新刊案内

『縮みゆく男』と本間有さん


遅々として進まぬ『シュリンキングマン』の映画化と、せまる版権切れ。

実は、もうひとつ、我々にとってはずっと気にかかっていることがありました。

本書を翻訳してくださった本間有さんこと黒田直見さんは、2009年12月に逝去されました。編集者は『ロマンス作家「殺人」事件』と『ある日系人の肖像』の二冊でご一緒させていただきましたが、大変丁寧な仕事をされる翻訳者さんでした。
新訳版『縮みゆく男』は、弊社の依頼を受けて本間さんが訳了されたあと、映画化の遅滞にあわせて発売時期が延びてしまった、いわゆる「塩漬け」案件でした。

そんななか、我々にもたらされた本間さんの訃報は、あまりに唐突なものでした。

当時、Tがこんな記事をアップしています。(こちら

まだお若かったということもありますが、本来なら生前に出せていたはずの本の出版を、こちらの都合で延ばしていたこと、もし連絡を頻繁にとりあっていれば、お加減についてこちらも何らかの形で気づけただろうことを思うと、今も悔やまれてなりません。

ですから、どういう形であっても、いつの日かこの原稿をちゃんと書籍化して世に出すというのは、前任の編集者との約束でもあり、ご遺族の方との約束でもあったのでした。

本書は、マシスンの追悼本であると同時に、我々にとっては本間さんの追悼本でもあります。
こうして、本間さんの遺した最後のお仕事を、三年越しではありますがようやく世に問うことができて、正直すこし胸のつかえがとれた思いです。
ご遺族からは、ちょうど今日、ご仏前に本書を供えてご報告されるとうかがいました。
あらためて、本間さんに感謝し、完成した本書を捧げたいと思います。

巻末には、本間さんによる、女性ならではの視点から書かれた含蓄のあるあとがきが収録されています。マレルと町山さんのあとがきと合わせて、熟読玩味していただければと思います。
あとがきの附として本間さんの作品リストも入れさせていただきました。多少奇異な印象を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんが、上記のような経緯があってのこととご理解を賜われば幸いです。

結局、本間さんの生前に映画はできなかったところか、その後、製作は頓挫してしまいました。
でも、帯にも歌いましたとおり、本作はMGMで仕切り直しの再映画化が進められています。
おそらくマシスン亡きあとも、息子のリチャード・クリスチャン・マシスンが脚本を書き継いでくれることでしょう。公開されるのが楽しみです。

それまでに、一人でも多くの方が、この素晴らしい作品を手にとって、読んでくださることを祈ってやみません。(編集Y)

2013年08月22日
【新刊案内】

リチャード・マシスン追悼、『縮みゆく男』完全新訳版で復刊!


リチャード・マシスンが今年6月に亡くなったのは、記憶に新しいところだと思います。
日本では、キングやクーンツほどの知名度はないかもしれませんが、
本国アメリカでは、知らぬ人のいない国を代表する大作家さん。

『激突!』『アイ・アム・レジェンド』の原作者といえばわかるかもしれません。

弊社でも『奇術師の密室』『深夜の逃亡者』の二冊を出しています。

あらためまして、謹んでご冥福をお祈りいたします。

そこで!

8月末刊でチャールズ・ボーモントの短篇集をお届けすると予告しておりましたが、
急きょ、予定を変更いたしまして、前々からじつは準備だけはしておりましたマシスンの代表作『縮みゆく男』(早川版と映画タイトルは『縮むゆく人間』)を完全新訳版で復刊することにいたしました。(ボーモントは、9月の末にお届けすることにいたします。)


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解説は町山智浩さん。これがもう、圧倒的にすばらしい!! ほんとうに頼んで良かったと心底思える名解説!

さらに、『ランボー』の原作者であるデイヴィッド・マレルによる、きわめて詳細かつ緻密な愛蔵版「あとがき」を併録。

この二本のすばらしい論評を読むためだけでも、すべてのSF、ミステリー、ホラーのジャンルファンは、ぜひ手にとってほしい!!


リチャード・マシスンの訃報は、衝撃的なニュースでした。
87歳と高齢ながらも、『闇の王国』(ハヤカワ文庫)とか、『Generations』とか、新刊も出していたし、何より『縮みゆく人間』再映画化で息子とともに共同脚本・製作にあたるというニュースが今年の2月に流れていたので、まさか亡くなるとは思っていませんでいた。
実は、映画が無事完成した暁には、今度こそ、ずっと手元で暖めていた原稿……『シュリンキングマン』の新訳を世に問う予定だったのです。

今度こそ、と申しますのは、本書はもともと何年か前にエディ・マーフィ主演でユニバーサルのもと再映画化されることが決定しておりまして、それに合わせて前任者のTが権利を獲得したものだったんですね。
ラスベガスのマジシャンが魔法をかけられて……というコメディー・タッチに翻案してあったらしいのですが、この映画化プロジェクトがどういうわけか(ままあることですが)暗礁に乗り上げてしまいます。
さあ、困った。いつ映画ができるかわからない。かといって、なんのフックもなく復刊するのは難しい。
悩みながらも手元で塩漬けにしているうちに、3年が経過。本自体の出版契約期限切れもせまってきます。
そこにエディ・マーフィ版の契約期限切れと、MGMによる再映画化の話が立ち上がったわけです。
よし、ようやく新訳版を世に出せる!

