!)『四十七人目の男』を取り上げてくださっています! 

 


こちらもぜひご一読いただければ!

 

 

2018年5月29日 22:24 | | コメント(0)

まずは今月の新刊(6月2日発売)の一本目、クライブ・カッスラー&ボイド・モリソン『戦慄の魔薬〈タイフーン〉を掃滅せよ!』(上・下)をご紹介いたします。
海洋冒険小説の王者による〈オレゴン号〉シリーズの最新作です。

 

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 あらすじはこんな感じです。

 

フィリピンの海上で反政府勢力の指導者ロクシンを護送中の船が奇襲された。
そこで衝撃的な事件が起きた。
激しい銃撃戦によって絶命したかに見えた男が目の前で回復を遂げたのだ。
警察が茫然とするなか、男は逃走する。
満身創痍のはずがいったいなぜ? 
一方タイでは窃盗品の美術品売買をめぐって密売業者の抗争が発生。
カブリーヨは旧知の美術品鑑定家に依頼され、美術品の回収を請け負う。
追跡の末に彼らがたどりついたのはフィリピンの山中だった。
しかしそこには逃走中のロクシンの姿が!

盗まれた美術品を回収すべく、カブリーヨはロクシンの極秘施設を探る。
厳重に警備されたその施設で何が行われているのか? 
さらにオレゴン号の乗組員は施設に密かに侵入し、ロクシンに囚われていた化学者たちの救出に成功した。
そこで彼らから聞いたのは、人間を超人的な肉体に変える謎の物質〈タイフーン〉の存在だった......。
第二次世界大戦末期の戦場コレヒドール島を舞台に、悪魔の物質をめぐりオレゴン号の乗組員が苛烈な戦闘を展開する。海洋冒険小説の王者、クライブ・カッスラー最新刊!

 

今回のお題は、人体改造ドーピングと美術品密売。
フィリピンを舞台に、快男児ファン・カブリーヨとオレゴン号の仲間たちが、反政府組織の親玉と戦います。前作『ハイテク艤装船の陰謀を叩け!』では、同等の装備を配した武装船との対決がメインでしたが、今回は島内でのゲリラ勢力との陸上での攻防戦が中心。さらには、南アフリカの傭兵までもが登場し、三つ巴の戦いが展開します。

不死身の肉体を持つバーサーカー(狂戦士)を相手に、カブリーヨたちは勝利を収めることができるのか?

 

ぶっちゃけ、ここ数作のなかでも群を抜いてアクションに比重を割いた、スーパー面白エンターテインメントに仕上がっております。

お題がちょっとおバカだからこそ、まさにフルスロットルで、やれることはなんでもやってみました、という感じ。これを読んで、退屈だったとは決して言わせません!

あと、出だしで『ソロモン海底都市の呪いを解け!』に引き続き、またも731部隊が登場したりしますが、たいして大きな意味はないので日本の読者の皆様はお気になさらず。

 

なお、次のカッスラーは秋頃に、〈ファーゴ夫妻〉シリーズの最新作『Pirate』を、さらに年度内には、新潮さんでずっとやっておられた〈NUMA〉シリーズの続きのほうも、弊社よりご紹介できればと考えております。

今後共ご期待下さい! (編集Y)

2018年5月29日 21:57 | | コメント(0)

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