さて、4月1日発売のもう一点は、RITA賞受賞の大人気作家ローラ・キンセイルの歴史的名作『嵐に舞う花びら』(上・下)。病で言葉を喪った天才数学者の公爵と、彼を献身的に支える敬虔な看護婦の究極の愛を描き上げるヒストリカルです。

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あらすじはこんな感じです。

クリスチャンはロンドン社交界の寵児だった。シャーヴォー公爵、名うての放蕩者。そして天才的な数学者。
そんな彼が決闘で命を落としたとの噂が流れ、彼の共同研究者を父に持つ敬虔なクエーカー教徒のマディーは驚き悲しむ。
しかし彼女は、ある日訪れた親族が経営する養護院の独房で、公爵と衝撃の再会を果たすことに。
言葉を喪い、野獣のように荒れ狂う変わり果てた姿のクリスチャンと……。
しかし、マディーだけは信じていた。
彼が昔と変わらぬ知性と心を保っていることを。
彼の救済こそが神に授けられた使命であると信じ、マディーは周囲の無理解と戦いながら献身的な介護を続ける。唯一の理解者たる彼女にクリスチャンは一途な愛を捧げるが、マディーはやがて信仰と世俗の愛のはざまで揺れる自分と直面することになる……。
究極のテーマに挑む至高のロマンス!


アメリカ最大のロマンスサイト『All About Romance』のオールタイムベスト企画で三回連続ベスト5入り(4位、2位、5位)を果たした、真の意味での名作。
SEPをはじめ同業者たちも、きわめて本気度の高い最大級の賛辞を多数寄せており、いかに本作がアメリカにおいてビッグなタイトルであるかを物語っています。
日本では、すでにキンセイルは二見さんが『黒き影に抱かれて』を紹介ずみで、本作が邦訳第二作となります。

とにかく編集者としては、長らく懸案でした『青銅の騎士』と本作の、大玉二つを無事上梓できて、まずはほっとしているところです。
『青銅の騎士』が、ある意味ジャンル・ロマンスの枠組みの外に物語の領域を広げることで時代を超えた傑作となり得たのに対し、本作はジャンル・ロマンスの枠内でなし得ることを極限まで深化させた作品といってもいいでしょう。
たしかに強烈な設定の物語ではありますが、ロマンスには常に、乗り越えられるべき障害物がつきもの。
キンセイルは、この常道のなかで最もヘヴィなものを二人に背負わせます。
すなわち、クリスチャンの抱える身体的障害。マディーの抱える宗教の問題。
この「身体性」と「精神性」の両面において二人を隔てる厚い障害を乗り越えていく過程こそが、本書の引き起こす感動の淵源なのです。
とくに、ヒーローのキャラクターはロマンス史上に残るインパクトでしょう。キンセイルお得意の、超強気なのに受けっぽい(失礼)ヒーロー像の究極形態とでもいえばよろしいのでしょうか……。個人的には、あれだけハンディを抱えながら、出だしの時点ですでにマディーを落とす気まんまんなのがちょっとツボでした(笑)。
次第に、彼が言葉と思考力を取り戻してゆく過程は、ちょっと『アルジャーノンに花束を』を思い出させます(原題の『Flowers from the Storm』もすこし意識してるのかもしれませんね)。
一方のマディーの問題は、まさに『狭き門』のアリサとジェロームの問題ともつながるわけです(あれも泣いたなあ……)。この究極のテーマにジャンル・ロマンスの枠内で本気の解答を与えようとしたのが、キンセイルの心意気ともいえましょう。

好き嫌いはあるかもしれません(とくにヒロイン像)。それに長いですしね。
でも。
何はともあれ、下巻471ページから始まるヒーローの大演説。
この感動を味わうためだけにでも、本書を読む価値はあると思います。
これは……ほんとうにすごい。
ぜひ、ご一読をお勧めいたします!(編集J)

2010年4月10日 20:16

コメント(1)

Comment

  • 扶桑社さんありがとう、翻訳してくださって。
    この長編、一気読みでした。あまりに、さきへさきへと
    読んだので、今読み返してます。
    力のある作家さんの本でで、ロマンスの枠を広げようと走りすぎてロマンスが飛んでしまいどっちつかずになってしまう作品もある中、本当に究極のロマンスでした。
    また、こんな素晴らしい作品をお願いします。



    |ロマンス好き|2010年4月11日 07:11

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