今月のもう一点は、サブリナ・ジェフリーズ『放蕩貴族のレッスン』
〈淑女たちの修養学校〉シリーズの第四弾となります。

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本作は、アメリカで発刊されたおり、NYタイムズ・ベストセラーリストの第二位を獲得しました。
本当のベストセラー作家さんじゃないと、なかなかとれない順位であり、いかに本国でこの作家さんが人気があるかがうかがわれます。

今回のヒロインは、シリーズで初めて、修養学校の女性教師がつとめます。
マデリンは理数系の教師で、先生としてはきわめて優秀、しかも美貌の持ち主。でも色恋沙汰にはとんと疎く、色事についても「科学的」な興味しかありません。
かたや、ヒーローは名うてのプレイボーイである子爵のアンソニー。

実は二人とも、にっちもさっちも行かない大きな問題を抱えています。

マデリンは、患者の死の責任を問われて裁判をひかえる医者の父を救うため、どうしても証言してくれる科学者と面会する必要があるのですが、これまでずっと門前払いをくらっています。
一方、アンソニーは、両親を亡くした可愛い姪っ子が、ろくでなしのビッカム夫妻に引き取られようとしているのを阻止するため、何が何でも寄宿学校に彼女を入れてやる必要があるのです。

科学界に顔のきくアンソニーの人脈に頼りたいマデリンと、姪のために教師にとりいりたいアンソニー。
こうして二人は、はからずも、とあるアイディアを実行に移すことになります。
それが、「放蕩者のレッスン」。
放蕩者で名高いアンソニーが、うぶな女生徒たち相手に、財産目当てで女性に近づく悪い男を見抜くための講義をするというわけです。マデリンの提案を受けて困惑するアンソニーでしたが、いよいよ授業が始まってみると、評判は上々。いつしかマデリンとアンソニーの関係もぐっと近づいて……

本作の読みどころは、なんといってもヒロイン、ヒーローの魅力につきます。

多少頭でっかちながら、一途で素直な理系女子。
とあるトラウマを抱えた、実は悩める理系男子。

かたや堅物教師、かたやプレイボーイと、一見対極に位置するような二人ですが、心を開いた男女の付き合いをこれまでしてこなかった(できなかった)という意味では、実はとても似たタイプなのかもしれません。

また、「性」が正面きってのテーマとなっているのも見所の一つといえます。
最初は教科書に出てくるような知識しか持たないヒロインが、実際の体験を通じて、それが愛に通じる行為であると知る。一方、経験は豊富だけれど克服できない苦しみを抱えるヒーローは、ヒロインと出会うことで、幼少時からの呪縛から解き放たれる。

扱いを間違えば笑い話になりそうなネタを、実にうまくジェフリーズは感動的な愛の物語としておとしこんでいます。当然ながら・・・ノリは結構ホットです

また、笑気ガスをめぐるうんちくや、当時の性知識に関する言及を通じて、ドラッグ、医療過誤、うつ、チャイルド・アビューズなどの現代的な諸問題を逆照射する手法も、これまで以上に冴え渡っています。

ジェフリーズの諸作のなかでも、とくに評判の高い本作。ぜひまだお読みでない方はお試しくださいね。(編集J)

2011年10月22日 22:53

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