2008年5月アーカイブ

4月刊のロマンスは、新星カレン・フェネックの中世ヒストリカル『裏切りは愛ゆえに』でございます。

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お話はこんな感じです。

12世紀イングランド。
女領主キャサリンの居城は、敵の猛攻にさらされていた。頼れるのはかつての婚約者ド・ローラン卿のみ。窮状を聞いた彼は、結婚を条件に、城の奪還を約束するが、五年前に婚約を一方的に破棄した彼女の裏切りを許してはいなかった。
しかもキャサリンには秘密があった。攻められる直前、彼女は死別した夫の息子を出産していたのだ。
偽りと裏切りが交錯するなか、夫婦となった二人のあいだに芽生える熱い想いとは……

本作の読みどころは、何と言っても中世物ならではの味わいでしょう。
きびしい領地争いの過中で、かつての婚約者に今も深い愛情を抱きながら、生まれたばかりの息子の存在を隠すという重い秘密を背負わざるを得ないヒロイン。
ずっとヒロインのことを想いつづけながらも、かつての手ひどい裏切り(これにも深い理由があるのですが)から、今も疑心暗鬼に苦しむヒーロー。
中世が舞台でなければ描けない、苛烈な戦闘と渦巻く陰謀に彩られた濃密な愛憎の物語です。ロマサスも書いている作家さんだけあって、謎が謎を呼ぶミステリー仕立の展開や、強烈な印象を残す悪役の描写にも光るものがあります。
また、冗長な表現や過剰な台詞を極力排した独特の文体も、中世という苛酷な現実とロマンが交錯する時代にいざなってくれます。
リージェンシーもの全盛の昨今、たまには他の時代の雰囲気のちがうヒストリカルも読んでみたいなあ、という貴女。ぜひ手にとってお楽しみいただければ幸いです。

2008年5月 1日 22:44 | | コメント(0)

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