業界ニュース
2010年05月25日 |
【業界ニュース】
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映画版 The Killer Inside Me
孤高のノワール作家ジム・トンプスンの最高傑作のひとつ『おれの中の殺し屋』が映画化されました!
というと、トンプスン好きの方はバート・ケネディ監督による映画版(1976)を思い浮かべられるかもしれませんが、マイケル・ウィンターボトム監督による新たな映画化なのです。
原作をお読みでないかたは、この機会にぜひ!
扶桑社海外文庫の通巻1000番を記念して、とくに選んで新訳を出版した、歴史的名作です。
巻末の、スティーヴン・キングによる力のこもった解説もいいですよ。
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キャストはルー・フォードにケイシー・アフレック、ジョイスにジェシカ・アルバ、エイミーにケイト・ハドソン。
英米で6月から公開の予定ですが、日本での公開の情報は、残念ながらまだ入ってきていません。 【2010年10月8日追記→こちらをご覧ください】
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2010年02月05日 |
【業界ニュース】
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『ルインズ 〜廃墟の奥へ』映画版、DVD発売!
ケッチャム『隣の家の少女』映画公開決定につづき、あの『ルインズ』の映画版DVDが発売。
タイトルは、『パラサイト・バイティング 食人草』!
なんだかショッキングな映画ばかりで、恐縮です。
2010年02月04日 |
【業界ニュース】
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ジャック・ケッチャム『隣の家の少女』映画公開決定!
まさかの日本公開が実現。
キングレコードさん、すごい!
★3月13日(土)〜 渋谷シアターNにてレイトショー公開 その後、全国順次公開予定
★予告編は、こちら。
ケッチャムの原作は、もういまさら説明するまでもない、美しき鬼畜小説の歴史的名作。
未読のかたは、ぜひぜひどうも。
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2009年12月11日 |
【業界ニュース】
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カーカス・レビュウ廃刊!
「Kirkus Review」は、アメリカで長年出版されている書評誌です。
書評の雑誌といっても、日本人が想像するものとはすこしちがい、出版される前の本の批評がならんでいるのです。
海外では、出版の数ヵ月前からプロモーション活動が行なわれるのがふつうです。
再販制度がある日本の出版界とちがって、海外では書店は個々に仕入れをしなければなりません。すなわち、出版社から本を買い入れるため、書店は出版前に作品の内容を見きわめる必要があるのです(日本では、書籍は委託販売が主なので、書店が卸価格で本を買うといったことは原則的にないわけです)。
その判断の助けになるのが書評誌です。出版前の本の書評が載っていますから、それを読んで、自分の店での仕入れ具合を決めるわけです。
もちろん書店以外にも、図書館や、わたしたちのように翻訳すべき作品を探している出版社や、映画化すべき作品をいち早く押さえたい映画会社にも有益な情報源になります。
そのなかでも「カーカス・レビュウ」は、書評がきびしめであると言われてきました。
きびしい評価をするということが、逆に書評誌としての信頼につながる側面があったのです。
みなさんも、翻訳書で海外での書評が引用されているときに「カーカス」の名を目にすることがあるのではないでしょうか。
「カーカス」が売りに出されているという話は聞いていましたが、買い手がつかなかったため親会社が廃刊を決定。年末までに全員が会社を離れるということになったそうです。
しかし、老舗の「カーカス」がなくなるとは!