マシスンの訃報は、このような状況下で届けられたのでした。(編集Y 以下続く)

2013年07月04日
【新刊案内】

ハンター・フェア@大垣書店三条店、続報


既報のとおり、現在、京都の大垣書店三条店にてスティーヴン・ハンター・フェアが開催中です。
おかげさまで、反響も上々とのこと。
この度復刊なった『極大射程』を中心にご好評いただいている様子です。
近隣にお住まい方、お勤めの方、隣のスターバックスあるいは向かいのエクセルシオールでくつろいでいる方は、ぜひ足を運んでみてください。
そして、「百田尚樹氏絶賛!」の右上に見える限定特典の「プチスイーツ」(写真をクリックして拡大すると見られます)。
京都の方には、どんなものか現物を手に取って確認していただきたいところですが(というか、じつはこれを書いてる人間がブツを見たことないんですけど)、同書店の土井麻衣子さん曰く、「差し上げると、クスッて感じで喜ばれています」。
ボブ・リー・スワガーとの繋がりはチロリとも思い浮かばない品ですから、「クスッ」も当然ですが、ボブ・リー同様、信頼の味です。


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大垣書店のブログも御覧ください。

2013年07月02日
【新刊案内】

古きものたちの墓 クトゥルフ神話への招待


今月は、『極大射程』復刊のほか、もう一点、扶桑社ミステリーの新刊があります。
前回、想像以上のご好評をいただいた『クトゥルフ神話への招待』。
先輩編集者Mと、尾之上さんのコンビで贈るホラー企画。
満を持して、その続編『古きものたちの墓』をお届けいたします。

今回の売りは、なんといっても、コリン・ウィルスンの未訳作のご紹介!
われらがラムジー・キャンベルの未訳作を二点。
それから、ブライアン・ラムレイの未訳作を一点。
巻末には、森瀬繚氏渾身の現代クトゥルフ論も所収。
いやあ、すごいラインナップだ!
クトゥルフ大好きっ子も、新参者も、ぜひお手にとってお確かめ下さい!(編集J)


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1980年代の<定本ラヴクラフト全集><真ク・リトル・リトル神話大系>や<クトゥルー>シリーズの誕生によりラヴクラフトの名前とクトゥルフ神話が、日本で広く知られるようになり、1990年代以降は、小説、コミック、アニメ、ゲーム、と幅広いジャンルにクトゥルフものが定着。

そして2012年、欧米のクトゥルフ神話関連が盛り上がるなか、新たな作家や作品を紹介するアンソロジー・シリーズ<クトゥルフ神話への招待>の第1弾を扶桑社ミステリー文庫として刊行。

 その第2弾である本書は――チームを率いて南極探検に挑んだ男が人知を超えた存在と遭遇する、コリン・ウィルソンの「古きものたちの墓」。漁村で起きているおぞましい事件の真相をブライアン・ラムレイが語る、ショッキングな「けがれ」。さらに、ラムジー・キャンベルが呪われた町ゴーツウッドで発生する奇怪な出来事をつづる「ムーン・レンズ」「湖畔の住人」――英国の巨匠三人による恐怖と戦慄が横溢する逸品をそろえた、全作品本邦初紹介である。(編集M)

2013年06月27日
【新刊案内】

スティーヴン・ハンター『極大射程』復刊!


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1999年に発表されるや、多くの読者の心をガッシリと掴み、「このミステリーがすごい!」(2000年度海外編)の第一位にも選出された傑作。長らく新刊での購入が困難な状況にありましたが、ここに装いも新に、より練り上げられた翻訳でお贈りすることになりました。

本書は〈ボブ・リー・スワガー・シリーズ〉の記念すべき第一作。シリーズ未読の読者は、ぜひこの正門をくぐり、広大なスワガー・サーガの世界へと足を踏み入れてください。そしてすでに読まれた方々は、また読んでください。やっぱり面白いですから!

〈あらすじ〉隠遁生活を送るヴェトナム戦争の英雄、伝説的スナイパーのボブ・リー・スワガーのもとにある依頼が舞い込む。新たに開発された銃弾の性能をテストしてほしいというのだ。だが、それはボブを嵌める罠だった。恐るべき陰謀に巻き込まれ、無実の罪を着せられたボブは、FBI捜査官のニックとともに、事件の真相を突き止め、陰謀の黒幕に迫る。名誉と愛を守るための闘いが始まる!

