今月の2冊目は、フランスの新鋭女流作家アメリー・アントワーヌ『ずっとあなたを見ている』
日本初紹介の作家さんです。もとは自費出版で出したものが、フランスの大手出版社の目にとまり、商業出版物として米・仏で25万部のヒットにつながったとのこと。
評判を呼ぶのも納得の、いかにも「フランス」らしい味わいの逸品でございます。

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あらすじはこんな感じです。

銀行員のガブリエルは、最愛の妻クロエとともにパリからサン・マロに移り住み、幸せな結婚生活を送っていた。

だが彼の人生はクロエが水泳中に事故死したことで一変する。

悲嘆のなか失意の日々を送るガブリエル。

そんな彼の前にある日、報道カメラマンを目指す若いエマが現れる。

死んだ妻とは対照的な魅力をもつ彼女に、ガブリエルは徐々に惹かれていくが......。

男女が織りなす心の綾を丹念に描きだしながら、巧緻な構成と意想外の展開で読者を翻弄する

フレンチ・ミステリーの傑作ここに登場。


まあ、なんていっていいのか、本作はとある「趣向」の凝らされた小説なので、これ以上はなんとも申し上げられないといいますか(笑)。
ぜひ、まずは予備知識なしで手に取っていただけると幸いです。

ジャンル・ロマンスのようなタイトルと装丁だと思われるかもしれませんが、白背で出しておりますとおり、あくまでミステリー/サスペンスのジャンルに属する物語ですので、くれぐれもお間違えなきよう(間違えて買ってしまう行為自体はもちろん、止めませんw)。
ただし、ロマンスが好きで、かつミステリーも好きな方なら、それこそドンピシャで愉しんでいただける作品ではないかと思います。日本のミステリー作家でいえば、連城三紀彦とか泡坂妻夫のような。

一人の男と、二人の女。
それぞれの愛の形。
不思議な視線の交錯。
読んでいくなかで、そっと胸に差す違和感。
その違和感はやがて芽を吹き、きちんと「ミステリー」として昇華します。

複数視点の行き来する章構成、現在形でつづられる洒落た文体など、いかにもフランス産の香りのする凝った作品です。
現代的なテイストでありながらも、カトリーヌ・アルレーやボアロー&ナルスジャック、あるいはフレッド・カサック『殺人交叉点』、ミッシェル・ルブラン『殺人四重奏』あたりの、古き良きフレンチ・ミステリーの香りをうまく引き継いでいると思うのは編集者だけでしょうか。

多少力業のところもありますが、そこを言われてしまうのは作者も想定済みなのではないかと。
むしろ、211ページで転調を迎えてから、その「あと」を100ページ以上にわたってじっくり描いているのが、本作ならではの価値なのだろうとも思います。

秋の夜長に、ベッドの友として楽しんでいただけると幸いです。(編集Y)




2021年10月 4日 17:35

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