編集部日記

2010年12月03日
【編集部日記】

刑事コロンボの元ネタ?と遭遇


ふだんは、仕事がらみの内容しかアップしないようにしているのですが、あまりにびっくりしたのでご容赦ください。まあ、昔『越境する本格ミステリ』という本を編集したこともありますし、次の仕事につながる可能性もあるということで……。なお、情報にとんと疎いもので、もしかすると有名な話かもしれませんが、その場合はすみません。

先日、録画してあった『ヒッチコック劇場シーズン2』(ミステリーチャンネルで放映中)をまとめ見してたわけです。1時間バージョンの第二シーズンをTV放映するのは本当に久しぶりのはずです。ありがたや、ありがたや。
で、今回ご紹介するのは第38話「落とし穴」。実はこの作品、脚本がR・レヴィンソン&W・リンク。そう、『刑事コロンボ』の生みの親として著名なプロデューサー兼脚本家コンビなのです。当然、期待も高まるというもの。

さわりだけ、あらすじを紹介することをお許しください(どうしてもネタバレがおいやな方はここまでで)。

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2010年11月15日
【編集部日記】

エルモア・レナードふたたび


 新作出版のおかげで、レナードがあちこちの取材に応じています。

 Publishers Weekly のインタビュウによると、

「先週、取材を2つ受けたが、どちらも電子書籍の質問からはじまった。『待ってくれ。いまでも原稿は手書きなんだ』と言ったら、長い沈黙。質問事項の3分の2は吹っ飛ばしたらしい」

とのこと。

 じっさい、原稿はすべて手で書き、その後、電子タイプライター(!)で打ちこむのだそうで、このスタイルは1950年代から変わっていないんだとか。そうしてできあがった原稿は、編集者をわずらわせることがほとんどなく、ほぼそのまま本になる。
 デトロイトのブルーカラー出身の勤勉なレナードは、毎日6〜8時間を執筆に当て、年に1冊のペースで新作を発表。それでも、書くスピードはすこし遅くなっているとのこと。
 そりゃあ、85歳ですからね(ちなみに、いまさらタバコをやめる気はないみたい)。

 書くほうがいそがしくて、最近は本を読む量が減ってるそうですが、マーティン・エイミスの新作は気に入ったといいます。
 いっぽうで、スティーグ・ラーソンは途中で投げだしてしまったそうです。「半分まで進んでも、なにも起こらない」から。

 あいかわらず意気軒昂。いつまでもがんばってほしいものです(それに、新作が日本で読めれば……)。

2010年11月09日
【編集部日記】

レナードの十戒


 エルモア・レナードが、みずから小説を書く際に課しているというルール10ヵ条をあげています。
 まとめてみると、こんな感じです。

1.長編を天気の描写ではじめるなかれ
 読者は人物をもとめてページをめくるものだ。雰囲気を作るだけなら、そんな描写は不要。

2.プロローグを書くなかれ
 物語の背景を説明するプロローグはいらない。とくに、これから起こることを予告するようなものは。

3.会話の描写には「said」以外の動詞を使うなかれ
 会話は登場人物を描写するものだが、動詞は作家が割りこむ部分である。出しゃばるべからず。

4.「said」を修飾する副詞を使うなかれ
 作家が鼻を突っこんで言葉を使うと、会話のリズムを乱す。

5.「!」はコントロールすべし
 10万語に2〜3度しか使うべきではない。

6.「suddenly」や「all hell broke loose」は使うべからず
 これも、作家が流れをコントロールするようにという教え。

7.訛りや方言は控えめにすべし
 やりはじめると止まらなくなる。節度を持って使うこと。

8.登場人物の詳しい描写は避けるべし
 人物は、会話や行動によって感知できるものである。

9.場所や事物について書きすぎるべからず
 描写力があったとしても、物語の動きや流れを阻害する。

10.読者が読みとばしそうな部分は削るべし
 これは1983年に加わったルールだそうです(『スティック』や『ラブラバ』のころ)。言葉をならべたてた長いパラグラフなどが典型。


