今月のもう一点は、シャーロット・ミード『暗い瞳の誘惑』。ヴィクトリア朝を舞台としたヒストリカル・ロマンスです。


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あらすじはこんな感じです。

1851年、第一回万国博覧会の開催を目前に控えたロンドン。若き未亡人リリーには大きな秘密があった。彼女こそは博覧会の中心会場クリスタル・パレスの真の設計者だったのだ。
ある日ロンドン塔を訪れたリリーは、謎の侵入者に設計図を引き渡すよう迫られる。
男の名はセント・マーティン。秘密のヴェールに包まれたインド帰りの英雄。
申し出を一旦拒否したリリーではあったが、彼の身も心もとろかすような誘惑にいつしか我を忘れて……ヴィクトリア朝の気風に満ちた陰謀と官能の傑作ロマンス!

よくヒストリカルで扱われるのが、リージェンシーと呼ばれる摂政時代(1811~1820年ごろ)。ヴィクトリア期(1837~1901年)は、まさにそのあとの時代ということになります。
未だ貴族たちが時代の中枢で闊歩していた時代ですが、一方で近代的な事物が急速に発展した時代でもあります。イギリスのもっとも輝いていた黄金時代ですね。
ヴィクトリア女王の在位は長かったのですが、今回の物語の舞台となる1851年は、在位14年で、まだ夫君のアルバートも健在だったころ。実際、ロンドン万博の最大の功労者にして成功の立役者となったのもアルバートでした。
本書では、クリスタル・パレスの設計者は実は女性だったという設定で、男女の危険な恋模様を闊達に描きだしています。

万国博覧会、水晶宮――クリスタル・パレス。
伝説の巨大ダイヤモンド、コイヌール。
東インド会社と植民地。
阿片チンキと催眠術……。

まずは、時代を象徴する実在のトピックをうまく組み合わせて、当時のきらびやかながらもどこか怪しい雰囲気を活写しているのが見どころでしょう(この独特の時代感覚は、やがてホームズの世界に連なってゆくのですね)。時代考証としては正直ゆるいところもありますが、あくまで「雰囲気」を出すための付け合わせだと思っていただければ。もちろん、メインディッシュは、時代に翻弄される二人の愛の物語というわけです。

影を背負ったアルファなヒーロー、セント・マーティンは実に魅力的。
一方、ヒロインのリリーも、知性あふれる自立した女性でありながら、セント・マーティンの攻めには弱さともろさを見せる、複雑なキャラクターです。
敵役のベラミーの造形にも、著者はひとかたならぬ情熱を傾けているようす。
度重なる誘惑シーンは、じゅうぶんHOTでありながら、絵画的で美しく、きっとご満足いただけるものと思います。(編集J)

2011年3月18日 20:26

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