2013年04月30日
【新刊案内】

予期せぬ結末1 ミッドナイト・ブルー


前回のエントリー、ビブリオバトルの記事で触れた最新刊、ジョン・コリア『予期せぬ結末1 ミッドナイト・ブルー』が明日、5月2日に発売となります。
いやあ、よかった。よかった。


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内容はこんな感じになっています。

意想外の設定と冴え渡るラストのひねり。
稀代のアンソロジスト・井上雅彦が贈る、
海外異色作家短篇シリーズ、ついに始動!

第一巻では、異才ジョン・コリアの傑作集をお届けする。
皮肉な笑いと綺想あふれる作風で知られる名手の短篇から、
未訳作と個人集未収録作を中心にセレクト。
犯罪者に待ち受ける意外な陥穽を描く表題作ほか、
美食ミステリーのパロディ作「完全犯罪」、天使と
悪魔が恋の駆け引きを繰りひろげる「恋人たちの夜」など、
犯罪と恋愛をめぐる珠玉の16篇を収録!〈解説・植草昌実〉


売りはこんな感じです。

本邦初訳、個人集初収録作品多数!
本書では半数近くにおよぶ、植草昌実氏による新訳、初訳が収められています。
掘り出し物もあれば、幻のソノラマ文庫版収録作の新訳、さらには既訳とは微妙に内容の異なる異稿などを取り揃えました。特に、小気味の良いバカミス「ボタンの謎」にご注目あれ。

ほぼ『炎のなかの絵』『ナツメグの味』とカブリなし!
今でも手にとれる本で読める短篇からは、あえて採りませんでした。結果的に一篇をのぞいて、すべてカブリなし。これで、三冊を揃えれば、自選集に含まれていたコリア短篇のほとんどが、邦訳で読めることになりました。

伊藤典夫先生訳のコリア作品を三作すべて集成!
上記で書いた「一篇」を含めた計3篇、伊藤典夫先生によるコリア翻訳のすべてが、本書では収録されています。『ビブリア古書堂の事件手帖』で「たんぽぽ娘」が紹介されて以来、若い世代にもプチブームが来ているという、日本SF翻訳界の巨星による、味わいぶかい訳文をご堪能ください。


マニアから一般の方までお買い求めいただきやすい、700 円ぽっきりでのご提供!
16篇を収録して、このお値段。ふだん星新一や筒井康隆、阿刀田高あたりを読まれているような一般の方にも、ぜひ翻訳物の面白さを味わってもらえれば、との意図のもと、薄め、安め、オチ分かりやすめ、ということで編んだ経緯もあります。「ジョン・コリアなんて聞いたことないなあ」という方も含め、電車や飛行機の友に、ナンクロや時代小説の代わりに読んでもらえれば、こんなに嬉しいことはありません。

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2013年03月25日
【新刊案内】

ジェームズ・ロリンズ、興奮の最新刊!



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『マギの聖骨』(竹書房)等の〈シグマフォース・シリーズ〉でおなじみ、ジェームズ・ロリンズの最新刊の登場です!
「最新刊」とは言うものの、正直申し上げてこれは日本での話。原著の発売は2003年。
 ロリンズ氏は1998年頃から作家活動を始めたということですから、まだキャリアにして5、6年頃の作品ということになります(ちなみに『マギの聖骨』の原著発売は2005年)。
 驚くべきは、この初期と言っていいであろう時期に書かれた本作の完成度です。
 数多い登場人物それぞれに印象的な性格を与え、それぞれが生きる、生きざるをえないパーソナルなドラマを作品全体を貫く大きなドラマの中に、それが欠くことのできないパーツであるかのように組み込みながら、説明的すぎたり、話の運びがもたついたりすることは一切ない……というような。
 いや、しかし、「完成度」などという、どこかに出来合いのモノサシがあるような言い方はふさわしくないかもしれません。
 ここには、何よりも読者をワクワクさせるスピードがあり、自然の驚異への尽きることのない好奇心があり、人生を愛する熱いハートがある。

 というわけで、この熱い『アイス・ハント』、冒険小説好きも、ミステリー好きも、SF好きも、ロマンス好き(?)も満足させるに違いない稀有な作品となっています。
 まさにエンタテインメントの勝利!
 お楽しみください!

北極海を潜行中の米海軍調査潜水艦が、最新鋭ソナーで浮標する氷島の内部に廃棄された基地らしきものを発見した。モニタには多くの人間の死体と、何物かの蠢く影が映り込んでいた――。2か月後のアラスカ。元グリーンベレーで野生動物監視員のマットが、攻撃を受け墜落したセスナから新聞記者のクレイグを救出。クレイグは北極の米軍基地オメガへ取材に行く途中だった。マットは別れた妻とともに、謎の追撃者を振り切り記者をオメガへ送り届けようとするが、そのとき北極では恐るべき事態が出来していた――。
(編集I)



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