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エリザベス・ノートンの新刊、『つめたい夜を抱いて』はお読みいただけましたでしょうか?
本作はRITA賞(ロマンティック・サスペンス部門)を受賞した注目作。本格的なロマサスをお好みの方に、ぜひお手に取っていただきたい一作です!

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お話はこんな感じです。
サマンサ・パーカーは、18年前に兄を目の前で失った忌まわしい記憶に苛まれながら、事件が起きた故郷のヒドゥンフォールズに戻って教師をしている。職場へ派遣されてきた精神科医のイーサンとは生徒のトラブルを通して自然と惹かれあうが、彼もまた誰にも打ち明けられない過去を抱えていた。不器用なふたりの想いが少しずつ熱を帯びてきたある日、同僚の教師が遺体で発見され、その直後にサマンサも命を狙われてしまう。背後には、18年前の事件の真相を知るとある人物が関係していて......!?

サマンサとイーサンはどうやら過去に同じ殺人事件に遭遇したらしく、その記憶は彼らの心に暗い影を落としています。しかしサマンサ目線で語られる記憶にはところどころ靄がかかっていて、「なぜ殺されなくてはならなかったのか?」「だれがどうやって、だれを殺したのか?」が判然としません。18年前にいったい何が起きていたのか? この町で生活する者はみな一様に隠し事をしているような振る舞いをみせ、過去の事件にまつわる謎はラストまで不穏な気配を響かせ続けるのです。
小さな町を舞台にした本作で描かれるのは、学校であり、親子であり、切っても切れない身近な閉塞感でもあります。真実を知る糸口は、どうやら田舎町ならではのこじれた人間関係にあるようですが......。

一方、イーサンがこの町に来てからサマンサに降りかかる不審な出来事も、過去の事件を解明するキーとなっています。自宅に「出ていけ」と落書きされたのを皮切りに、化学準備室に閉じ込められて流血したり、同僚教師の遺体が自宅のテーブルに乗っかっていたり、用務員のケニーに突然襲われたり......と散々な目に遭わされますが、それと同時に18年前の事件に関わっていたとされる人物も、ひとりまたひとりと明らかになっていく。イーサンは過去に何をしでかしてしまったのか?という緊迫感も、ストーリーをさらに盛り上げます。

そんな動きがありながらもロマンスの描写は充実!
心に同じ闇を抱えるふたりはだからこそ惹かれ合うのですが、自身の弱さや幼さををそっと披歴していく静かな会話があり、夜のキャンパスを歩く穏やかなデートがあり、熱い夜もあり......とロマンチックなシーンが満載なのです。
もうひとつの魅力はヒーローがとにかく癒し系なところ。プンスカ不機嫌になる女をいつだって受け止めてくれるイーサン。「僕は頑固で理不尽な人が好きなんだ」ってまじかよ! 辛い経験をした人が優しいと、もはや存在自体が切なくて大好きになります。さまざまな負の感情も知ったうえで、人間の明るさやしなやかさを信じる男なのでした。ちなみに彼の両親や兄弟もとってもいい奴です。

ぶっとんだキャラクターはいませんが、登場人物の内面がしっかりと掘り下げられているので、丁寧な筋運びに委ねてじっくりと楽しめる一冊だと思います。
みなさまからの反響によっては、イーサンの兄弟たちを主人公に据えた続編エピソードを発表できる日が来るかも?しれません。
ぜひ応援いただけましたら幸いです!(編集KY)


2018年7月 9日 21:16

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