今月のもう一作は、ラーシュ・ケプレル『ウサギ狩り人』(上・下)
ヨーナ・リンナ・シリーズの第6弾で、弊社では『砂男』(上・下)、『つけ狙う者』(上・下)に続く紹介作品となります。

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あらすじはこんな感じです。

ストックホルムの高級住宅街。売春婦の目の前で客が撃ち殺された。
公安警察警部サーガが緊急出動するが、犯人はシリアのテロ集団と関わりのある男の名前を口にして、現場を立ち去ったあとだった。
唯一の目撃者を尋問すると、犯人の頬には長い髪の束のようなものが垂れ、被害者に童謡をきかせ、ゆっくりと時間をかけて止めを刺したという。
4年の刑で服役中の元国家警察警部ヨーナの元に、意外な人物が訪れる。
ヨーナは国を揺るがす凶悪犯を追跡するために、復帰する。
犯人の奇妙な行動から、犯人が十人の殺害を計画していると見破ったヨーナは、サーガとともに連続殺人犯の動機に迫る。
浮かび上がってきた被害者の共通点を見つけたヨーナは、30年前に起こった、陰惨な事件の真実を探るが――。
巧みな伏線とスピード感、ダイナミックな展開と精緻なディテールの融合からなる、シリーズ最高傑作!

編集担当は前作、前々作に引き続き上司のYなのですが、今回は趣向を変えて、搬入初日に一気読みしたという販売担当Mくんに、作品の魅力をガツッと紹介してもらおうと思います。
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私はラーシュ・ケプレルを(勝手に)「北欧のジェフリー・ディーヴァー」と呼んでいます。息をつかせぬサスペンス、巧妙に仕組まれたミスリード、落とすべきところにきちんと落とす伏線回収。こうした点が、前々作『砂男』、前作『つけ狙う者』にみられるケプレル作品の魅力ではないでしょうか。
もちろん、それは今作『ウサギ狩り人』にも健在。私はこの作品を見本段階、すなわち書店店頭に並ぶよりも一週間ほどまえの段階で手にしたのですが、会社の机で読みはじめると途端にその世界に引き込まれ、まさに「巻を措く能わず」、そのまま一両日中には読み終えてしまったほど、勢いがありました。『砂男』で出会ったシリーズですが、今作がいちばん好きな作品かもしれません。

そもそも『ウサギ狩り人』は、前作『つけ狙う者』から地続きではじまります。『つけ狙う者』は、ヨーナは有罪判決を受け刑事としての地位を追われ、収監されてしまうという衝撃のラストでした(私は判決が読みあげられるときにヨーナの仲間たちが起立するシーンが大好きです)。
今作では、そんなヨーナがいかにして捜査の第一線に戻るのか、というのが序盤の読みどころのひとつとなっています。前作をお読みになったかたは気になっていたのではないでしょうか。刑務所でたくましく生き抜くあいだに捨てたはずの「刑事」「警察官」としての本性が、捜査に協力することでだんだんと頭をもたげてくる......そのあたりのヨーナの心理描写もお楽しみください。
また今回、国家警察のヨーナだけでなく、公安警察のサーガ・バウエルにもスポットライトがあたっていることも大きな特徴で、魅力あるキャラクターへの掘りさげがまた一段階進んだ印象があるといえます。ヨーナとサーガの共同捜査は、ふたりが別々に行動し、同時進行のかたちをとっています。当然、片方がわかっていることがもう片方にはまだ伝わっていない、といったこともでてくるわけで、そこもまたサスペンスの一要素となっています。

さて、今回の敵は、プロの殺しの技術を持ち、ときに拳銃、ときに刃物で、はたまた狙撃で連続殺人をくりひろげる謎の殺人鬼・ラビットハンター。頭には切り落としたウサギの耳を垂らし、殺す相手には童謡を聴かせ、動けないようにしたあとはゆっくり時間をかけてトドメを刺すという、なんとも猟奇的な殺人者です。動機はなにか? 正体は? 
そうしたものがわかるのは、ケプレルのこれまでの作品からすると比較的早いような印象もありますが、今作はそこからが真骨頂。読者はラビットハンターの動機がわかった状態で、その企みの推移と、それを知らぬヨーナやサーガの捜査あるいは関係者の動きを俯瞰することになります。そこからは一気呵成、怒涛の展開。さまざまな要素が終着点へと収斂していきます。このたたみ方、ページターナーぶりこそが、ラーシュ・ケプレル"らしさ"といえるのかもしれません。
また、ラビットハンターがかなり戦闘能力に長けた人物ということもあり、常々語られていたヨーナの身体能力を活かしたアクションシーンも極めて読ませる描写がつづきます。たとえば終盤、ついに対峙したヨーナと殺人犯がおたがいを見極めていくというシーンがあります。指導教官の教えを回想しながら、ヨーナがひとつひとつ相手の動きを読んでいく、その静かな緊張感ただよう、気合いのはいった描写はひとつの読みどころです。

というわけで、サスペンス、アクション、ミステリー三方良しの『ウサギ狩り人』そして<刑事ヨーナ・リンナ>シリーズは、扶桑社海外文庫販売担当としていまもっともオススメしたい作品群です。絶対に損はさせません。ぜひお近くの書店さんでお買い求めのうえ、お楽しみいただければと思います。
ラーシュ・ケプレルは、スウェーデンはストックホルム在住の夫婦作家。<刑事ヨーナ・リンナ>シリーズは本国で現在8作目まで刊行されており、次作第7弾の邦訳も刊行すべく準備しております。私は企画書を読んだとき、「ついに!」と嬉しくなるような展開が示されておりました。乞うご期待! 私も早く読みたい!(販売担当M)





2021年10月20日 08:57

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