2007年12月アーカイブ

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 読者の皆さんは、‘遠い地平線が消えて、深々とした夜の闇に心を休めるとき……’という言葉ではじまる城達也さんのあのナレーションを憶えていらっしゃるでしょうか。深夜、眠れないままにラジオのスイッチを入れて、聞こえてきたディスクジョッキーの声に心を惹かれ、あるいは癒され、ほどなくその番組を心待ちにするようになる――そういう経験をお持ちのかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
 本書『夜のとばりがおりて』には、深夜のFM放送から流れてくる魅惑的な声に夜ごと耳を傾ける3人の女性たちが登場します。
 まず、サヴァンナ・スミス。検事になって五年、懸命に働いてきた甲斐があって満足できる地位にまで昇進したものの、三十一歳の誕生日を前にして、自分の人生はこのままでいいのかと、悩んでいます。
 ついで、サヴァンナの双子の妹、スーザン・スミス・ガードナー。美貌に恵まれ、社交界の花でありながら、才気ある姉に対する劣等感に悩まされ、さらには離婚したこともあって、日々お酒に明け暮れる生活を送っています。
 そして、スミス姉妹の高校時代からの親友、メガン・ヴァンダメア。姉妹が裕福な家に生まれ育ったのに対して、母子家庭で育ち苦労を味わってはいるものの、名門の男性と結婚。ところが、その夫の事業が不審に陥り、ふたたびつらい生活を強いられています。

 物語は、サヴァンナが、メガンが誘拐されたという知らせを受けるところからはじまります。
 極秘裏に行われる捜査。手がかりといえるものは、誘拐現場に置かれていた、身代金を要求する手紙だけ。その不自然な文面が、地元、ロードアイランド州のプロヴィデンスにあるカントリーミュージック専門のFMラジオ局、WCICの合い言葉に似ていたのです。それはまた、あの魅惑的な声の主が放送中にしばしば使う言い回しでもありました。
 サヴァンナは手がかりを求め――そして、実際にあのディスクジョッキーに会えるという期待を胸に――WCICのスタジオを訪れます。
 そして憧れのDJ、ジャレッド・スノウと出会い、このときからサヴァンナの人生が大きく変わりはじめるのです‥‥。一方スーザンも、誘拐事件の捜査に当たるサム・クレイグという警官と知り合うことになります。
 だが、誘拐されたメガンの行方は、依然として手がかりがつかめず、サヴァンナたちは、不安と焦りをつのらせていきます。すると、誘拐犯から連絡があり、身代金が支払われ、メガンは解放されるのですが……。
 事件の動きとともに少しずつ変化する、サヴァンナとジャレッドの、そしてスーザンとサムの関係が、丁寧に描かれています。検事であるだけでなくメガンの親友でもあるため、よけいに苦悩するサヴァンナの心を癒そうとするジャレッドの姿が印象的です。また、スーザンとサムは惹かれ合いながらも衝突を繰り返しますが、終盤、思いもよらない出来事に見舞われたサムをスーザンが必死に支える場面には感動させられます。さらに、複雑な情況のなかでおたがいに相手を思いやる、メガンとその夫であるウィルの夫婦愛にも心を打たれます。
 ストーリーの展開はシンプルですが、そのなかに、姉妹のあいだの葛藤、家族間の問題、友情など、さまざまな事柄が織り込まれた、読み応えのある作品です。

2007年12月21日 00:45 | | コメント(0)

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