業界誌のトップ「パブリッシャーズ・ウィークリー」も同様に親会社が引き取り手を探しているはずですが……(編集部・T)
2009年11月02日 |
【業界ニュース】
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スチュアート・カミンスキー死去
スチュアート・カミンスキーが10月9日に死去。肝炎のために肝臓移植を待つ状態で、心臓発作に襲われたとのこと。75歳でした。
往年のハリウッドを舞台にしたトビー・フーパーズもの、ロシアの捜査官ロストニコフもの、召喚状送達人ルー・フォネスカものと、多数のシリーズをかかえる、現在の米国では稀に見る多作家でした。
映画研究者としても著名で、なかでも気になるのはドン・シーゲルの研究書。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の脚本にたずさわったことも知られています。
大学での教え子にサラ・パレツキーがいて、彼女をエージェントに紹介し、デビューにみちびいたのもカミンスキーでした。
扶桑社ミステリーでは、シカゴの老刑事エイブ・リーバーマンのシリーズを刊行していました。
人生の酸いも甘いも噛みわけたユダヤ系の刑事と、アルコール問題をかかえたパートナーのアイルランド系刑事、異様にかっこいいラテン系ギャングなど、多彩な登場人物がからみあいながら進むモジュラー型警察小説で、高い評価を得ました。
ただ、シリーズを追うごとにじょじょに売れ行きは落ち、5作めをもって断念せざるをえないことになりました。ほんとうに残念です。
既刊は、以下のとおりです。
『愚者たちの街』
『裏切りの銃弾』
『冬の裁き』
『人間たちの絆』
『憎しみの連鎖』
現在は、いずれも在庫僅少ですので、急いで書店さんにご注文いただければと思います。
このあと、本国ではさらに5冊が刊行されています。
このシリーズのカバー・デザインは、亀海昌次さんの仕事。骨太なハードボイルド・タッチのすばらしいカバーでした。
ご本人もミステリー好きで、この仕事を楽しんでいただけていたと思いますが、その亀海さんも、もう亡くなられてひさしいのですね。(編集部・T)
ライオネル・デヴィッドスン死去
英国の作家ライオネル・デヴィッドスンが死去していたことがわかりました。息子さんの発表によると、肺癌だったとのこと。87歳でした。
寡作でありながら、CWAゴールド・ダガー×3(『モルダウの黒い流れ』『シロへの長い道』『チェルシー連続殺人』)+ダイアモンド・ダガー受賞。
ジャンルにとらわれず、質の高い作品を生みつづけた、まさに20世紀後半を代表する作家のひとりだったといえるでしょう。
扶桑社ミステリーで『チベットの薔薇』を出版したのは、2006年のこと。チベットで行方不明になった弟を探す英国人教師の手記の形式を借り、史実を背景に奇想を展開させた冒険小説でした。
「こんな古い作品で売れるのか」と社内で危惧されましたが、正統的な(?)冒険小説であり、チベット問題という現代に通じるテーマであり、なんといっても翻訳権十年留保で説得して、出版に持ちこみました(デヴィッドスンについて知りたいかたは、小森収氏による本書の解説をぜひどうぞ)。
この本は、おかげさまですこし売れました。とてもうれしかったです。
そこで、勢いこんで次に用意したのが、『大統領の遺産』です。
イスラエル初代大統領が遺した記録をめぐる、これまた史実を背景に奇想を展開させた歴史ミステリーでしたが、こちらは残念ながら、いまひとつの成績。
70年代の作品でしたが、中東情勢や石油代替エネルギーというテーマが、ちょうど時代がひとめぐりして最先端の問題になっていてよいかと思ったのですが...
心残りは、1968年の作品 Making Good Again が日本未紹介なままこと。これは、第二次大戦中のナチスの資金をめぐる歴史金融サスペンス小説です。
いまのところの『大統領の遺産』の売れ行きを見ると、次を出すのは難しいと言わざるをえません。
また、別名義のものもふくめて、ジュヴナイル・サスペンス小説も未訳のままなのです。こちらもストレートな作品があって、なんとも惜しい。
ちなみに、日本語で読めるデヴィッドスン作品は、以下のとおり。
『モルダウの黒い流れ』The Night of Wenceslas, 1960(早川書房)
『チベットの薔薇』The Rose of Tibet, 1962(扶桑社ミステリー)
『シロへの長い道』A Long Way to Shiloh, 1966(早川書房)
『スミスのかもしか』Smith's Gazelle, 1971(角川書店)
『大統領の遺産』The Sun Chemist, 1976(扶桑社ミステリー)
『チェルシー連続殺人事件(文庫化で『チェルシー連続殺人』と改題)』The Chelsea Murders, 1978(集英社)
『極北が呼ぶ』Kolymsky Heights, 1994(文藝春秋)
70歳を超え、長いブランクをおいて発表した小説が『極北が呼ぶ』だとは、まったくおそろしい作家でした。(編集部・T)
2009年07月30日 |
【業界ニュース】
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ウィリアム・G・タプリー死去
ブレイディ・コイン・シリーズの著者ウィリアム・G・タプリーの訃報が入ってきました。
癌だったそうです。享年69歳。
著者のサイトには、3週間前にアップされた、タプリーから読者へのメッセージがあり、意欲的な新作の予定がならんでいます(釣りの本もふくめて)。
扶桑社ミステリーでは、『チャリティ岬に死す』から『哀しみの絆』まで11作のブレイディ・コインものと、ロマンス作家リンダ・バーロウとの共著『癒しの血族』を出版していますが、すべて在庫がない状況です。
申し訳なく、残念です。(編集部・T)
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