2021年12月アーカイブ

またまた更新がたいへん遅れて申し訳ありません。
巨匠ケン・フォレットが久々にものした現代もののポリティカル・スリラー『ネヴァー』(上・中・下 戸田裕之・訳)、もう手に取っていただけましたでしょうか?
発売月としての初速はとても順調で、ほんとうにうれしく思っております。

ネヴァー上中下 帯あり.jpg

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 あらすじはこんな感じです。
3巻分として書いたものをまとめたので、ちょっと長いですが(笑)。

中央アフリカに位置するチャド共和国。
タマラはその首都ンジャメナに駐在するCⅠA工作員だ。
彼女はテロリストの隠れ家とドラッグの密輸ルートを潜入捜査中の同僚アブドゥルの後方支援を担当している。アブドゥルが砂漠に隠された敵宿営地の発見に成功、急襲作戦の勝利に沸き立ったのもつかの間、タマラは国境にかかる橋で起きた小規模な武力衝突に巻き込まれる。
だがそれは、チャド・スーダンの背後にいるアメリカ・中国をも巻き込み世界を揺るがすことになる争いの端緒に過ぎなかった・・・。
アメリカ合衆国大統領ポーリーン・グリーンは相次ぐ事態の対応に苦慮していた。アフリカのチャドとスーダン両国間で発生した報復の連鎖は、やがて抜き差しならない大惨事を引き起こし、被害に遭った中国による報復行為まで呼び込んでしまう。どこで矛を収めるか、これ以上の紛争状態に発展することを避けるため、米中間でぎりぎりの交渉が行なわれているさなか、今度は中国国家安全部対外情報局長チャン・カイのもとに驚くべき情報が舞い込む。北朝鮮でクーデターが進行中だというのだ・・・!
対立の度を次第に深めてゆく米中二大国。極東で勃発した恐るべき事態によって、両国のお互いに対する疑心暗鬼はますます増幅され、誰もが望んでいない最悪の結末へと世界は雪崩を打って進んでゆく。決して引き起こしてはならない最終戦争を回避するため、ポーリーン・グリーン大統領、チャン・カイら両国首脳は日夜、必死の外交交渉を水面下で繰り広げるのだが・・・。

本来、今年弊社では、同じ著者の、『大聖堂』につづくキングズブリッジ・シリーズの最新作『The Evening and the Morning』(『大聖堂』の前日譚に当たる)を秋ごろにお届けすべく、準備を進めておりました。
ところが、春ごろに権利元から連絡がはいり、コロナ禍のさなか、ケン・フォレットが一気呵成にひとつの物語を書き上げたとのこと。著者は「11月の世界同時発売を切望している」と言います。
著者たっての希望ときましたか・・・。
そりゃ、こうなったら、乗るしかない。
さっそく翻訳者の戸田さんにご連絡とご相談を差し上げ、途中まで進めてもらっていたキングズブリッジ新作の作業を、こちらの本のほうに切り換えていただき、神速のスピードで11月末搬入(12月初書店売り)に間に合わせていただきました。この膨大なボリュームの内容を、あの驚くべき短期間で、しかもほぼ完ぺきな翻訳として仕上げていただけたことに関しましては、ほんとうにいくら感謝してもしたりません。
この場を借りて、戸田さんには改めて御礼を申し上げたいと思います。

今回、なぜケン・フォレットはコロナ禍のさなか、あえて執筆中の歴史小説の作業を「中断」してまで、本書を書かねばならなかったのか。
なぜ、彼は「世界同時発売」にこだわったのか。
彼がわれわれに問わねばならなかった「今」「ここ」とは、なんなのか。

それは、読んでいただいた方なら、すぐにわかっていただけると思います。
一言でいえば、本書は「世界滅亡のカウントダウンをめぐるシミュレーション小説」なのです。
著者は、本書の冒頭に置かれたまえがきで、以下のように述べています。

『巨人たちの落日』を執筆するための調査をしていたとき、第一次世界大戦が一人欲していない戦だったことに気がついた。ヨーロッパのどちらの側の指導者も、その戦争を起こす意図を持っていなかった。しかし、皇帝と首相が下した判断――論理的で節度あるものだった――の一つ一つが、世界が知っているなかで最も悲惨な戦争へと、徐々にわれわれを近づけていったのである。私はそれがまったく悲劇的な偶発事故だったと信じるに至った。
そして、考えた――同じことが再現される恐れはないだろうか、と。

そう、本書は、あの20世紀初頭に起きた悪夢が「今」繰り返されるとしたら、どのように始まりうるのかという問いに、仮想小説という形で迫った一書なのです。

どこからほころびは始まるのか。
どの国がそこに絡んでくるのか。

本書に登場する政治家は、みな優秀なエリートばかりです。急進派と穏健派の対立はあっても、彼らは皆、最悪の事態を回避すべく、必死で打開策を模索します。
でも、事態は刻一刻と悪化の一途をたどっていく。
この悪循環に歯止めをかけるのは、いったい誰なのか。
いや、そもそも悪循環を生じている根本的な原因とは、いったいなんなのか。

圧倒的な筆力と描写力で、リアリティとイマジネーションを紡いで編み上げられた、渾身のポリティカル・スリラー。本書は、会議室や執務室における政治家たちのつばぜり合いとともに、最前線で命をはるエージェントの闘いぶりや、彼らの日常生活のようすをも活写することで、抜群のリーダビリティを提供してくれます。
かわぐちかいじや『シン・ゴジラ』でも体験したのと同等の、とびきりのスリルと知的興奮をお約束します。
まあ、下巻における日本国の扱いに苦笑してしまう読者も出てきそうですが・・・・・・それくらいの危機的な状況に、日本もまた直面していると考える必要があるのでしょう。

ケン・フォレットの危機意識は切実です。
だからこそ、彼は今、この小説を書いて、われわれにまっすぐ問いかけている。
ほんとうに、このままでいいのか、と。

ぜひ読者の皆さんも、フォレットの懸念と祈りを本書を通じて共有し、受け止めていただけたら担当編集としてもうれしく思います。

なお、延期する形になった『The Evening and the Morning』は、現在のところ、2022年秋ごろを予定して仕切り直しております。戸田さん曰く、現時点でのフォレットの最高傑作なのではないかとのこと。そちらもぜひご期待ください!(編集Y)









2021年12月25日 16:07 | | コメント(0)

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