2012年11月22日
新刊案内

折れた翼

今月のもう一点は、ジュディス・ジェイムズ『折れた翼』
発売当時、「驚異の新人登場」と、一部で大きな話題を呼んだ感動作です。


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あらすじはこんな感じです。
フランス革命末期のパリ。
幼くして娼館に売られ、ずっとそこで暮らしてきた美貌の青年ガブリエル。
ある日、彼が可愛がってきた少年ジェイミーが英国貴族の跡取りであることがわかり、連れ戻しに来た伯爵とその妹サラの願いで、ガブリエルもまたイングランドへと赴くことに。
初めて経験する外の世界に戸惑う彼に、何かと親切にふるまうサラ。
やがて二人は深い友情を育むことになるが……
過酷な運命を背負う男。
それを包みこむ無償の愛。
二人のせつなくも激しい愛の軌跡を描く感動のサーガ!


いわゆる「異色作」だと思います。
なにせヒーローは、男娼なわけですから。
だから、手にとることをためらっている読者の方も
もしかしたら、いるかもしれません。
入口のところで、読む読まないを決めてしまうことは、
もちろんあるでしょう。
でも、この本は、それでスルーするにはあまりに惜しい。
それくらい、重く魂にがつんと響く小説。
深々とした感動を呼び起こす、
真にすぐれたロマンス小説のひとつだと思います。

ひとつ前のエントリーにえびまんげつ様がくださったコメントをもう一度引用させてください。

>折れた翼、ヒーローが男娼という設定なので購入を躊躇してましたが、買って本当に良かったです。
>夢中で読み続けました。そして読みながら何度も泣いてて…。この作品、永久保存する一冊となりました。


ヒーローのイメージで近いのは、
弊社でいえば、ローラ・キンセイルの『嵐に舞う花びら』に出てくる
天才数学者の主人公あたりでしょうか。

ポイントとなるのは、著者が描きたかったのが、
傷ついた魂の真の救済であり、
単なる性愛を超えた、人と人とを結びつける真の愛情だということです。

主人公のガブリエルは、実際にはきわめてハイスペックな人間です。
絶世の美男子。語学堪能。学識豊か。音楽の才能にも秀でています。
中盤からは、船乗り、戦士としても抜群の技量を示すようになります。
なのに、彼は自分を必要としてくれる人間がいることを、どうしても信じられません。
なぜなら、過酷な人生のなかで、
彼は、すべての尊厳を剥ぎ取られ、
すべての自己肯定を剥ぎ取られてしまったから。
なぜなら、彼は「男娼」だから・・・・。

ガブリエルは、作中の誰よりも、「性」の技を知り尽くした存在です。
一方で、作中の誰よりも「愛」の何たるかを知りません。
そんな彼の硬く凝り固まった心を、緩め、とかし、やがては
愛を素晴らしさを教える女性、それがサラです。

サラのガブリエルへの接し方、ガブリエルを変えていく地道な努力の描写には、
作者ジュディス・ジェイムズの臨床心理士としての経験が生かされている気がします。

その他、ガブリエルを海賊として鍛えあげるデイヴィーや、
なんだかんだでガブリエルに優しいサラの兄ロスなど、
サブキャラクターたちもたいへんに魅力的です。

騙されたと思って、ぜひご一読下さい。
胸にせまる至高の読書体験をお約束いたしますから。(編集J)

投稿者romance: 21:58

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コメント

「折れた翼」を読んで、久しぶりに心から感動しました。たまにこんな本に出会えるからロマンス小説はやめられないんです。何度も読み返す本の一冊になりそうです。
心理描写がすばらしいと思っていましたが、作者が臨床心理士なんですね。納得しました。他の作品もこんなにすばらしいのでしょうか。また扶桑社さんから紹介してもらえたら嬉しいです。

投稿者 Noname :2012年11月27日 09:53




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