 まさに、ハードボイルド文体ですね。
 レナードはインタビュウで、もっとも影響を受けた作家として、50年代のヘミングウェイをあげています。

2010年10月25日
【編集部日記】

本で遊ぶ


 アメリカの古書店が作ったビデオです。

 おもしろい。

 倒れていく本がときどき確認できますね。
 あ、ノーラ・ロバーツだ、とか、お、グリシャムだ、とか。ディーヴァーとか、ケラーマンとか。ロバート・B・パーカーが踏みつけに!  とか。

 けど、ちょっと抵抗もありますねえ。
 電子書籍ではできない遊び、って言われれば、それはそうですが。

2010年10月19日
【編集部日記】

囚われの身で読む本 番外編


囚われの身で読む本
囚われの身で読む本 その2

 刑務所図書室の話題を取りあげてきましたが、Running The Books: The Adventures of an Accidental Prison Librarian なんていう本が出たそうです。
『刑務所図書館員になってしまった男の冒険』っていうところでしょうか。

 著者のアヴィ・スタインバーグは、ハーヴァードを出たものの、新聞の死亡記事を書くぐらいの仕事しかなく、やむなく応募したのがボストンにある刑務所の図書室の仕事。この本は、彼の回想録なのです。

 受刑者たちが法律や職業上の調べものをするのを手助けしたり、宗教や娯楽のための読書に協力するのがおもな仕事。
 この刑務所は、男女両方が入っていて、もちろん双方が接触しないように厳格に区分されている。図書室は、男女が使う時間帯をわけているそうです。
 ところが、図書室の本が男女の通信に使われてしまう。カップルが、示しあわせておなじ本を借り受け、手紙をはさんでやり取りするんだって。
 そういうのを阻止するのも彼の仕事なんだとか。

 刑務所ならではの問題は多くて、たとえば図書室ではシルヴィア・プラスが人気なんだそうですが、プラスは若くしてガス自殺した女性なので、その作品を読ませると自殺願望を植えつけないか、と議論になったりするようです。
 その程度でもめるのであれば、連続殺人者についての本などがあれば、大騒ぎでしょうね。

 彼は、受刑者たちの文章講座の指導などもやったのですね。
 ところが女性受講者たちは、本にある著者写真を見ただけで、フラナリー・オコナーは信用できると考えたり(逮捕された人みたいだし、たいした美人じゃないから)、ガルシア・マルケスはウソつきだと断定してしまったりするそうで、たいへんらしい。

 著者は、勤務して3日めには上司から「きみは働きすぎだ」と注意されたといいます。
 受刑者のために最善をつくすべきなのか、あるいは看守側に立ってきびしく管理すべきなのか?
 彼はその狭間に立って、苦労を重ねていくようです。

2010年10月08日
【編集部日記】

映画 The Killer Inside Me 日本公開決定!


 すでにお伝えしたジム・トンプスン『おれの中の殺し屋』の映画化ですが、日本での公開が決定しました!

 邦題は『キラー・インサイド・ミー』
 公開時期は2011年春ごろになりそうとのこと。
 内容については...またあらためて。

 今後の情報はわかりしだいアップしていきます。
 乞うご期待!

2010年10月06日
【編集部日記】

書店の死体


 ニューヨーク州のバーンズ&ノーブル書店フォレスト・ヒルズ店で事件発生!

 9月28日、昼12時15分ごろ。
 書店の店員から、トイレで人が倒れているとの通報がありました。
 警官が駆けつけて調べたところ、倒れている男はまったく反応がなく、すでに死亡しているのが確認されました。

 遺体は、25歳ぐらいの男性でした。
 彼が倒れていたトイレは、店舗2階の児童書売り場のそば。
 10時に開店して、2時間あまりのことでした。
 ちなみに、店があるフォレスト・ヒルズは、ニューヨーク近郊のおだやかな住宅地です。


 謎めいた事件ではありませんか。
 いったいなにがあったのでしょう。

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