続いて、サブリナ・ジェフリーズ連続刊行の第二弾。『公爵のお気に召すまま』のご紹介です。なんだか、売れゆきの初速がとってもよくてドキドキしています。

Only%20a%20Duke_sinn.jpg


■オンライン書店で購入する
amazon7&Y楽天ブックサービスbk1


あらすじはこんな感じです。

純真な乙女だったルイーザを氷の女王に変えたのは、七年前の初恋の相手フォクスムア公爵サイモンだった。彼に手ひどく裏切られた彼女は、それ以来男性には心を許さず、気高く生きてきた。
しかし英雄としてインドから凱旋したサイモンは、昔以上にルイーザの心をかき乱す。そんな彼が再びルイーザに接近してくるのには、腹黒いたくらみがあるはず。もう世間知らずの少女ではないから、騙されたりはしない。でも彼の言葉を信じられたら……
大人気作家が贈るリージェンシー・ロマンスの決定版!

とにかく、本作の最大の魅力は「公爵」がいかにも「公爵」らしく描かれていることに尽きるでしょう。

大量に出回っているリージェンシー・ロマンスのなかには、“公爵”といっても、ともすればどこがどう伯爵や男爵と違うのかわからないような、単なるヒーローをあらわす記号として爵位が与えられているだけの作品も結構あります。
しかし実際には、公爵というのは広い英国で20人弱しかいなかった、正真正銘の高位貴族なわけです。ちょっとやそっとのことでは手の届かない、ほんとにえらい人だったんですね。

S・ジェフリーズはリージェンシーの専門家だけのことはあって、ちゃんとこの時代の“公爵”がいかなる存在だったかを巧みに描き出しています。
ヒーロー、サイモンの登場シーンからして実にゴージャス。
インド総督の職を全うしてイギリスに舞い戻ってくるのですが、総督の地位ですら彼にとっては「不当に低い」とされ、戻ってきた瞬間から誰もが一国の首相候補として注目しているほどの人物。物語は常に、公人としての彼の重責と、華やかできらびやかな社交生活を軸に進んでいきます。
性格も、とにかくオレさま。
自分にできないことなどないとでもいいたげな、自信にあふれたキャラで、実際できないことはほとんどありません(笑)。傲岸で、えらそうで、でも包容力があって……そして実は胸に苦悩を隠していて、とある人物の形見である猿を友として可愛がっているという……。いいですねえ。

対するヒロインのルイーザも、気の強さでは負けていません(いや、むしろ終盤はサイモン劣勢なくらいでして……)。
総じてこの作家のヒロインは猛烈系ですが、口げんかでの攻め手の多彩さ、えげつなさでは、ルイーザは間違いなく最右翼だと思います。ただ、その背後に相手への深い愛があるのが伝わってくるのがまたいいんですけどね。

なお、本作単品でも全く問題なく楽しんでいただけますが、本作に登場するマーカスとレジーナのロマンスは、MIRAさんのほうで出されている『竜の子爵と恋のたくらみ』で扱われておりますので、合わせてお読みになるとより楽しめると思います。
来月は、いよいよ三作連続刊行の真打ち、『スコットランドの怪盗』が登場。第一巻で出てきた怪盗の正体が明らかになります。ひきつづきジェフリーズをよろしくお願いします!

2010年9月 9日 20:40

コメント(1)

Comment

  •  本作品のスピン元『竜の子爵と~』をMIRAで翻訳した者です(と言うと誰だか分かってしまいますね)。
     MIRAではサイモンが少々かわいそうなことになっていたので、刊行していただきありがとうございました。なんとかルイーザと仲直りできてよかったよかった。
     ジェフリーズは学者だけあって、時代考証が磐石で喜ばしいかぎり。リージェンシーの時代は未発明の事物が案外多くて、考証ミスが続出する原著もあるのですが。ジェフリーズの場合、スピン元の3部作全体を通しても考証ミスは1箇所しかなかったように記憶しています。驚異的です。



    |翻訳者T|2011年1月20日 23:01

コメントする

ページの先頭へ