彷徨者アズリエル
■アン・ライス著
■四六判変型
■定価/2400円(税込)
■2000年2月25日
■ISBN 4-594-02852-7
ジャンル:海外小説
時を放浪する美青年幽霊
ヴァンパイア・シリーズで一躍売れっ子作家となり、ゴシック小説の女王とも称されるアン・ライスの、今回は超自然的力を有する<骨のしもべ>なる美しい幽霊を主人公にした物語である。ヴァンパイア・シリーズに比べると、耽美的退廃的ゴシックムードには些か欠ける印象だが、歴史や宗教、哲学などの分野におけるアン・ライスの該博な知識がたっぷりと盛り込まれ、新たな興味をかきたてられる。古代都市バビロンと現代のニューヨークを舞台に、壮大にして稀有な物語が展開するが、現代編では、最新のテクノロジーを駆使して信者を増やしているカルト教団が登場し、この教団がビルの中にいくつもの実験室を造り、エボラ菌を使って抽出した殺人ウィルスと毒ガスで世界制圧を企むという設定は、われわれ日本人を震撼させた、今なお記憶に生々しい陰惨極まる大事件を彷彿とさせる。とはいえ、物語の終盤に近いベルキンの大演説に、読者は心の扉を叩かれたような妙な気分になりはしないだろうか?
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