土俵の上から見た
不思議なニッポン人
■旭鷲山昇著
■定価/1400円(税込)
■2000年12月1日
■ISBN 4-594-02916-7
モンゴルから来た蒼きオオカミ、旭鷲山の半生!
日本に来て、もう丸八年が過ぎました。早いものです。
来日してしばらくの間は、ほんとに驚きの連続でした。そんなことも、つい昨日のことのように感じたり、いろんなことがありすぎて遠い昔のことのように感じたりします。
モンゴルから日本へ。この二つの国は、環境も習慣も全く違っていました。
その違いに戸惑って、いろいろな「事件」を起こしたこともあります。でも今になって振り返ってみると、どれもがみんないい思い出です。
もちろん、あのころご迷惑をかけた方々には、何べん頭を下げても足りないくらいです。
でも、ぼくが日本で、こうして今もなんとか相撲を取り続けていることに免じて許して欲しいと思います。
十両に上がることができて関取になったのは、ちょうど五年前でした。あれは日本に来て三年目。親方と交わした「三年で関取になる」という約束を守ることができて、ものすごくうれしかったことを覚えています。
その一年半後には、なんとか入幕することができました。そしてすぐ小結に上がり、なんと三役にまでなってしまいました。
それ以来、ずっと幕内にいさせてもらっています。相撲取りにとって、幕内で相撲を取り続けることができるのは、とても幸せなことだと思うんです。
「強くなりたい。強い力士になりたい」というのは、小さいころからのぼくの夢でした。日本の相撲は、ぼくのそんな夢をかなえてくれたんです。
個人的な夢を実現できただけではありません。一人のモンゴル人として、母国のために役立つことができるような存在にもなれました。小さい力だけど、少しは故郷の人たちに喜んでもらえれば、こんなにうれしいことはないと思っています。
今年二月には、一人の女の子の父親にもなれました。そして五月には妻ももらいます。自分自身の環境が変わったせいか、相撲に対する考え方も少し変化しました。
これからは一人の大人の男として、もっともっとがんばろうと思っています。ずっと日本で相撲を取り続け、母国のために努力しようと思っています。
そんな一つの区切りとして、ぼくはこの本を出します。生まれ育ったモンゴルから日本に来て、相撲取りになり、父親になり家族を持ったぼく。そのときそのときのぼくの気持ちが、この本の中につづられています。
こうして本を出せるようになったのも、これまでぼくを見守ってくださったたくさんの方々のおかげです。そのことをぼくは一瞬も忘れたことはありません。
モンゴルのお父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん、弟妹たち。そして親戚の方々や多くの先生方。在日モンゴル大使館の職員の方たち……。
もちろん、日本のみなさんにも大変お世話になっています。後援会の方々。大島親方とおかみさん、兄弟子のみなさんや弟弟子たち。旭天鵬と旭天山や多くの友人たち。モンゴルと日本の友好のために力を尽くしてくださっている方たち。
そして、ぼくをいつも応援してくれているモンゴルと日本のファンの方たち。
みなさんがいるからここまでがんばってやってこれました。これからも、どうかぼくのことを励まし、悪いときには厳しく叱ってください。お願いします。
この本を出版する機会を与えてくださった監修の宮田修さん、扶桑社書籍編集部の方々にお礼を言いたいと思います。
最後に、ぼくの妻のボヤンビレグ、そして娘のアリュンザヤに、この本を捧げます。
二〇〇〇年五月
ダヴァー・バトバヤル
旭鷲山 昇
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